BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はプライム戦の続き。楽しんでいただけると幸いです。
「シュー……ハーッ……」
「はあ、はあ……」
見えない。速い。強い。直感で対抗しているが、それができるのは自分だけ。次々と、ジャンが、ジョージが、タイローンが、仲間が切り裂かれて倒れていった。さすがというべきかギリギリ体を逸らして急所を外しているが、それでも戦闘不能だ。目の前の白いハンターは目が光ったと思えば姿を消し、虚空から高速で襲ってくる。からくりが見えない。ただただ甚振られていく。
「このお!」
咄嗟に跳躍して乗った上の通路を走りながら天井を切り裂き、瓦礫の雨を降らして他のハンターたちも合わせて攻撃するも、なにもいないのに一瞬で斬り裂かれて細切れとなり、次の瞬間には蹴り飛ばされて受付の机に激突する。そこにハンターαとハンターπの群れが群がり、一閃。斬り捨てて脱出するがその瞬間には見えない手に顔を鷲掴みにされ、宙を舞っていた。
「なっ……!?」
鋭い爪が顔に突き刺さり固定され、振り回されてから天井に背中から叩きつけられる。空気が肺から強制的に吐き出され、そのまま解放され落下、したところに横から蹴りを叩き込まれ床を転がっていく。駄目だ。手も足も出ない。近づいてくるハンターα二体。それを見て、思いだしたのは5年前のアンブレラ幹部養成所で付き従ってくれていたハンターたち。
「そいつを襲え!」
私はハンターの上位種だ。直属の配下でなくても、ある程度は命令で操れる。振り返り、姿を現した白いハンター目掛けて首狩りを行うハンターα二体はしかし、白いハンターがただ右手の人差し指を振るっただけで首が切り離されて床に転がった。駄目だ、隔絶的な差がある。生物としての格の違いを感じ取る。ああ、私の目の前にいるのは……最上級のハンターだ。
「ぐうっ……!?」
歩み寄ってきた白いハンターに再度顔を鷲掴みにされ、締め上げられる。冷酷な瞳の視線が私に突き刺さる。ああ、これは……私が至るはずだった未来だ。
これはなんだ、と。FBC長官モルガン・ランズディールはかつてない焦燥に追い込まれていた。
ラクーンシティ崩壊直後に作られた対バイオテロ組織FBC。しかしその必要性はオルタナティブの活躍で疑問視され、小さなバイオテロを解決する程度では何にもならなかった。大規模バイオテロを引き起こすと考え秘かに援助していたアナーヒタ・ウェスカーもオルタナティブに倒され、唯一アドバンテージだった国公認という立場も、オルタナティブがBSAAに再編されたことで意味をなさなくなった。ならば、方法は一つしかない。FBCの手柄となるバイオテロを仕立て上げる。ハンターの群れというBSAAでもそう簡単に解決できない規模を、切札を持って解決する。そのために、名を上げてきていたテロ組織ヴェルトロを囲い込もうとしていた。
だが、その矢先に本来は時間をかけて取り込み手駒にする予定だったヴェルトロが行方不明となり、急遽アンブレラの伝手を使ってジェーンドゥーに「魔女」と名乗って接触。かつてヴェルトロだった凶悪犯たちを開放し、十分なパフォーマンスにふさわしい力を与えて新たなヴェルトロとした。あとはこれを鎮圧するだけ。新たなヴェルトロにこの事実は伝えてないが、弱点は把握しているため簡単に制圧できる手筈だった。
しかしこれはなんだ。テラグリジアは予期してないほどの大災厄に見舞われた。それはハンターによるものではない。ただ見たというだけで殺された死体の群れ。ハイウェイの大虐殺。業火に包まれた街。それは、新たなヴェルトロによって引き起こされた災厄だった。切札を使えば、解決はできるだろう。だがそのためにはまず、自分がテラグリジアから逃げなければ。そう画策していた時だった。
ハンターだけしか到達できないはずの、FBCの面々でも対処は可能だったはずの、そこに。真正の怪物がやってきたのは。
「シュー……ハーッ……」
「ぐう……」
閉じられていた扉が一瞬でバラバラに切り裂かれ、オメガの頭を鷲掴みにした異形のハンター……ハンター・プライムが、ハンターαとπの群れを従えてそこにいた。真っ赤な口が弧を描き、嘲笑を浮かべる。その視線は、モルガンとオブライエン、FBCとBSAAの代表に向けられている。
「そんな、オメガ!」
「馬鹿な……あのBSAAの部隊が傷一つつけられてないだと!?」
「外にはFBCの兵士たちもいたはずだ!彼らはどうしたっていうんだ!?」
「まさか、全滅!?」
「撃て、撃て!」
「なんだこいつは。私は知らないぞ……」
