BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はノーマン視点。今章は群像劇なのでコロコロ視点変わるけど許してください。楽しんでいただけると幸いです。
10年前。田舎の大学で教鞭をとっていた俺たちは、その日、運命の出会いを果たした。同じ思想。同じ不満。同じ夢。たった一人で抱えるしかなかった想いを、ふとしたことから共有して。俺達は、ジャック・ノーマンとガブリエル・ジョーンズはかけがえのない親友となった。
「ガブリエル!俺と一緒に世界を変えよう!身勝手な人間たちの手から自然を救うんだ!」
「ああ、ジャック!俺達ならできる!志を共にする同胞を集め、共に世界と戦おう!」
生徒たちに冷めた目で見られていたが、関係なかった。長年燻ぶり続けていた思いを共有できる者が現れたのだ。そうして我らは「ヴェルトロ」となった。
しかし、思想を共にする同志を集めていくうちに、何度も問題が起きた。人間とは、その内心まで知ることは不可能だと思い知った。
上っ面だけで理解すら示そうとしなかった者。
ヴェルトロの名を大義名分に己の欲望を満たそうとしていた者。
ただただ私に心酔していて、勝手に解釈して暴走した者。
人間たちから自然を守る、という目的を復讐の道具にした者。
自然を守ることよりも、血肉を見ることに執着してしまった者。
たくさんいたが、心が折れそうになったのは親友だと思っていた者の凶行だった。
―――――「人間がいる限り、自然を守るなんて不可能だ。なら、まず人間を粛清するんだ、ジャック」
―――――「馬鹿な!そんなものを使えば、何千何万、多くの人間が死ぬぞ!自然だってどんな悪影響を受けるか……」
―――――「正しい人間だけ生きればいい。生き残った愚か者たちも思い知ることになる。自然を蔑ろにしてきた報いだとな!」
―――――「……私はその愚かな者たちにもわかってほしいんだ。死んでほしいわけじゃない。すまないガブリエル。止めさせてもらうぞ」
―――――「なんだと?貴様、ジャック!まさか、警察に密告したのか!この……裏切り者が!」
ガブリエルは凡人である私と違い天才だった。大学でも薬学教授だったのだ。だからこそ、化学兵器を容易く生み出すことができた。雨雲に干渉し、全てを溶かす強酸性の酸性雨を引き起こす薬品「ブラッドレイン」。そんな凶行を止めない選択肢など、なかった。私は、親友の悪行を警察に密告した。電話で引き留めている間に警察が突入し、現行犯で逮捕された。
ガブリエルははき違えていたのだ。我らは決して悪ではない。悪になってはいけない。悪に堕ちてでも目的を果たすのは、違う。悪になった者の訴えを誰が聞くというのだろう。聞いたとしてもそれは恐怖からで、我等ヴェルトロの求める「理解」では断じて違う。我等は正しさのために我等の信じた正義に殉じるのだ。
「……そうだ、ヴェルトロの名で悪を成させるわけにはいかない…!」
奮起する。間近で見たハンターπの、知人とよく似た顔の潤んだ瞳に、振り上げた拳を下ろせなかった隙を突かれて胸を大きく切り裂かれて倒れ、酸性雨に打たれて朦朧としていた意識を覚醒させる。立ち上がれば、驚いた様子のハンターπが酷く怯えた様子でこちらを見ていて。しかし後ろ手に構えた爪を見過ごさなった私は容赦なくストレートパンチで殴り飛ばした。
「全員、気を付けろ!ハンターπはこちらを油断させる演技を覚えている!騙されるな!悪に、屈してはならないぞ!」
「ジャック!死んだと思ったぞ!」
「閣下、ご無事で!俺の装備を着てください!」
「いや、いらん!私は……いや、俺はガブリエルを追いかける!道を開けてくれ、ヴェルトロの猟犬よ!我が信を預けるに足る盟友たちよ!」
酸性雨が降り注ぎ融解した鉄から発生した煙が充満する甲板で、そう叫ぶ。すると、ヴェルトロの猟犬たちの咆哮が上がった。
「もちろんだ、閣下!」
「奴だけは我等で決着を付けねばなるまい!」
「私達は、閣下の導くままに!」
「いくぜ、ヴェルトロ!オー!」
「こいつを持って行ってくれ閣下!」
エクレムからアサルトライフルを投げ渡され、受け取る。ありがたい。ガブリエルの毒で溶かされてしまっていたからな。
