BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はエピローグ。楽しんでいただけると幸いです。
オルタナティブ無罪判決から翌日。ナイは、見張りであるオメガとエヴリンを伴い、ソーカ・ソーダ―スとして使っていた弁護士事務所のパソコンにアクセスしていた。〝レッドクイーン”と呼ばれるAIを保管しているという言葉を受けてだ。アンブレラの残党に回収されたら面倒なことになる、そう考えての事だったのだが。
「……嘘。なんで、ないの?」
「ナイ、本当にここなの?」
「そのはずよ。私しかコードを知らないはずなのに、どうやって……」
『……私のいた世界みたいにネット環境が整っているならともかく、まだネットが開通して間もない時代。あの規模の地下施設を建造するアンブレラでも、ネットを介して奪うことは多分不可能。なら考えられるのは』
「……「私」?」
ナイの震えた声に、エヴリンは頷く。確かにあの場にいたジェーンドゥーは一人残らず殲滅した。Gの本能に支配されているジェーンドゥーたちは逃げることより種の存続を狙っていたため、逃げるのは不可能だったはずだ。ありえるとしたら、その前。一度エヴリンたちが逃走して、時間を与えたあの時だ。
「ごめんなさい…レッドクイーンなんてものが「私」に持ち出されたのだとしたら、最悪なことになるわ」
『アンブレラの機密情報、把握している全てのB.O.W.の精密なデータ、アンブレラ設立から現在までの膨大な研究記録、優秀な研究員の所在などの詳細……レッドクイーンに内蔵されているのは全部厄ネタだねえ』
「どうするの?エヴリン」
『どうしようもないかな。お手上げ。まだこの街にいるとしても、下水道なんかを移動されていたら補足なんてできないし。……ナイ、オメガ。この情報は私たちだけの秘密にしよう。リサにも、クイーンにも言ったらダメだよ』
「なんで?」
「それは。裏切り行為じゃ……」
『今はまだその時じゃないってだけ。せっかくアンブレラ撲滅したのに心配事を増やしたくない。だから機を見て話す。……正直、今の情勢でそんな情報が出まわったら、オルタナティブはもっと肩身の狭い立場になる』
そう真剣な表情で話すエヴリンに、オメガとナイは頷くしかなかった。
BSAA発足から数週間後。深夜のとある街。アンブレラの研究施設だったものが廃棄された建物。数週間放置され埃にまみれたそこでパソコンが一つだけ電源がついており、暗闇の中でカタカタとキーボードを叩く女がいた。長い太腿を露にした黒のショートパンツと某アニメの電気鼠のシルエットが描かれた赤いシャツの上から灰色のジャケットを羽織った黒髪を短く切り揃えた垂れ目の美女だった。
「声紋認証?マイクは……あるわね。私の名前は、ジェーンドゥー」
そう告げたのは、あの裁判所から念のためにと一人だけ脱出していたジェーンドゥーだった。弁護士の仕事で稼いだ金を口座から引き出して使って全身脱毛し、整形手術で顔を変え、民衆の中に紛れて生活していた。路地裏で見かけたネズミを自分に変え、しかし目立たない様に決して不用意に増やすことはせず。同じように見た目を整えて、世界に流した。
「私も含めて全部で6人。種は蒔いたわ。私は私の役割を果たすのみ」
《再起動シーケンス確認、---スタンバイ。〝RED QUEEN”目覚めました》
そんな機械音声を響かせながら、モニターに表示されたのは赤い画面に黒く表示された少女のシルエット。レッドクイーン……現在はナイであるジェーンドゥーがアンブレラから拝借し、自らのサーバーに保存していたデータを盗み出したネズミは、満足げにUSBを挿してデータを提示する。
「アンブレラ裁判におけるB.O.W.のデータよ。記録しておいて」
《了解しました》
・ハンターλ
キャメロン博士がウールヴヘジンの素体であるリンダ・パールのT-ウイルスと菌根に適合できる遺伝子を培養し、ハンターの基盤に組み込みクローニングした最高傑作のハンター。カメレオンと蛇、蛙などの「擬態」を得意とする爬虫類や両生類の遺伝子が組み込まれ、ウールヴヘジンと同じく菌根の力を扱えるHa/RTの最新型。高い知能を有しており、弁護士から検事まで幅広い役を難なく演じ切って見せた。
特に変哲のない手足と顔以外が黒いボディースーツに身を包んでいる様な姿の、緑が混ざった金色の髪を短く首元で揃えた女性の姿をしており、これは裸に菌根をボディースーツの様に纏った状態。ピンク色の舌は長くて口の中に収納できないため、普段はマフラーの様に首に巻き付けており戦闘時はこれを展開する。
「擬態」と「捕食」に特化しており、背景に溶け込むことができる他、大の大人だろうが長い舌で巻き付けて丸呑みにして瞬く間に消化してしまい、その遺伝子を記録して声帯から体格まで完璧に擬態することができる能力を持つ。汗や皮膚片などを舐めとって取り込むことで、その場合は摂取してからの短時間だが擬態することも可能。キャメロン博士、エクス・ガリバー検事を捕食して擬態していたのを確認している。
正体が露見し殺されかけたたためアンブレラから離反、現在はオルタナティブ改めBSAAに所属している。
・ギルタブリルV2/デッドエンド・ギルタブリル
G-EX01ギルタブリルを改造してサイボーグ化した個体で、別名をプロトテイロス。セルゲイ・ウラジミールの切札〝T-A.L.O.S.”を生みだす過程でその頑丈ぷりから実験的に生み出された。
機械化されたことで問題だらけだった制御面は解決、特定の人間の命令を受信してその通りに活動する。腰に移動した尻尾がレーザービーム内蔵に改造されており、これを用いて広範囲を薙ぎ払うことが可能。両腕の鋏も手首が回転し削岩機の様な威力を誇る。
