BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はそんな、クイーンにとってのトラウマとの一騎打ち。楽しんでいただけると幸いです。
炎。それを見れば、否応なく思い出す。六年前、たった一日ちょっとの付き合いだった戦友を、モリアーティを失ったあの戦いを。
「アッハッハッハー!なになに!?威勢よく出てきた割に防戦一方じゃん!もしかして、炎に弱いのかな?」
「ぐうっ!?」
「クインティア!俺達も……」
「来るな、お前たちは行け!炎を舐めるな!人は簡単に死ぬぞ!」
あらかじめ溜め込んできた水を、幕の様に全身に纏って目の前のイカレ女の掌から放たれる炎を防ぎながら、背中に庇うFBCの男女二人をエレベーターに向かわせる。とにかく、B.O.W.の被害から人を一人でも多く助ける。アンブレラを潰した今、私はそのために生きている。
「っ……わかった!死ぬなよ、後から礼を言わせてくれ!」
「急ぐわよ、パーカー!」
「あ、逃がさないよ!」
「行かせないぞ!」
「ぎゃん!?」
両手から炎を噴出し、頭上を舞い上がるイカレ女に粘液糸を飛ばし、胸にくっつけて引っ張って叩き落とす。その間にFBCの男女二人はエレベーターに乗って上に逃れた。
「あいたたた……ひっどいなあ。そんなに燃やされたいなら言ってよー。お熱くいくよ?」
「生憎と炎は大嫌いなんだ。大事な仲間を殺した奴を思い出す」
「へえ、炎で死んでさぞかし幸せだったんだろうねえそのお仲間さん」
「……なんだって?」
よいしょと声を上げて立ち上がり、パンパンと服についた煤を落とすガスマスクの炎女の言葉に、眉根を寄せる。モリアーティが、
「だってそうでしょう?炎はあったかくて、心地よくて……生を実感する。私も味わいたいぐらいだよ」
「……お前は存在してはならない生き物だ。ここで殺す……!穿水!」
「ひどいなっと!」
瞬時に合掌して放った水流が、両掌から炎を放出して飛び上がった女に宙返りで回避され、扉を封じていたバリケードを破壊する。ならばと右腕を粘液硬化、着地点に向けて拳を叩き込み、驚いて咄嗟に両手を交差してガードした女を扉の先まで殴り飛ばした。
「きゃああ!?いったた……もう、炎以外で死んだらどうするのよ!」
「お望みなら殴り殺してやる!」
扉の先は、このビルのエントランスホールだった。広々とした空間の中央で、女はコンコンとつま先で地面を叩いて靴のずれを直し、ガスマスクをつけた顔でこちらに向き直る。放火、炎を愛する異常な精神。女。ここまで特徴が揃えば顔を隠していてもわかる。
「…お前、バニカ・ロイドだろう。放火魔の。そんな体になってまで燃やしたいか、異常者め」
「ざぁんねぇん。その名は燃やして捨てたの。今はバルバリシアっていうんだ。かわいいでしょ?」
「いいや、悍ましい悪魔の名だ!穿水!」
南極での戦い以降、暇さえあれば反復練習し、名前を告げればオートで身体がその動作を行える必殺の領域にまで達した「穿水」を発動。音速で水流を発射し、当たり前の様に掌から炎を放出して蒸発させてきたのを、頭上に振り上げて振り回すことで天井を切り裂き、崩落した瓦礫をバルバリシアに叩きつけ、生き埋めにしたところに再度穿水を叩き込む。しかし、撃ち抜くこと叶わず。わかってはいたがこの程度で倒せるほど甘くはないらしい。
「炎のかまくらだあ。あったかくて、危険で、さいっこー!」
「…バケモノめ」
全身に炎を纏ったバルバリシアが、瓦礫を融解させながら出てくる。あのチューブが背中のガスタンクのガスを全身に流しているのだろう。それを意図的に放出して炎を纏ったのか。器用なことをする。あのチューブは奴の体の一部で自由に表面を開閉させることが可能なんだろう。それに、あのヴェルトロの面々とよく似た黒い戦闘服。全身を纏っているそれは焦げてこそいるが燃える気配がない。恐らく専用の耐火服なんだろう。粘液硬化して殴ったのにダメージが見られない、防御力も高くて頑丈だ。厄介だ。
「……むぅ。ちょっとたんま!」
「…は?」
「ルビカンテ様からもらったけど、これ邪魔!」
