BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回は、大混乱必至な内容となります。前回の予告は、つまりこういうことだったのだ。楽しんでいただけると幸いです。
fileRV【ヴェルトロとの会合】
BSAA発足から間もなくして。オルタナティブがBSAAとなって以降も、酒盛りとして使われている廃村の酒場の前に集まるのは、全員ガスマスクを首からかけて戦闘服を身に着けた男女8人。彼らは愛国者の活動団体だったものが徐々に過激化した少数精鋭のテログループ「ヴェルトロ」の一味だった。
「指定の場所はここだ。猟犬たちよ、例え異形の者たちだろうと銃は向けるな。万が一にも敵対はご法度だ」
「本当に信用できるんでしょうか。閣下」
「我らの思想を理解し、我が最高の盟友ジャックが認めた者たちだ。信じるしかないだろう」
リーダーである禿げ頭にメガネの壮年男性ジャック・ノーマンに続くのはフランス人であるベルナール・コルティと、ノーマンの腹心のイタリア人であるウゴリーノ・バローニオ。
「まさか、かのオルタナティブ……BSAAからスカウトされるとは思わなかったな。リディヤ」
「ええ。私たちだけで世界相手に孤軍奮闘しなければならないと思っていたわ」
「先輩たちはお子さんがいるから、なおさら心配だったでしょうね」
そう話すのはポルトガル人のジルベルト・レオーネとその妻である紅一点のロシア人、リディヤ・レオーネ。そして最年少の19歳のブラジル人の青年、ジャフェル・トクシュだ。
「我らの思想の理解者だといいのだが……」
「その覚悟と戦いぶりはあの日の戦いを見て知った。俺は敬意を表するね」
心配の声を上げるのはイスラム人であるハーシム・カダレ。好意的な様子なのはトルコ人のエクレム・アタイズィだ。この8人がヴェルトロであり、彼らはBSAAのプサイと名乗る人物に接触を受け、スカウトしたいと告げられ呼び出されていた。ヴェルトロとしても、国をボロボロにしたアンブレラと真っ向から戦い勝利したBSAA……オルタナティブに感銘を受けていたため、渡りに船だった。
「あ、来たわね。どうぞいらっしゃいませ!」
すると木製の扉が開いて、人間態でウェイトレス姿のシータが笑顔で案内する。そこでは既に酒の席が出来上がっていた。シータを始めとしてオメガ、プサイ、ガンマ・オルカ、ラムダが配膳を行い、B.O.W.も人間も関係なく一緒に席に座って騒いでいる。そんなきらびやかな光景を見て呆けるノーマンたちヴェルトロ。
「なんで拙者たちハンター組がウェイトレスなど……恥ずかしいでござる」
「じゃんけんで負けたから仕方ない、プサイ」
「私が奉仕してあげるから光栄に思ってよね!お客様!」
「せめて他の奴に擬態させてくれ……なんで本来の姿でしないといけないんだぜ……」
「みんな、来たわよ!今日のお客様!」
そんなシータの元気な声に反応し、視線を向ける一同。奥から、白いワンピースの上からジャケットを着たリサとオブライエンが顔を出す。
「ヴェルトロのジャック・ノーマンね。待っていたわ。私はBSAAの代表取締役のリサ・トレヴァー。こちらは私と共同で代表をしているクライヴ・R・オブライエンよ」
「あ~オブライエンです。部下の一部はもう既に飲んでいて恥ずかしい限りだが、待っていましたぞ」
「ヴェルトロのリーダー、ジャック・ノーマンだ。会合の場を開いていただき、感謝を申し上げる。しかしこれは……」
挨拶したノーマンは、少し遠慮しながらも困惑を示す。その様子を見てリサとオブライエンは顔を見合わせ、笑った。
「会合というより親睦会よ。うちの仲間は御覧の通り曲者揃いでね。貴方たちが初めて私たちの申し出を受け入れてくれた人たちだから、嬉しくなっちゃったみたいで」
「全力でもてなそうとここに案内したわけですな。ああ、もちろん。だから仲間になれ、とは言いませんぞ。熟考した上で返事をもらいたい。貴方方の行ってきたテロ行為についても、リュウジ・アンドーという腕のいい弁護士がついているので安心してくれて結構ですぞ」
「私も含めて脛に傷がある連中ばかりだから、ちょっとテロ行為したぐらいわけないわよ?」
「なるほど……ではご厚意に甘えるとしよう」
ノーマンは部下に促し、自らも席に着くと、自然と全員がジョッキを手にして「乾杯!」とルーサーが音頭をとる。会合とは名ばかりの飲み会が始まった。
「おおっと、樽ごといくんですか…?」
「私、蛇だから。
「ええいままよ!こうなればやけでござる!お待たせしましたご主人様!萌え萌えきゅんでござる!」
「プサイ、それウェイトレスじゃない、メイド。また日本の文化を知ったの…?」
ジャフェルが隣に座るヨナの酒豪っぷりに慄き、プサイがまた日本の文化を学んだのかハートマークを手で作って媚び、それにオメガがツッコむ。
「すたぁあああず!」
「ネメシス!今日は飲むぞ!ほら、お前も!」
「私の宗派では酒が飲めませんので遠慮させてください……」
「俺も混ぜてくれよ、な、リチャード!」
「イスラム人ということはイスラム教か。ほら、果汁水だ。これならいいだろう?」
ネメシスがビールを煽ってカルロスと肩を組んで上機嫌に吠え、それに巻き込まれたハーシムは遠慮するも、そこにジョセフとリチャードがやってきて混ざる。
「少数精鋭だとは聞いていたが、そんな訓練もしているんだな……」
