BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
映画でエレベーター内での戦いを見るのが好きなんですよね。キャプテンアメリカとか。リベレの展望デッキ直前のいざこざも好き。
今回はクイーン・ディードでの一幕。楽しんでいただけると幸いです。
「ふんっ!」
クイーン・ディードの甲板で。鉄すら溶かす酸性雨が降り続ける中、奮戦するリヒトとヴェルトロのメンバーたち。例え強固な皮膚と鱗を持とうと、例え完全装備していても、原形を保つことはできても無効化できているわけではない。酸性雨がじわじわとスリップダメージを与える中で、ハンターαの顔を握りつぶしたリヒトがハンターπを踏み潰しながら尻尾で薙ぎ払い、ヴェルトロの面々がアサルトライフルで蹴散らしていく。
「全然減らない!どういうことだ!」
「早く片付けて閣下の援護に向かいたいのに!」
「ここがハンターを生みだし続けている工場ってのは間違いないらしいな!」
「クソったれ!外でこれなら中はもっとやばいぞ!」
「閣下を助けるにはどうすれば……」
「っ、そうだ。リヒトさん!あんたも行ってくれ」
リヒトに群がっているハンターを撃って救助しながら、最年少のジャフェルが吠える。リヒトは首狩りしようと飛び掛かってきたハンターαの首を掴んでへし折りながら答える。
「俺がいなくて大丈夫か!?」
「俺達は地獄の猟犬ヴェルトロだ!」
「あんたがいなくても何とかしてみせるさ」
「行ってください、リヒト殿!」
「……わかった!」
頷くなり、人間態に擬態して縮むことでハンターの飛び掛かりを回避し、壊れた扉からリヒトは船内に入っていった。
「……奥の手使うかな」
ハンター軍団相手に一騎当千の大暴れで突き進むノーマンとジョーダンのコンビ。もみくちゃにされながらも拳と頭突きでバリケードごと吹き飛ばし、その先にシャッターを見つけた二人。前後からはハンター軍団が迫る。
「しめた!ジョーダン!」
「まかせろぉおおお!」
「やめろー!」
「しにたくなぁーい!」
前から突進してきた心のこもってない言葉を吐くハンターπたちを殴り飛ばして、潜り抜けるとジョーダンがバスケ選手さながらのジャンプでシャッターを握ると、ガシャン!と下ろして背後のハンター軍団を締め切るようにシャッターを下ろした。
「元ボクサーのジャンプ力舐めんな!ルーサーに鍛えられてるんだからな!」
「ジャンプ力関係なくないか…?いや、ウエストは元バスケのスター選手だったな。いい仲間を持っている」
「水臭いな、今はあんたも仲間だぜ!ノーマン!」
目の前の階段を上った先の扉を潜り抜けた二人は、今までの暗い雰囲気から一転、煌びやかな黄金の輝きが眩しいホールに出た。しかしやはりというか、吹き抜けになっている上の通路にハンターが敷き詰めあっていて、階段を駆け下りたり飛び降りたりして殺到してくる。
「広いところに出たぜ!団体様もいやがる!」
「マップによればあのエレベーターから展望デッキに行けたはずだ。強行突破するぞ!」
「よっしゃ!とっておきを使うぜ!」
ハンドガンをしまって、背中にのベルトに背負っていた酸性雨でフレームが少し溶けてるショットガン「ドレイク」を取り出し片手で構えるジョーダン。ボクサーであり腕力には自信があるジョーダン用に高火力に改造されてあるそれの一撃が、広範囲のハンターたちを吹き飛ばした。
「そんな武器があるなら早く使えばよかったんじゃないのか?」
「鉄に囲まれた閉鎖空間だとどうしても跳弾が怖いからな!使用は見極めるようにリサさんに言われてる!」
「なるほど、道理だ」
言いながら、首狩りしてきたハンターαに頭突きを叩き込んで吹き飛ばし、アサルトライフルを振り回して弾丸をばら撒き牽制するノーマン。その隙にエレベーターに乗り込み、ノーマンを援護すべくドレイクを背中に背負いハンドガンを撃つジョーダン。
「カバーするぜノーマン!」
「助かる!待っていろ、ガブリエル!今行くぞ!」
「震えて待ってやがれ!」
ノーマンが乗り込んだのを確認すると片手でボタンを押してエレベーターが上昇を始め、そう意気込んだ時だった。
メキメキメキメキ!バキャン!ズゴォオオオオンン!!!