「……ジョーダン。まだ休む?」
「冗談だろ、リヒトさん。あんな熱いもの見せられて奮起しないなんて男が廃るぜ!」
すると、ハンターで埋め尽くされていた一角が吹き飛ぶ。見れば、屋根の下に避難していたサミュエル・ジョーダンが拳を振り上げて立っていた。ヴェルトロの装備がないながら、酸性雨に打たれて血まみれになりながらジョーダンは上司のリヒトと共に笑う。
「ノーマン!ジョーダンも連れてってくれ!ここにいるよりは役に立つ!」
「あったまったぜ!準備完了ゥ!ヘビーパンチの俺が手伝うぜ、ノーマン!」
「わかった、一緒に来てくれ!ジョーダン!」
ヴェルトロのみんなとリヒトの奮闘で開けてくれた道を、ジョーダンと共に突っ走ると同時。鍵が閉じられた扉に向けて、拳を振りかぶるジョーダン。
「あーっ!このドアぶっ壊したいぜ!俺に任せとけ!YEAH!!」
「おおっ!」
そのままただの一撃で扉を殴り壊して、船内に雪崩れ込む。壊された扉はリヒトがその巨体で遮ってハンターたちをせき止めてくれていた。それを確認してからエレベーターに乗り込む。
「おい、エレベーターに乗ってたのは見てたけどよ、選択肢が多すぎるぜ!どこだ!?」
「……奴は恐らく、このブラッドレインの惨状を確認したいはずだ。地図はあるか?展望デッキへのルートを探そう」
「さすがヴェルトロのリーダーだぜ!」
そのまま地図を確認してからプロムナードの階で降り、やはり溢れているハンターαとπの群れを蹴散らしながら先にあるホールを目指す私達。
「カンフーで、倒すぜぇ!テメーはもう死んでいる!」
ジョーダンは酸性雨の中での鬱憤を晴らさんとばかりに次々と銃で頭部を撃って怯ませたかと思えば一撃で殴り飛ばしている。私も負けてられないなとばかりに頭突きでハンターαをぶっ飛ばして後続を巻き来んで店のキッチンにまで叩き込み、ガスタンクを撃ってまとめて爆散させる。
「おおっ!派手だな!しかも頭突きでぶっ飛ばすなんてクールだ!」
「若者に負けてばかりではいられないさ。ジョーダン、君の暴れっぷりも見ていてスカッとする」
「嬉しい言葉だ!みなぎってきたぜ!絶好調だ!」
《「また、前途ある若者を誑かしているのか?ジャック」》
すると、館内放送用のスピーカーから声が聞こえてきて。そちらに視線を向ける。監視カメラも仕掛けられているらしい。この船は奴らの拠点にして、実験場なのだろう。
「ガブリエル。彼は自らの意思でオルタナティブに、BSAAに所属していた勇気ある若者だ。馬鹿にしてくれるなよ」
「俺たちを監視するな!おい、姿を見せろ卑怯者!俺たちが相手になってやるよ!」
《「卑怯者は親友を警察に密告したそこの男だと思うがね。いいだろう。展望デッキで待っている。来れるものなら来てみせろ」》
「上等だぜ!」
言いながら、ジョーダンとコンビネーションの拳でハンターたちを殴り飛ばす。すると、ハンターπが三体こちらに向けて突撃してきた。その眼に涙をため、悲痛に表情を歪め、躊躇しながら。爪を構えて突撃してきて。
「私達だって戦いたくない!」
「だが命令には逆らえない!」
「死んでくれ!」
「えっ」
「……悪いが、過去にそんな上っ面だけの演技に、騙されたものでな」
ジョーダンは信じ込んで躊躇してしまったが、私は違う。バニカ、マリア、セレナ。平気な顔で嘘をついて私の同情を誘った悪魔たちを思い出す。彼女たちを引き入れなければ、どれだけ血が流れずに済んだことか……!アサルトライフルを三連射、三体の頭部を撃ち抜いて、後続に銃口を向ける。
「ヴェルトロが押し通るぞ!」
「ボコボコにしてやるぜ!」
ジョーダンは地味にリヒトと一緒にリヒトチームの前衛を任されているだけあって実力者です。
演技を覚えたハンターπたち。ジェーンドゥーの仕込みです。曰く「可愛い顔してるんだから女の武器を覚えなさい」。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
一番好きなラムダ編オリジナルB.O.W.は?
-
ハンターλ
-
ギルタブリルV2
-
ジェーンドゥー(ナイ)
-
ジェーンドゥー(量産型)
-
ペレ
-
カーバンクル
-
ビビ
-
デッドエンド・ギルタブリル