「元軍人のクリスたちには敵わないさ。なあリディヤ」
「ええ。それに、強い女性なんて珍しいと思っていたけど、私だけじゃなかったのね」
「どっかの変態のせいでリサの姿が基本になってしまっているのよね」
「元雄とかもいるのだ」
「呼んだか?」
レオーネ夫妻と話すのはクリス、ヘカト、グラ。そこに普通のサイズのボーイッシュな人間の姿をしたリヒトがひょこっと顔を出した。
「ふへへへへへ……もっと酒を持ってこーい」
「どうしたんです?その人」
「彼女、クイーンっていうんだけど私たちみたいな人の体を持っているのと違ってヒルの集合体でね。気を抜くと全身にアルコールが回っちゃって、文字通り溶けるのよ」
「私、元同僚だけどクイーンのこんな姿なんて珍しいわよ?」
ベルナールがでろでろになったクイーンに驚いていると、隣でカクテルを飲んでチーズスナックを食べていたナイが補足説明し、果実酒を飲んでいたジルが茶化す。
「私たちは、貴方たちを引き込みたい。後々バイオテロを起こしかねない組織にはあらかた声をかけているの。悲劇を失くすためにね」
「我々も、環境汚染を起こしかねないバイオテロには否定的だ。未来的には使わざるを得ない決断をしていたかもしれないが、貴方たち元オルタナティブはテロリストまがいの組織でありながら真っ向から国そのものと言えた大企業と対立し、勝利した。我々の理想の姿そのものだ」
「嬉しいこと言ってくれるね?」
根が真面目らしいウゴリーノに詳細を話しているのはベロニカと、友子だった。そんな平和そのものの光景を見ながら、リサとオブライエンと共に席に座ったノーマンは思考する。
「……我らは同一の思想と、理念、教義を胸に戦ってきた。それは、安らぎの時などなかった。我らは猟犬だ。そんなもの、必要ないとさえ思ってきた……だが。同志たちの笑顔を見ると、その考えは間違っていたのだとさえ思える」
「ジャック、それは間違っていたわけじゃないわ。私たちもこんな余裕ができたのはつい最近よ。それまでは戦い続きだったけど、BSAAとして仲間が増えて、やれることも増えた。思想は異なるかもだけど……一緒に、世界に蠢く悪意と戦ってほしい」
そう真剣な表情で告げるリサに、ノーマンはフッと笑う。
「いいだろう。我らヴェルトロは活動をやめ、BSAAに属する。貴女がボスだ、リサ・トレヴァー」
「いいの?名前は残して同盟って事にもできるけど……」
「いいや。この行動が、その言葉が無ければ、我らもまたその悪意の一端になりかねないところだった。開発が進み、変わりつつある世界だ。そこに悪意があるかどうか、見極めることとする。みなもそれでいいな?」
そう呼びかけたノーマンの言葉に頷くヴェルトロ一同。こうしてBSAAはヴェルトロを取り込むことに成功し、共に活動を続けることになったのだが……問題は、その約1年後に起きた。
1年後、2004年。リサとクイーン、ベロニカとナイ、オブライエンとノーマンと知恵袋が集まって今後について話し合っていたところだった。聞き流ししていたニュースに、とんでもないものが映ったのは。それは、報道ヘリから撮影しているであろう、とある都市の映像。臨時ニュースらしい。
《「ご覧ください!1年前に活動をやめ、消息を絶っていたテロリストグループ〝ヴェルトロ”を名乗る犯人たちによって、テラグリジアは大混乱に陥っています!」》
「は?」
呆けたノーマンに、全員の視線が集まる。ノーマンは身に覚えがないとばかりに首を横に振った。
「私は知らないし、同志たちも全員普段通りだ。こんなことを起こす理由がない。確かにテラグリジアに思うところがないと言えば嘘になるが……」
《「たった今、全国のテレビ局に通達が来ました!どうやら映像記録の様です!」》
するとテレビの映像が切り替わって、どこかの水槽がある部屋が映し出される。そこに映っていたのは、ガスマスクの人物だ。その人物は、赤い液体の入った瓶を手に告げた。
《「汝一切の望みを捨てよ。我らヴェルトロは地獄より舞い戻ってきたぞ。テラグリジアは始まりに過ぎない。之より世界は、我らヴェルトロのもとなる。ジャック・ノーマンの名は望みと共に棄てた。我が名はリ・ヴェルトロ!再誕せしヴェルトロ、そのものなり!」》
「……なんの冗談だこれは」
「こっちの台詞よ。オブライエン!」
「今、クエントに命じてFBCに確認をとっているところですな!」
ヴェルトロはここにいるのに、ヴェルトロを名乗るバイオテロを引き越した者たちの出現。リ・ヴェルトロと名乗った男に、自分たちの名を騙って最悪の事を引き起こした怒りを込めて拳を握りしめるノーマン。ラクーンシティ以来の未曽有のバイオハザード、テラグリジア・パニックが始まった。
実は444 file4:0【大統領令嬢失踪事件】に禿のメガネの男性として出ていたノーマン。ヴェルトロ達もオルタナティブ改めBSAAに参戦です。ヴェルトロは他にもいるかもしれないけど、少数精鋭という事なので名前が判明している8人を出すことにしました。
ではどういうことなのか、となるリ・ヴェルトロ。最悪の真実がそこに。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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