部下の悲鳴や怒号を聞きながら、モルガンは困惑する。ジェーンドゥーに依頼したのは、あくまで新たなヴェルトロとハンターの群れ、のみ。こんなハンターは知らないし、伝えられてもいない。完全な予想外、完璧なまでのイレギュラー。弾丸をものともせず、爪の一振りで人間をバラバラにするその脅威に、震える。
「長官殿!無駄死にだ!今すぐ退避を!」
「……わかっている。退路は?」
「へ?」
「ここから脱出する!避難路を探れ!あの扉を使わないルートをだ!」
「大変です長官!一階と二階が火の海になっています!これでは地上からは逃げられません!」
「屋上のルートにはハンターが多数!逃げられません!」
オブライエンの言葉に頷き、退避を考えるが既にハンターたちに囲まれていて。察する。ジェーンドゥーは、BSAAとFBCを同時に潰すことで自らの有用性を示すつもりだ。「魔女」と名乗りながらも自らがFBCでありこれはパフォーマンスだと伝えていたはず。だがしかし、予想以上の戦力を揃えてきた。確実にこちらを殺すために。万事休すだ。BSAAとFBC、二大勢力を失えば世界は文字通り瓦解する。
「ニール!ニール・フィッシャー!」
「はい、閣下!」
「この場を切り抜けるぞ!こんなところで死んでたまるか!」
「私も、微力ながら助力しますぞ…!」
モルガンは腹心でありFBCのナンバー2である男と共に銃を構え、オブライエンもそれに追従する。それを見てさらに笑みを深めるハンター・プライムは目を光らせ、その場にオメガを投げ捨てて姿を消した。慌てて、他のFBC職員と共に四方八方に撃つモルガン達。しかしまるで手ごたえがない。姿を消したうえで高速で移動しているのだ。
「この力は……オメガがやられるわけですな!」
「ニール!どう見る!?」
「さっきまでと空気が変わりました!恐らく奴の口からなにかガスの様なものが漏れ出て、あの光を合図に幻覚を見せられているんじゃないかと!」
「実体はあるという事か……ならば!撃て、撃ちまくれ!FBCの意地を見せろ!」
そう叫んで士気を上げるモルガンに続き、弾丸が飛び交う。しかし、次々と首が斬り裂かれて倒れていく同僚たちに不安が広がる。この狭い部屋で大群を使うのはダメだと考えたのか、たった一人。姿を見せず単騎でこちらを制圧する様は脅威でしかない。
「……そうですな。すぐに応援を。オメガがやられているぐらいだ、彼らを……!」
「なにをよそ見しているオブライエン貴様!」
「応援を呼んだ。持ちこたえれば、頼もしい助っ人が来てくれますな!」
「どう持ちこたえろと!」
どこかに連絡していたオブライエンに怒鳴るモルガン。文句を垂れるニール。次々とFBCの人間が殺されて生き、そして、その凶刃がついに三人に迫った、その時。
「……ごめんFBC。弁償はオブライエンのとこに出しといて」
バチバチと、置かれていたパソコンがすべてショートして爆発。ハンター・プライムは無理矢理姿を晒され怯む。何とか意識を持ちこたえていたジャンがオーバーロードさせたのだ。そして姿さえ見えれば。
「させない…!」
「シュー…!」
オメガが背中から飛び掛かり、脅威の腕力で左手の指を肩にめり込ませてしがみつきながら、右手の爪を何度も何度も叩きつける。強固な皮膚に爪はとおりもしないが、それでも煩わしいのかオメガを捕らえようと暴れるハンター・プライム。すると、屋上に通じる廊下の扉が開き、ハンターが飛び込んできたのかと銃を向けるモルガン達。しかしてそこにいたのは……。
「BSAAのクリス・レッドフィールドだ!」
「ジル・バレンタインよ!」
「ジョセフ・フロストだ!」
「同じく、シータ!お待たせ!オブライエン!オメガ!」
クリス、ジル、ジョセフ、シータ。元S.T.A.R.S.の三人と、元H.C.F.の傑作が、そこにいた。
これで全敵を一周したかな?
相変らず計画とか度外視で勝手にやらかしたジェーンドゥー。「魔女」ことモルガンも予想外のハンター・プライムを投入したり予定よりもリ・ヴェルトロを凶悪にしたりとそれはまあやらかしてます。
プライムはずばり、アビス完全体のハンターπVer.となります。消える、速い、強い、硬い。いいとこどりの最強のハンターです。
そこに到着。クリス、ジル、ジョセフ、シータ。BSAAも戦力の温存とかできなくなってまいりました。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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