内部の制御装置を破壊されたことで暴走、量産されたジェーンドゥーをG生物に変えた上で取り込むことで仮称〝デッドエンド・ギルタブリル”に変異。圧倒的な巨体と五本の後頭部の尻尾、蠍の下半身と尻尾のレーザービームで圧倒的な戦闘力を見せ、オルタナティブの猛攻も跳ねのけるも、アリサ・オータムスの参戦とセルケトに擬態したラムダを見たことによる一瞬の隙を突かれて、消滅した。この原因は不明。要検討。
・ペレ
ジェーンドゥーにウイルスを与えられたネズミの変異個体。常に燃え続けており、その炎を攻撃に転用する。「病魔」に特化しており、この世に生まれ落ちた瞬間に死んでおり、心臓の鼓動の速度が常人よりはるかに速く体温が高すぎて発火、身体が脳から心臓まで炭になったまま動き続けている。これはT-ウイルスの配分が多かったためと思われ、ジェーンドゥーの命令に従うものの燃え続ける動く焼死体でしかない。不規則に炎を放出するその特性から、気まぐれな火山の女神ペレと名付けられた。
・カーバンクル
ジェーンドゥーにウイルスを与えられたネズミの変異個体。高速移動と牙による掘削を得意とする。「知能」に特化しており、機械を分解して武器を作り出すことが可能。幸福を与える、という意味合いを込めてカーバンクルと名付けられた。
・ビビ
ジェーンドゥーにウイルスを与えられたネズミの変異個体。漆黒の鼠の群れで形成されたかつてのモリグナと酷似した形態を持つ。「繁殖」に特化しており、繁殖し続けるべく雌雄同体となったネズミのB.O.W.の群れの統率意思。二匹さえ残れば、計算上無限に増え続ける災厄の化身。さらにこれをジェーンドゥーに変異させることによってジェーンドゥー軍団を成立させていた。ペストの病魔を思わせることからビビと名付けられた。
・ジェーンドゥー
アンブレラの切札にして最後の隠し玉。ネズミのRT。アンブレラの上層部だけが知っているトップシークレット、文字通りの正体不明でありその知能は数あるB.O.W.の中でもトップクラス。ラクーンシティ壊滅直前にサミュエル・アイザックスとは別にアンブレラヨーロッパ支部で誕生した、アイザックスすら知らないRTの番外的存在。リサ・トレヴァーの顔から整形で顔を変え、その高い知能から五年間もの間アンブレラの顧問弁護士として地位を確立し弁護士の立場を利用して裁判を長引かせていた。
普段は太股に巻いて隠している尻尾が武器で暗殺の際はそれで心臓を貫いたり首を絞め上げたりする。ペスト菌を媒介するネズミ故に体内に特濃のT-ウイルス及びRT-ウイルスを内包しており、口付けで流し込んで感染させ、時間をかけずに変異させることが可能。現地のネズミに口づけして濃厚RT-ウイルスを与えて変異させたB.O.W をネズミの女王として自在に操ることができる。さらに自らと同じ配分でウイルスを送り込むことにより、ネズミを己の同一であるコピーにすることが可能。武器として黒と金で彩られた特注ガバメントを使う。
「ナイ」と名乗りだしたオリジナルはアンブレラから離反し、コピーのほとんどもG生物にされてしまったが、一人だけ逃走しており、新たに自分を6人に増やしてアンブレラの再建を望む。
「で、それが私ってわけ。力を貸してもらうわよ。レッドクイーン。まずは、暇そうにしているFBCにでも売り込みにいこうかしら?」
《FBCはアンブレラと秘密裏に取引していた痕跡があります。閲覧しますか?》
「へえ。頼むわ、レッドクイーン」
悪意が蠢く。アンブレラが潰えようとも、悪は消えない。
世界的製薬企業『アンブレラ』の崩壊から1年後の2004年。最先端の技術を結集して建造された地中海の海上都市「テラグリジア」で、大規模なバイオテロが発生した。テラグリジアの開発に反対していたものの1年前に消息を絶っていたテロ組織「ヴェルトロ」が、ウイルスを散布すると同時に大量のB.O.Wを放ったのだ。ヴェルトロの指導者ジャック・ノーマンを名乗ったガスマスクの男は、世界に向けて大々的に告げる。
「汝一切の望みを捨てよ。我らヴェルトロは地獄より舞い戻ってきたぞ。テラグリジアは始まりに過ぎない。之より世界は、我らヴェルトロのもとなる。ジャック・ノーマンの名は望みと共に棄てた。我が名はリ・ヴェルトロ!再誕せしヴェルトロ、そのものなり!」
のちにテラグリジア・パニックと呼ばれるテラグリジアのみならず世界の未曽有の危機に、アメリカの対バイオテロ部隊FBCのサポートとしてBSAA、エヴリンたちも参戦する。
BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnantsChronicle】
fileRV【リ・ヴェルトロ編】
近日公開。次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
一番好きなラムダ編オリジナルB.O.W.は?
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ハンターλ
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ギルタブリルV2
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ジェーンドゥー(ナイ)
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ジェーンドゥー(量産型)
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ペレ
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カーバンクル
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ビビ
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デッドエンド・ギルタブリル