BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
トラウマ再来、ラスボス襲来。楽しんでいただけたら幸いです。
「………再、起動……」
胸部装甲が砕けた状態で壁に叩きつけられて崩れ落ちていたそれが、再起動する。ギョロギョロと、破壊された装甲から出てきた胸部の生物的なオレンジ色の目が周囲を確認する。慌ただしそうに同じ顔の女が走り回っている。
私の目標、目的、は?
ハンターλの援護→失敗
ジェーンドゥーの援護→敵対、不能?
次の命令、再確認
―――――■■■■■?
「オリジナルが裏切ったらしいわよ?」
「は?それ何処情報?」
「私がアンブレラを裏切る訳ないじゃない?」
「それはそうね」
「裏切る理由がないものね」
「この勝ち戦から敵に寝返るなんて阿呆でもしな……い?」
その一人と、目が合う。本能が震える。
生命活動、危険値突入
生命活動、危険値突入
遺伝子情報が近い優秀な雌を多数確認
命令を確認【デッドエンドレコーズ】
「え?……ふぐっ!?」
瞬間、後頭部から再生した〝尻尾”が、ジェーンドゥーの一人の腹部を貫き、胎を注入する。かつてアークレイ山地の洋館にて、命令を無視してセルケトに子を成そうとすることを優先したG-EX01ギルタブリル。その時は、単にセルケトが最も己に近い遺伝子構造を持っていたから狙ったに過ぎない。リサのクローンであるアリサの、血で変異したスティンガーの死骸をもとにしたクローンである、セルケトのクローンであるギルタブリル。
機械化されたことで鳴りを潜めていたそれは、制御装置である胸部のアーマーが破壊され、死の危機に瀕したために復活した再生能力と共に目覚め、その本能が命令として呼び覚まされる。―――――ここで重要なのは、ジェーンドゥーもRT-ウイルスで変異したリサのそれと近い遺伝子の持ち主であるということである。つまり、血の繋がった親戚だ。それが、それはもう増殖しまくってうじゃうじゃいる。入れ食いである。
〝最優先で己を繋げ”
「うおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!」
ネズミの大群など可愛いものでしかなかったと思い知らす、悪夢が誕生する。
「オリジナルを味方にしたところで、数の差はどうしようもないわ!」
『まさに正論!アハハハハハハハハハッ!』
「笑っている場合か!」
「死んだら恨むわよ…!」
「エヴリン、しっかりして」
一斉に、タイミングをずらしながら飛び掛かってくるジェーンドゥーたちを、私が大声で怯ませ、ラムダが舌で薙ぎ払い、ナイが蹴り飛ばし、オメガが斬り捨てる。しかし、減っているように感じない。残ってたジェーンドゥーの過半数が群がっている様で、廊下を埋め尽くすそれは未来のコミケのそれだ。見たことないけどニュースは知ってる!
「何か策はないのか!これじゃあアンブレラを裏切った甲斐がないぞ!」
『そう言われてもねえ。逃げようにももう無理だなあ、これ』
「ビビを一匹残らず殺せば増殖は止まる!あくまで、ビビを使った増殖は!さすがにもう、野性の鼠は館内に残ってないから、これ以上増えはしない!」
「つまり全員殺せばいい」
『その前にこっちの体力が尽きるよ!』
「諦めなさい」
「ビビはやられたらしいわよ」
「カーバンクルもペレもですって」
「優秀なお仲間ねー」
「その司令塔がこれじゃ浮かばれないわ」
「外のオルタナティブもよくやっているわ」
「でも残念。私を殺しきるなんて不可能もいいところ」
「私たちが互いに殺して自殺でもしない限り、勝ち目はないわ」
『あーもう、うるさいな!……ん?』
あれ。宙を浮いて廊下の向こうまで見える私だけど。なんだ、あれ。なんか、ジェーンドゥーたちがまるで伝播するかのように奥からどんどん様子が変わっていってるような?
