BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。最近スランプで上手く書けてないかもしれません。でも、場面をいったん飛ばすという技術を覚えた気がする。

カルコブリーナに囚われたガンマの心の内。楽しんでいただけると幸いです。


fileRV:12【怪獣】

 私には、自分をドクターと呼べと言ったダディがいた。Dr.ローガン・カーライルだ。ダディは研究員だった。あの頃は頭が悪くて理解できなかったけど、私たち「γ」と呼ばれる個体を育てて誰かを見返そうとしていたようだった。だけど、愛情いっぱいに育てられた。家族は助け合って生きるのだと教えられた。だから、一人ぼっちで下水道を彷徨っていた時に「親になってあげる」と言ってくれたエヴリンを、助けようとそう思ったのだ。

 

 エヴリンはいろんなものを与えてくれた。新しい家族、確かな愛情、知らない知識。何もかもが新鮮で。

 

 エヴリンはみんなのお母さん。クイーンは誰よりもちっちゃいけど誰よりも頼もしいお母さん。リサはいつも冷静で私たちみんなのことを妹の様に思ってくれているお姉ちゃん。

 

 プサイはハンターの中では一番上の変人なお姉ちゃん。オメガは無口だけど優しいお姉ちゃん。ヘカトは変態だけどみんなを守ってくれるお姉ちゃん。

 

 ヨナは悪ぶってるけどいい人なところを隠せてないお姉ちゃん。グラは素直で食いしん坊で真っ直ぐな見ていて気持ちいいお姉ちゃん。リヒトは大きな体でみんなを守ってくれる頼れるおねにいちゃん。

 

 シータは生意気で素直じゃないけど可愛い妹。ベロニカは頭がよくていろんなことを教えてくれるお姉ちゃん。メリカは記憶がないけど元気に振る舞う健気な妹。ラムダは舌をマフラーみたいに巻いてたり変な子だけど頑張り屋さんな妹。

 

 ネメシスも、マヌエラも、クラウザーも、ナイも、カルロスたち人間のみんなも、みんなみんな私の家族だ。

 

 でも私は頑丈なだけで弱くて。賢くなっていくたびにそれを痛感して。みんなの物真似ができるようになったけど、でもそれはエヴリンの真似でしかなくて。南米の任務の時に、転機は訪れた。よくわからない鎧の人に洗脳され、P-ウイルスによりシャチの力を与えられて、私は今までとは真逆に賢く強く、自信に満ちた「大人の私(ガンマ・オルカ)」になった。でも洗脳でヨナ達の敵になった上に、それが当たり前だと認識していた上に、調子に乗った挙句返り討ちにされてしまった。そのあと、正気に戻ったけど性格はそのままで、帰還した時はエヴリンに驚かれた。

 

 エヴリンが「ヘカトちゃんと同じ要領で戻せるかも?」と言ってたけど、弱い自分に戻りたくなかったから断った。私は怖かったのだ。戻ることで、エヴリンを、みんなを助けることができなくなるのが。自尊心に満ちていたけど、能天気だった前とは逆に不安に満ちた卑屈な心になっていたのだ。

 

 でもテラグリジアの任務で、ヨナとグラがやられて。私も負けそうになって。前の自分に戻る決意をした。まるで真逆な別人の様で、でもやっぱり私。勝利したと思ったけど詰めが甘くて、肉体を乗っ取られてしまった。やっぱり私は弱いままだ。ヨナとグラは一方的に叩きのめされてしまった。悔しい。苦しい。怖い。助けて。

 

 

「ふふふっ、一つの体を介した愛しあう時間は格別です……マリアと意識まで共有できるなんて、この身体は素晴らしいですねぇ」

 

『……なにしてるの』

 

「おやおや、誰か来たかと思えば。子供が何をしに来たんですかぁ?」

 

 

 私の口から二つの声が聞こえる。ああ、誰かまた来たんだ。逃げて。お願い。

 

 

『私の娘に、なにしてんだって言ってるんだ!』

 

「貴女も私たちの蜜月の邪魔をするのですか?プチッと潰してさしあげます…!」

 

『もう大丈夫だよ、ガンマ!』

 

 

 闇に飲まれそうな私に差しのべられる手の様な輝く声に、前を向く。そこには、自信に満ちた表情の私より幼く見える人がいて。瓦礫の拳をものともせず、怒りに満ちた目で睨みつける。

 

 

『私が来た!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 燃える。燃える。全てが燃える。致命傷を負ったことでアドレナリンがドバドバなのだろう放火魔女の動きが変わった。両手両足から炎を放出し、自在に空を舞い、次々と炎で加速した裏拳や蹴りを叩き込んでくる。速い上に炎を纏っていて、粘液硬化が意味をなさない。さらには今いる建物が炎上し、炎に巻かれて高温になっていくこの場では、穿水が届く前に蒸発してしまう。粘液糸もすぐ乾いて崩れてしまう。打つ手がない。水分がないと、私は無力だ。