そう言って脱ぎ脱ぎと、ガスマスクを外し戦闘服を脱いでいくバルバリシア。ガスタンクは外せないのか背負ったまま背中側から開いて上着を脱ぎ、ズボンも脱いで裸足となる。チューブがある関係上、ほとんどがホックで外せるタイプだったようだ。金髪ツインテールで翡翠の瞳の炎の様な髪留めを付けた天真爛漫そうな童顔の素顔を晒し、へそが出ている黒いタンクトップとワインレッド色のホットパンツ、素足の姿に背負ったガスタンクと繋がったチューブが全身から飛び出した姿となり、グググッと伸びをするバルバリシア。
「やっぱこれだねえ!炎は直に感じないと!」
「…自分から耐火装備を棄てるのか。それをどうしようかと考えてたところだったんだが手間が省けた」
「ああ、安心して?このブラとホットパンツは耐火性の特注品だし……そもそも防御なんていらないからね?」
「なに?……っ!?」
瞬間、裸足の裏から炎を放出したバルバリシアが一瞬で距離を詰めてきて、そのまま掌を背後に向けて炎を放出したことで加速した裏拳が顔に炸裂。顔を形成しているヒルが吹き飛び、崩れた顔を直す間もなく足裏から炎を放出して打ち上げた膝蹴りが顎を砕き、そのまま炎で加速して回転した回し蹴りが腹部に炸裂し蹴り飛ばされる。まるで飛び石の如く跳ねて、受付に派手に突っ込む私。中央を彩っていたガラスのスクリーンに水が流されていたオブジェクトが砕け散って崩れ落ちた。
「がはっ……足裏からも、炎を出せるのか……」
「あっつーい!生きてるって感じ!むしろ私にとって服は重荷なんだよねえ。ヴェルトロを騙るからちゃんと変装しろと言われたけど、バレてるなら関係ないよね?貴女強いし。出し惜しみなんか、してられないよねえ!」
そう言って炎を放出しながら床に触れ、まるでアーク溶接の様に炎を圧縮して斬撃を放ち、切り取って熱した瓦礫を持ち上げるバルバリシア。するとさらに火力を上げて瓦礫を炎上させ、振りかぶる。
「特大の~花火!」
「穿水!」
掌からの炎で加速させ加速させたそれに、咄嗟に吸い上げた水をそのまま体内を循環させ、水流レーザーを放って撃ち落とさんとするが、あまりの高熱を持ったそれに冷えた水を当てればどうなるかは必然で。水蒸気爆発が私たちの間で爆ぜた。
「きゃああああああああ!?」
「ぐああああっ!?」
咄嗟に粘液で全身を覆い、硬化。しかし衝撃までは防げず、吹き飛ばされる私と、爆発をもろに受けて無駄に広い天井に打ち上がるバルバリシア。しかしすぐに両手両足から炎を放出して急ブレーキして空を舞う。
「ゆーふぉー火遊び!」
「ぐああっ!?」
バルバリシアはまるで腕を組む様にして両掌から炎を放出して回転、UFOの様にグルグルと回りながらさらに足裏からの炎で加速した蹴りを縦に回転しながら叩き込んできて、頭頂部に叩きつけられ床に叩きつけられる。そして着地して「おっとっと」とバランスを崩すもすぐに立て直したバルバリシアに首を絞められ持ち上げられる。
「あはっ!念入りに燃やして殺し上げる!幸せでしょ?でしょ?いいなあ、羨ましいなあ」
「……ぐふっ。わざわざゼロ距離まで近づいてくれて、礼を言う……」
「え!お礼言われちゃった!やったー!でもなんで?」
「私は炎に仲間を殺された……あの時の悔しさは、今でも忘れられない……なにも対抗策を考えていないと思ったか。潤沢な水と、チャージ時間……条件は満たされた」
そう言って、両手を合掌して指先だけ開いてバルバリシアの胸部に突きつける。以前はミランダの力を借りてできた芸当、それをこの六年間、暇さえあれば練習し続けものにした。大量の水を体内に循環させて掌に集束させ、溜めて溜めて溜めまくった私が出せる最強の一撃、水大砲!
「
高火力と高機動力を併せ持つバルバリシア。チューブワームの熱耐性とそれを利用した両手両足から炎を放つだけなんですが、シンプルなのが一番強いのだ。にしてもリ・ヴェルトロの女性陣、癖が強いのしかいない。なんなら男組の方が大人しいまである。
炎がトラウマとなり、今度は同じ轍は踏まないと鍛錬していたクイーン。炎が苦手なのにバルバリシア相手に立ち向かったのはそんな理由でした。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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