「あぐっ」
「どうしたの?」
「何今の」
「後ろから敵の援軍でも来た?」
「――――私の子を産んで?」
「はっ?」
ちょっと奥のジェーンドゥーまで伝播したかと思えば、目を怪しく輝かせて尻尾を前のジェーンドゥーのお腹に突き刺した。ジェーンドゥーたちも困惑している。そして、お腹を突き刺されて倒れ、尻尾を通じて何かを打ち込まれたジェーンドゥーが、周りの視線を浴びながらゾンビの様に立ち上がり目を怪しく輝かせ、そのお腹が開いて黄色い巨大な単眼が現れて………ぞわっと、寒気が走る。
『……え、うそ、なんで、それは、しんだはず……』
「どうした、エヴリン?」
トラウマが呼び起こされる。五年前のラクーンシティ。368回もの地獄をやり直した記憶と、目の前の単眼が重なる。そして、思いだす。アイツは、アイツはどこだ。今思い返せば、あまりにもあのバケモノと似たような特性と言動を持っていたアイツの、なれの果ては……!
『ジェーンドゥー!ギルタブリルはどこ!?』
「は?何よ急に。ギルタブリルV2なら廊下に適当に破壊して打ち棄てて……」
『殺さなかったの!?あれを、死に瀕した状態で放置したの!?馬鹿なの!?』
「エヴリン、ギルタブリルがどうしたって………!?」
そこまで言って、オメガも思い至ったのだろう。この場で唯一あの地獄を知っている。というか共有しているがゆえに。そして。目の前のジェーンドゥーたちが、眼を怪しく光らせ本来へそがある部分に単眼が生えたジェーンドゥーたちに襲われて……。
『ラムダ!ナイ!全速力で、逃げて!オメガ、どこでもいい!とにかく、アレがいないところ……閉鎖空間はダメだ、外へ!』
「え、え?」
「なにがどうしたって……」
「わかった!」
オメガがラムダの手を引いて先導し、ナイが困惑しながらもそれを追いかけるのを見届け、私はその場に残る。見なければいけない。直視しなくてはいけない。地獄の再来を。目を背けて、何もできずに終わるのはもう嫌だ。私の目の前で、ジェーンドゥーが一人残らず変異した、怪物たちを睨みつける。私はその名を知っている。もう二度と思い出したくない、最低最悪の怪物を知っている。恐らく、ジェーンドゥーも、ラムダも、アンブレラも。予期していない。どうせアレの不死性に目を付けて、実験体にでもしていたんだろう。私からすればどれだけ愚かなのかと口汚く罵りたい。
『G、生物……』
そう呟けば、お腹の単眼すべてがこちらを睨みつけ、そして。その身体が、崩れていく。……ジェーンドゥーは、体内のウイルスを保菌して増殖させる。それはG-ウイルスでも、だ。本来ならどんなウイルスでも保菌できるはずの体が、G-ウイルスには耐えられなかったのだろう。そしてそれが増殖し、肉体が耐えきれず肉塊へと変じて、それでも次の肉体を求めて、融合していく。そしてそれは、廊下の奥に引き寄せられていき……地響きが、裁判所内を襲う。地震なんかじゃない。裁判所が耐えきれなくなってる。
「うおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!」
咆哮と共に崩れ落ちていく裁判所の瓦礫をすり抜けながら、上を目指す。その道中で、原形を失くして融合していくジェーンドゥーたちの成れの果てが見えた。……結局、ナイが最初にして最後のジェーンドゥーになりそうだ。
そして。裁判所を突き破って現れたのは、巨大な怪物。30m以上はある。人型の上半身を覆う漆黒の装甲は以前のギルタブリルを思い出させる。後頭部からは長く垂れた弁髪の様な尻尾が十本ぐらい伸びていて蠢いており、その腕に掴まれて逃げようとしているジェーンドゥーに先端が突き刺さりG-生物にして取り込んでいる。兜の様な頭部からはあの単眼が隻眼の様についていてギョロギョロと動いていた。下半身は、巨大な蠍そのもので頭部から上半身が生えている形であり、上半身の腕とは別の鋏がついた両腕を振り回して裁判所を切り崩し、巨大な尻尾を振り回して先端からレーザーを放出して報道か軍隊のものなのかヘリを薙ぎ払っていた。もうそれは怪獣のそれだった。
それはのちにこう名付けられる、アンブレラの終焉を飾る怪物。―――――デッドエンド・ギルタブリル。
命の危機に本来持ち得なかった自己進化能力が発現。ジェーンドゥーたちを連鎖感染でG-生物にした上で、RT-ウイルスの「結合」が発動して融合して誕生。デッドエンド・ギルタブリル。失敗作の烙印を押されていたギルタブリルの真の能力が解放された今章のラスボスです。モチーフはハムナプトラ2のスコーピオン・キング。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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