BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
オルタナティブの最後と、新たな始まり。楽しんでいただけたら幸いです。
デッドエンド・ギルタブリルの
「久しぶりー!クイーン!」
「うわあ!?やめろおまえ、おまえアリサー!?今の私はクインティア・モリアーティだああ!」
「え、ホームズ?好きだねえクイーンも。似合わないよ?」
「…知ってる。これは、別の奴の名前と姿を受け継いだものだからな」
上半身に組み付かれて暴れるのをやめて、寂しそうな表情を浮かべるかつての相棒に、アリサ・オータムスは察したように儚く微笑む。それを嬉しそうに眺めるリヒト、グラ、ヨナ。自分たちが仲間入りした直後に失われた光景だ。それはもう見れて嬉しいようだ。
「あれから五年か。そっちも、色々あったんだよね。レオンから聞いてる」
「悪かったな。今の私たちは半ば犯罪者みたいなものだ。それを取り締まる側のお前に、迂闊に接触できなかった」
「そんなことはどうでもいいの。そんなことより……よくも私を置いて死んでいったなああああああああ!!!!」
「げふう!?」
「「えええー!?」」」
アリサの拳骨が頭頂部に炸裂、白目をむいて倒れ伏すクイーンに目を見開いて驚くリヒト、グラ、ヨナ。倒れたクイーンの胸ぐらを掴んで持ち上げ、今度はビンタするアリサ。涙を流しながら怒っていた。
「しかもちゃっかり生きてるとかふざけんな!相棒の私を心配させた分、殴らせろー!」
「悪かった、悪かったからあ!?」
『いいぞアリサもっとやれー。クイーンがどれだけ大事な仲間なのかわからせろー!』
「ええ……」
「仲良きことは美しきかな、なのだ…?」
「マザー、本当に楽しそう……」
ボコスカとアリサに一方的に殴られるクイーンを見て大はしゃぎするエヴリン。五年前まで続いていた関係がそこにはあった。数分後、涙目で正座する再生するため無傷のクイーンと腕を組んで仁王立ちするアリサがそこにいた。
「もう嘘つきません、ごめんなさい」
「よろしい。……さて、と。私も仕事があるし、帰るね」
『あ、もう帰るの?』
「今は大統領令嬢の護衛をしているの。テレビで貴方たちを見て同僚に任せてここまで来たけど、さすがに戻らないとね」
「アリサ。……その、なんだ。助かった。さすがは私の相棒だよ」
「うん、何時まで経っても私は貴女の相棒だよ。クイーン。エヴリンも、会えてよかった」
『じゃあね、アリサ。いつかまた!それまで死なないでね!』
「うん!リサやみんなにもよろしく!」
そう言い残したアリサも跳躍してビル間を飛び跳ねて去っていき。エヴリンとクイーンは顔を見合わせる。
「……エヴリン」
『なに?』
「アンブレラをぶっ潰す、その悲願はこの後始末がすんだら恐らく達成だ」
『そうだね。アンブレラ幹部養成所を逃げ出してアンブレラ撲滅を誓ってから15年ぐらい?長かったなあ』
「ああ、長かった。……だけど、もう一つ、目的……いや、夢ができたんだ」
『それはなにかな?』
ジェーンドゥーが殲滅されていく光景を眺めながら、クイーンは空を仰ぐ。どこまでも青く澄み渡った青空がそこにはある。
「お前は言ったな。お前の妹が呪いから解き放たれるまでは、存続しないといけない世界だと。デッドエンドにはさせないと」
『言ったね。我ながら恥ずかしい宣言だった』
「そうだ、呪いだ。私たち、B.O.W.は呪われている。それはアンブレラが呪ったのは当然として、世界にも、人類にも、決して存在を祝福されない。そういう呪われた存在だ」
『……そうだね』
「でも私たちだって人だ。人間だ。リサの遺伝子を持つ奴らはもちろん、ヒルの塊にすぎない私だって、お前だって……人間だと、そう思っている」
『笑って泣いて怒って喜んで。それができる私たちが人間じゃないはずがないよね』
「だから、決めたよ。私は、私たちの存在を認めさせる。私たちは生きてるんだ、人間なんだって……世界に祝福してもらう。それが私の、新しい夢だ。それを邪魔する戦争大好きなアホどもや、そんな奴らに利用される仲間達を、できれば助けたいし、手遅れなら殺してでも止める。そう決めた」
『素敵だね。その夢、私にも一枚噛ませてよ』
「当たり前だろう?私の、最初の共犯者」
そう笑顔を向けてくるクイーンが突き出した拳に、決して触れ合えない拳を笑顔で重ね合わせるエヴリン。
世界を太陽の光から遮る雨傘だった、アンブレラとの因縁に、決着を。
そんなアンブレラから生まれた呪いを背負ってなお、生き続ける者たちに、祝福を。
その日、アンブレラという世界でも屈指の大企業は完全に滅び去った。
立て直す最後の希望「テイロス」が最後に残ったロシア支部でクリス・レッドフィールドたち元S.T.A.R.S.の人間メンバーたちの手で潰えて。その責任者セルゲイ・ウラジミールも人知れずアルテ・W・ミューラーの手で滅び去り、同時にアンブレラの機密が保存されたAI「レッドクイーン」もサーバーごと破壊された。
同時にアンブレラの罪を擦り付けようと画策した裁判でも、予想だにしなかったジェーンドゥーの行動によりラムダと、ナイと名前を改めたジェーンドゥーのオリジナルが離反し、暴走したプロトテイロスことギルタブリルもオルタナティブの尽力で消滅。形勢の不利に気付いて逃亡を企てたG生物と化したジェーンドゥーも、誰一人負傷者を出さずに殲滅された。
裁判は改めてやり直され、負け確と言ってもいい状況にろくな弁護士もつかなかった挙句、ラムダとナイが「アンブレラの命令でやりました」を始めとして証言を行い、アンブレラ総帥オズウェル・E・スペンサーは雲隠れ。アンブレラの敗訴で裁判は幕を閉じる。二人はオルタナティブで監視されながら人類の平和に尽くすことを条件に減刑、オルタナティブもめでたく無罪放免……とはなったのだが、疑惑は残り続ける上に、テレビ中継で大々的に異形の力を行使した結果、人類に畏怖の感情を向けられることとなる。