「な、なんだぁあああああ!?」
「うおおおおっ!?」
何かが拉げる音、破砕音に続いて、轟音と共にエレベーターが大きく揺れて転ぶジョーダンと、とっかかりに掴まり転倒を回避するノーマン。停止したエレベーターの中で二人が様子を確認していると、ジュクジュクと嫌な音を立てて天井が溶け落ちて、開いた穴から真っ赤な顔が覗き込んだ。ルビカンテ、ガブリエル・ジョーンズだ。
「ガブリエル……っ!」
「呼ばれたから来てやったぞ、ジャック!」
そのまま穴を飛び降りてきて、二人の間に着地。咄嗟に叩き込んだジョーダンの拳を左手で受け止めて引っ張り、頭突きをしようと振りかぶっていたノーマンに叩きつける。そのままストンプを繰り出し、二人は咄嗟に転がって回避するもエレベーターが大きく揺れる。
「どうした!その程度か!ジャーック!」
「くっ、うおおおおおおっ!」
見た目以上の質量を有しているらしいルビカンテの腹部にアサルトライフルの銃口を突きつけ、連射するノーマン。その眼には涙すら浮かび、ルビカンテ越しに撃ち抜かれたガラスが飛び散り、下のハンターたちに降り注ぐ。腹をぶち抜かれたルビカンテは、口の端から血を垂らしながら嗤っていた。
「てめえ、なにがおかしい!ノーマンは、ダチのあんたを殺したくないんだ!」
「友人?裏切り、警察に売った俺を友人だと?笑わせる!とんだ偽善者だなノーマン!犠牲なくして大義はなせぬのだとなぜわからん!」
「ぐあああっ……」
胸ぐらを持ち上げれたノーマンを助けようと殴りつけるジョーダンの拳を全く意に介さないルビカンテ。口から酸性の赤い煙を吐いてエレベーターの壁に穴を開けると、そこからノーマンを投げ捨てる。落ちてきたノーマンにハンターたちが群がり、慌ててジョーダンも飛び降りて殴りつけて追い払う。その光景を見ながらルビカンテは、胸ポケットから取り出した赤い液体の入った瓶の蓋を開けると、グイっと飲み干した。
「もはや自我などいらん。この身を捧げて救済を成そうぞ……!」
「…ぐう、なんのつもりだ、ガブリエル……!?」
するとグシャア!という音と共に、ルビカンテの全身から刃が突き出して酸性の鮮血が飛び散る。ジュクジュク溶けていくエレベーターが崩れ落ち、ベチャッと床に叩きつけられるルビカンテは、徐々に顔から広がるように全身の肌が赤く染まっていき、複数の小さな刃が飛び出した赤い顔を向けて白目をむいて耳まで口の端が裂けて歯が剥き出しな壮絶な笑みを浮かべた。
「ぐぅ、おおおおおおおっ……!知っているかジャック!アメフラシとは、貝の仲間だ!進化するうちに外殻が退化して内部に入ってしまったが、本来強固な外殻を有していル!我が体内に入れらレたアメフラシの遺伝子を、コのウイルスで増幅スレバ、コノ通リダ!」
それは、もはや人の形を成していなかった。うちの甲殻が膨れ上がって全身から剣山のように伸びて、千切れかけた腕や足が、串刺しにしている刃の先で辛うじて形を成して融合し新たな手足となっておりその甲からは複数の刃が生えている。胴体は大量の刃が鎧の様に生えており、より強固に。より赤くなった顔は白目となり口が耳元まで裂けた状態と、全身が赤くて額から生えた二本の刃が角に見えるように相まって赤鬼の様だ。どことなくタイラントを思わせるその異形の名はルビカンテ・アビス。新型ウイルスを過剰摂取して遺伝子を暴走させた形態だった。
「イザ!イザ! ルチフェロ ナリシ サタン ノ名ノ
出デヨ、血華咲き誇る敗北セシ者ノ魂ヲ取リ込ミ喰ラウ屍山血河ヨ!
我ガ
そう両手を広げて芝居がかった台詞を並べ、全身の傷口から赤い煙を放出し、天井近くで滞留させて雲の様にして酸性雨を降り注がせるルビカンテ・アビス。ノーマンとジョーダンはハンターを蹴散らして屋根がある端に退避。なにが起きているのか理解できていないハンターαがドロドロと溶けて骨となったが、特性の黒いレインコートを着用しているハンターπたちは無事であり、二人目掛けて突撃してくるのを、ショットガンとアサルトライフルで応戦する。
「イザ!尋常ニ!———————決着ヲツケルゾ、ジャァアアックッ!ノォオオオオマァアアンンンンンッ!」
かつて美しかったそこに酸性雨が降り注ぎ赤い煙が充満する地獄に様変わりしたその中心で、ルビカンテ・アビスは笑いながら突撃。ハンターπを邪魔だと言わんばかりに蹴散らしながら突き進み、刃の生えた剣山の様な拳を叩き込み、二人が避けたそこを大きく破砕させるルビカンテ・アビス。ノーマンが意を決して挑もうとした矢先。
「うおおおおおおおおっ!こっちのが、速い!…あっ」
「え」
「な」
「グオアアアアアッ!?」
ホール二階の壁をぶち抜いて出てきた通常形態のリヒトが落下。ホールの中心に着地し。思わず停まったルビカンテ・アビスと二人、ハンターπたちを見て、苦笑い。
「……えっと、お邪魔しました?」
問答無用でハンターπたちが飛び掛かったのは言うまでもない。
そろそろ終盤かな?なおこれリベレの過去編っていうね。過去編の難易度じゃないのはご愛敬。
ルビカンテ・アビス。ルビカンテのアビス完全体みたいな形態です。口上はもう何年前かわからないけど、妙に記憶に残ってるFGOの英霊剣豪七番勝負から。ルチフェロなりしサタンなればってこれ多分ダンテが元ネタよね。プルガトリオとかもそうだったはず。
エヴリンの呑気なところを受け継いでいる(?)リヒト。奥の手がある模様。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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