 

 

「それそれー!」

 

「くそっ!?」

 

 

 クルクルクル!と腕組みしているような体勢でUFOの様に回転しながら空を舞い、体当たりを仕掛けてくる放火魔女を、紙一重で回避する。通り抜けていった床が黒く焼き焦げて炎上している。そのまま頭を下にして回転し、ブレイクダンスの様に炎を放出する足で加速して何度も何度も蹴りつけてきて、そのまま手で持ち上げて跳躍。

 

 

「アハッ、もう終わりー!?」

 

「ぐはっ!?」

 

 

 そのまま両手で火炎放射を私に浴びせながらその反動で宙に舞い上がり、足裏に炎を灯して反動でくるりと縦に一回転して踵落としを叩き込んでくる放火魔女。頭から床に叩きつけられ、後頭部を踏みつけられる。一瞬だけ足裏から炎を出して、私の後頭部が焼かれて苦悶の声を上げる。

 

 

「ぐあああっ……」

 

「燃えるの気持ちいいでしょ?私ね、家族のみんなも燃やして送ってあげたんだあ。みんな、楽しそうに叫び声をあげながら死んでったんだよ。羨ましいでしょ?貴女も今から送ってあげるね!」

 

 

 そう言って掌を突きつける放火魔女。高熱の炎が圧縮されていき、チューブと掌が赤熱する。あれは放たれたら終わりだと確信するほどの熱量だ。

 

 

「燃えちゃえ~!?」

 

 

 その瞬間、壁一面の窓ガラスを突き破ってなにかが転がってきて、床に伏せていた私の上を素通りして放火魔女を轢いて押しつぶし、床に打ち付けられた。

 

 

「な、なになに~?」

 

「……不覚です。あ、バルバリシアじゃないですか。ちょうどいいところに、アイツを焼いてください!」

 

 

 そこにいたのは、何故か以前の姿のガンマを覆い尽くしたスライムが瓦礫の両腕両足を身に纏った様なやつで。金魚鉢の様な顔が立て続けに変形して別の顔を形作り、バルバリシアと呼ばれた放火魔女と共に立ち上がって窓の方を向く。そこには、モールデッドの上半身と、カビで覆われた10メートルはある蛇の下半身を持ち耳元まで裂けた口の異形。背にはおっかなびっくりのグラがしがみついている。たしかモールデッド・ラミア。ヨナとエヴリンの合体形態だ。エヴリン、お前まで来たのか、という軽口を叩こうとしたが言えなかった。その顔がモールデッドでもわかるぐらいかつてないほどの憤怒に満ちていたからだ。バルバリシアも「ひえっ」と軽く怯んでいた。よく見ればモールデッド・ラミアの向こう側、結構離れたビルの最上階の外壁に大穴が開いていて。

 

 

「『大人しくガンマから出ろ。そしたら見逃してやる』」

 

「冗談じゃありません。こんな強い肉体、手放すわけがないですよ。人質にもなりますし?貴女こそこの身体を傷つけたくないなら、大人しくしてください」

 

 

 代わる代わる声を変えてモールデッド・ラミアの問いかけにそう答えるガンマを乗っ取ったなにか。グラが恐る恐ると背中から降りて私を抱えて離れていく。クラウチングスタートの様な体勢となるモールデッド・ラミア。

 

 

「『警告はしたぞ』」

 

「この身体を傷つけることができないのに?投げるだけだった貴方に何が……!?」

 

 

 瞬間、両手で床を弾いて勢いよく突撃したモールデッド・ラミアがガンマの巨体を縛り上げて持ち上げ、勢いよく頭から叩きつける。そのまま振り回し、自分が焼けることも厭わずに燃える壁に勢いよく叩きつけていく。あのスライムと仲間なのか、バルバリシアが炎を放出して飛び上がって火炎放射を叩き込むも、モールデッド・ラミアは邪魔だと言わんばかりに尻尾を叩きつけて吹き飛ばした。その何者も寄せ付けない姿は、怪獣映画のそれだった。

 

 

「『ガンマはこれぐらいじゃビクともしないぐらい頑丈なんだ。強いんだ。なめないでよね、私の子供たちを』」

 

 

 ああ、ラクーンシティで子供を作った時に困惑していたのが懐かしい。立派に母親しているな、エヴリン。




誰よりも純粋だけどなまじ賢くなってしまったために苦悩していたガンマ。誰よりも頑丈で、丸呑みという即死攻撃があるから弱くはないんだけどガンマにとっては身体能力がある方が強いらしい。

ブチギレエヴリンと、久々登場モールデッド・ラミア。アルテに負けた以来の登場だけど今度は大活躍です。カルコブリーナの巨体を持ち上げて、結構遠くのバルバリシアが暴れていたビルまで投げ飛ばすパワーは、全身筋肉の蛇由来のもの。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

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