しかし、そんな中。活動を自粛していたオルタナティブの本部……といっても、都市部郊外の荒野の廃村を勝手に使わせてもらっているだけであるそこの、幹部のたまり場となっている酒場に訪問した男がいた。
「あ~……お初にお目にかかる。私の名は、クライヴ・R・オブライエン。製薬企業連盟からの言葉を伝えに来た」
大隊長リサと、クイーン。オメガ。ヘカト。プサイ。リヒト。ヨナ。グラ。シータ。ベロニカ。それぞれ部隊を有している隊長たちが、怪訝な視線を向ける。屋根の上でぽけーっとクラウザーを始めとした他の面々の訓練風景を眺めていたエヴリンも、何事かと逆さまになりながらひょこっと天井から顔を出す。
『おおっ、リアルイケオジだあ。マダオもかっこよかったけどこういうのもありだな』
「……製薬企業連盟?生憎と、私たちは製薬企業なんて信用してないの。帰ってもらえる?」
どうでもいいことを呟くエヴリンに遠い目をしながら、追い返そうとするリサ。しかしオブライエンは諦めず、なにかの証明書を取り出した。
「オルタナティブの諸君。君達には、この提案を飲んでもらう責任がある」
「責任?」
「製薬企業連盟とは、「アンブレラ社の瓦解によって拡散した生体兵器が世界中で悪用される」という事態に直面した製薬会社の組合だ。国際世論からの責任追及を危惧し、批判逃れと宣伝目的で共同で多額の資金を拠出して、新たなバイオテロ対策部隊を結成することにした。……君たちは、アンブレラを崩壊させ混乱を引き起こした原因だ。活動も自粛していると聞いているが、今度は公的な立場でまた、戦ってほしい」
「でも私たちは、世界からしたら悪人で……」
「そうだ。だから、彼らと共に立ち上がって欲しい」
そう言って後ろを振り向いたオブライエンの後方から酒場に入ってきた複数の人物に目を見開くオルタナティブの面々。特にクイーンが、泣きそうな表情を浮かべてその名前を呼ぶ。
「クリス、ジル、レベッカ、バリー、ジョセフ、リチャード……お前たち、なんで!」
クリス・レッドフィールド。ジル・バレンタイン。レベッカ・チェンバース。バリー・バートン。ジョセフ・フロスト。リチャード・エイケン。クイーンにとってはかつての仲間、オメガとヘカトとプサイとリサにとってはともに洋館事件を切り抜けた人々、ヨナとグラにとってはかつての敵である彼らが、そこにいた。
「久しぶりだな、クイーン。私設部隊として動いていたところを彼に誘われてな」
「アンブレラと違って彼個人は信用できると思って、提案を飲んだのよ」
「私は、西オーストラリア州のフィロソフィー大学の教授に誘われてるからアドバイザーとしてだけど……」
「俺も家族がいるからあくまでアドバイザーだ」
「俺とリチャード、クリスとジルはOKしたんだ」
「あとはお前たちのオルタナティブを中心に再編成すれば、お前たちオルタナティブを核として組織的にバイオテロに対抗できる」
「……その話が本当なら、願ったりかなったりだけど……」
どうする?とでも言いたげな視線をオルタナティブの幹部全員から向けられて、エヴリンは逆さまの状態で腕を組んで目をつぶり考える。なんか聞いたことある話だな。あるぇー?と脳内では混乱してた。
『えっと、その組織の名前は?』
「その組織の名前を窺えるかしら」
「その組織の名は、バイオテロ対策部隊Bioterrorism Security Alternative Alliance…通称「BSAA」ですな」
『びぃえすえーえー!?』
エヴリンは絶叫した。
しかし、彼女たちは知らない。G生物化の騒動が始まる直前に、鼠らしく下水道を通じて逃走していたジェーンドゥーが一人いたことを。そのジェーンドゥーは路地裏のマンホールから姿を現すと、ホームレスを強襲。その服を奪い取って毛に覆われた素肌を隠し、帽子を深くかぶって布で口元を覆い顔を隠して、街中に出て、アンブレラが潰れたというニュースと、新組織BSAAの発足というニュースが流れる街頭モニターを見つめる。
「……潰させないわ。私がいる限り、アンブレラは潰えない」
そう決意を告げ、ジェーンドゥーは街を歩く人々の中に消えていった。
▼fileUC【ハンターλ編】~完~to be continued?
▼fileRV【リ・ヴェルトロ編】NEW!
ラムダ編の設定のあとに、次の時系列であるテラグリジア・パニックに移ります。
アリサブチギレ。しょうがないね。
エヴリンとクイーンの新たな誓い、そしてBSAA発足。
生きてたジェーンドゥー。この女もアイザックスと同じくエヴリンたちの宿敵として今後暗躍します。ネオアンブレラ?100年早いわ。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
一番好きなラムダ編オリジナルB.O.W.は?
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ハンターλ
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ギルタブリルV2
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ジェーンドゥー(ナイ)
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ジェーンドゥー(量産型)
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ペレ
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カーバンクル
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ビビ
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デッドエンド・ギルタブリル