BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はカルコブリーナの処遇とルビカンテとの決着。楽しんでいただけると幸いです。
光を見た。見た目はあまりにも悍ましい蛇の怪物。だけど、たしかに、私達のことで怒って外道を叩き潰したその光景は、後光が差していて。シスターを演じて、口で語るだけでまるで信じていなかった神を、女神を彷彿とさせた。
愛を見た。子供を乗っ取られたのだと怒りに燃えて私たちを追い詰めたその姿はまさしく愛そのもので。それを傍受できるこの身体の主が羨ましくて、死を覚悟したら今まで我慢してきた本音がダムが決壊したように溢れてしまった。
『……ふぅ。ヨナの体にいたままだと、モルガンに見られてしまうかもだから一応ね?』
「え……」
バルバリシアを倒すと、黒い部分がほどけるようにして最初の女の姿に戻り、誰かが飛び出してくる。それは、私達より遥か年下に見える黒づくめの女の子だった。
『私はエヴリン・ウィンターズ。その身体、ガンマちゃんの母親だよ。腹を痛めて産んだわけじゃないんだけど……貴方たちがいじめていた子達はみんな、私の子供たちなの。だから、許せないと思った』
「私達も、殺すんですか…?」
不死身だと思っていた私達を追い詰めて、あの私達の中で一番強かったバルバリシアを瞬殺してみせたエヴリンと名乗る女の子に、ガンマの体で頭を庇う。私達カルコブリーナを構成していた大部分は蒸発した。この身体がないと、意志表示すらできない。反撃もできない。ただ、問いかけるしかなかった。するとエヴリンは、ガンマの肉体に重なるようにして入ってきて。気づけば。どこかの暖かい雰囲気の家のリビングで、エヴリンとガンマ、私達……マリアとセレナは、机を挟んで向かい合っていた。
「え、え?」
「ここは…?」
「エヴリンの作った精神世界だよ。貴方たちも菌根に由来してるから……」
「ああ、ガンマちゃん!反抗期なくなったんだね!やっぱりかわいいなあああ」
「うざい!」
「ええー!?」
説明する人型のガンマに抱き着くエヴリンを、ガンマはシャチの意匠を持つ姿になって押し返し涙目となるエヴリンに、私たちが知らない親子の形を見せられた気がして。ひどく、虚しい思いを感じた。
「……殺せばいいじゃないですか。マリアと一緒なら……」
「ええ。貴方の子を苦しめたのは紛うことなき事実。セレナと一緒に死ねるなら……」
「あ、ごめんごめん。放っておくつもりはなかったんだ。えっとね、一つ提案したいんだ。あのね。貴方たちも私の娘にならない?」
「「え」」
そう告げられた言葉に、目が点となる。娘、つまり親子。私たちを作って逃げたどちらともわからぬ父親。私達を蔑み続けた挙句に無責任に捨てた母親。でも目の前の女の子は、それとはまるで被らない。慈愛に満ちた微笑を浮かべている。
「……私達、人殺しですよ?」
「うん。私もそうだよ。いっぱい殺した。でもね、人殺しが幸せになっちゃいけないなんてルールはないんだよ。殺した分、ずっと償わないといけないけどね」
「……私達、ガンマを苦しめたんですよ?」
「それはそれ。これはこれ。そもそも、二人を許してほしいって言ったのガンマちゃんなんだよ。ね?」
「うざい。……うん、だけど。私はもう気にしてないよ」
「ガンマちゃんもすっかり思春期で可愛いなあ。……世界は優しくないかもだけど、愛される資格がない人間なんていないんだよ。私がそうだった。だから、私が今度はみんなに愛を上げるの。だめ、かな?」
そう少し不安そうに笑うエヴリンに、私とマリアは顔を見合わせて。
「私達、親に捨てられたんです」
「村の人にも迫害されて、誰も信じられなくて」
「特に母親はひどい人でした、だから私たち二人で愛しあうしかないんだって」
「周りの人、全部が敵に見えて」
「うん、うん」
私たちの誤魔化し続けてきた感情を発露する。エヴリンはただ頷いて聞き続けてくれた。そこには確かに、私達に対する温かい感情があったのだ。
「「私たちを、愛してくれますか?」」
「うん。とびきりの愛で愛してあげる!」
両手を広げるエヴリンに、私たちは涙を流しながら飛び込んだのだった。
どろりとした酸性の赤い雨が降り注ぎハンターαたちの成れの果てたる骨の残骸が散らばる床に赤い煙が充満する地獄の様な光景と化したホールの中心に壁に直接穴を掘って現れた、人の姿に擬態しているリヒト。いざ戦おうとしていたノーマン、ジョーダン、ルビカンテ・アビスは固まり、そんな心は持ち合わせていないハンターπたちが一斉に飛び掛かって襲い掛かる。
「……その顔で心がないのは本当に趣味が悪いな」
そのすべてを、右腕だけ擬態を解いて薙ぎ払うリヒト。一瞬でバラバラに引き裂かれたハンターπが飛び散り、その落ちてきた亡骸の一つから黒いレインコートを手に取り羽織り、酸性雨から身を守る。
「邪魔ヲスルナ!」
「そういうわけにはいかないんだよ!」
全身の傷口から赤い煙を放出して、噴き出す部位を調整して指向性を持たせるルビカンテ・アビス。咄嗟に止めようとしたノーマンとジョーダンを腕で薙ぎ払い、リヒトを仕留めんとするがしかし、リヒトは腕を交差して顔を守って全身の鱗で受け止める。ジュージューと鱗が血煙を上げた。それは、ただの人が浴びれば一瞬で溶けるというのが直感できる威力で。
「ぐっ……ジョーダン!ノーマンを連れて離れてろ!」
「り、リーダー!だけどよ……」
「巻き込まない自信がない!」
「お、おう!わかった!」
「待て、待ってくれリヒト!こいつとは俺が……」
「死ぬだけだ!死ぬのは何の贖罪にもならないぞ!」
瞬間、リヒトの顔に突起だらけの拳が突き刺さる。血飛沫と共に、よろめくリヒト。しかし、倒れない。ジョーダンがノーマンを連れて離れた箇所に移動するのを見て、追いかけようとするルビカンテ・アビスの突起を擬態を解いた腕で掴んで引っ張り、頬に拳を叩き込む。エヴリン直伝ファミリーパンチだ。それを、突起が生えた頬で受け止め、リヒトの拳を貫きながら、顔を向けるルビカンテ・アビス。
「コレデ死ナナイノハ、無粋ダト思ワナイノカ?」
「マザーは言ったんだ。一番やばい奴は俺に任せたって。
「マザー……母親ノタメニ死ニニ来タト?笑ワセル。大義モ分カラヌ
全身から酸性の赤い煙を放出しながら、咄嗟に擬態を解いて本来の姿に戻ったリヒトの胸ぐらを掴み上げ、酸性の赤い煙を浴びせながら叩きつけるルビカンテ・アビス。しかし、手ごたえのなさに首をかしげて見てみると、手には鱗だけがこびりついていて。見れば、周りにも鱗が散乱していて。どこに、と振り返ろうとしたルビカンテ・アビスの腹部に衝撃が走った。
「ワニは脱皮しない。だけど、鱗や角質を剥がして新しくすることはある。それを意図的に行わなかったことで、私はマザー曰くキャストオフしたことで、普段セーブしていた力を一気に解放できる…!まあ、穴を掘るときに腕だけは既にやってたんだけどな!」
尻尾と腕の先端、局所のみを鱗で覆った姿のリヒトが牙が生え揃った口で笑みを作りながら背後をとっていて、そのアッパーが腹部を穿っていたのだ。そのまま尻尾で自らの体を持ち上げて、サマーソルトキックをルビカンテ・アビスの頭部に叩きつけ、肩を掴むと膝蹴り。ジュクジュクと酸性の煙に晒されて肌を焼かれながら、猛攻を叩き込むリヒト。
「貴様ァ……ッ!」
「悪いな、聖戦とやらに興味はない!」
突起が突き刺さりながらも尻尾で胴体を巻き付けて、剛力を持ってホールの上空に放り投げるリヒト。ルビカンテ・アビスは全身から赤い煙を放出するが、それだけしかできず手足をばたつかせるしかない。大口を開き、身を引き絞ってググググッと縮ませるリヒト。
「ジャァアアアック!!ノーマァアアアアアアン!貴様ッ、卑怯者メ…ッ!俺ト戦エ……!コレハ聖戦ダゾ…!コンナ、コンナフザケタ奴ニ邪魔サレテッ、イイモノデハァアアッ!!」
「……ガブリエル。これは、ただのテロだ。私はそれを止めに来ただけに過ぎない。すまないリヒト、私の……俺の代わりに!俺の親友を、止めてくれ!」
「やっちまえリーダー!」
「おう!」
リヒトは尻尾で床を叩き、脚力も合わせて跳躍。尻尾の叩きつけた勢いで回転して、落ちてくるルビカンテ・アビスに飛び込んで噛みつき、同時に爪を突き刺して。回転する勢いのまま引き裂いて、胴体を真っ二つに引きちぎった。ルビカンテの上半身が転がったそこに、ノーマンは歩み寄る。
「ジャック………聖戦ハ、終ワラナイゾ……コレハ、始マリダ……」
「だとしても、私たちは戦い続けるさ。ヴェルトロとして、BSAAとして」
そう告げて、ハンドガンを向け。手向けの一発が、赤い花を咲かせた。
リヒトの奥の手、キャストオフ。拘束具を解き放った感じ。一年に一回だけ使える裏技です。ワニって脱皮しないってあまり知られてないと思う。
カルコブリーナ家族入り。エヴリンからしたら救わないのは嘘だよねって。
「ジャック」繋がり。ノーマンは一方的な感情だけど、エヴリンにとって絶対死んでほしくない人となります。それを任せたのが自分が「光」と名付けたリヒトだっていうね。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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カルコブリーナ
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ハンターπ改