BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回は実は決着ついてなかったラスボス降臨。楽しんでいただけると幸いです。
「いったいなあ……」
FBCの仮説本部があるビルの、その真下。入口近くのアスファルトに人型の穴を開けて埋まっていたそれが、血反吐を吐きながらぬるりと起き上がる。全身黒焦げで焼けただれ、チューブも引きちぎれて腕も足も胴体も拉げていてろくに立つこともできない死に体で、しかしバルバリシアは、まだ生きていた。
「…んんー、あれー?ないなー。あっ。よかった、壊れてなかった」
もぞもぞと動いて何かを探し、落下した時に落としていたそれが風に吹かれて傍に転がってきたのを見てにんまり笑う。赤い液体の入れられた容器。バルバリシアは比較的軽傷な頭部だけ動かして容器を歯で挟んで持ち上げると、躊躇なく口の中に放り込みバキン!と音を立ててガラス製のそれを噛み砕いて咀嚼、飲み込んだ。
「……アハッ!アハハハアアハハアハハハアアハハアハハハハハッ!」
血反吐を吐きながら全身からチューブワームの様な触手をいくつも生やし、全身に巻き付けてメキメキと音を立てて無理矢理補強した脚で立ち上がり、血反吐を吐いて何度もえづきながら狂笑を上げるバルバリシア。心臓がドクドクと激しく鳴動し、チューブワームの特性でその熱を体内にとどめていく。そうした場合、どうなるかは明白で。つい一年ぐらい前に、裁判所での戦いで現れたペレとよく似た現象が引き起こされていた。いや、正しくは違う。これこそペレの完成形だ。
「あったかぁああい………全部全部、燃やしてあげる……!」
大きく息を吸い込み、吐き出すバルバリシア。それは酸素を燃焼させて炎となり、アスファルトをドロドロと融解させて炎上させる。バルバリシアは近くの車を握ると、ビルに向けて放り投げると両手を向けて掌に開いた穴から火炎放射。車は大爆発を起こしてビルに大穴を開けた。ゴゴゴゴゴッと音を立てて倒壊を始めるビル。ただでさえど真ん中がプライムによってぶち抜かれているため、こうなるのは容易だった。
「逃がさない……全員燃やしてあげるんだから!」」
四肢の先から火炎を放出して天高く飛び上がるバルバリシア。その先には、慌てて大穴を粘液で補強しようとしているクイーンがいた。周りにはヨナやグラ、ガンマとその傍で浮かぶエヴリンもいる。エヴリンを見て、先ほど自分を倒した存在と同じだと直感的に感じ取ったバルバリシアは突き進む。
「アッハッ!」
『うそでしょ……あれでだめなら、なにしても死なない……?ガンマちゃん、そこで縮こまって!マリアとセレナは中に引っ込んでて!ヨナとグラとシータちゃんはガンマちゃんにしがみついて!クイーン、貴女なら一人で上に行けるよね?』
「え、あ、わかったけど…」
「迎撃した方がよくないか…?」
「あたしは炎が苦手だから遠慮しとく…」
「お母さん…?なにをするつもりですか?えっ、なんでわたし?」
「…そうか、合体だな?」
『エレベーターに乗ってる暇はないからね!』
言いながらクイーンに飛び込んでモールデッド・クイーンに変身しながら、飛んできたバルバリシアを伸びる足で蹴り飛ばすエヴリン。そのまま、ヨナとグラが言われるままにしがみついたガンマを掴み上げると、巨大なボールの様なガンマを振りかぶって思いっきり、天井に開いた穴に放り込むモールデッド・クイーン。ガンマは勢いよくぶっ飛んでいき、無事最上階の天井にぶつかってバウンドしたのが見えた。それを確認するなり、クイーンから出てくるエヴリン。
『あとはクイーンだよ。オブライエンに伝えて。あれは倒せない。テラグリジアはもうだめだから逃げてって』
「……お前はどうする?」
『アレの時間稼ぎ。大丈夫、私実体ないから』
「それはこの世界での話だろう。奴もそれに気づかないほど馬鹿ではない。ならお前がとる手段はただ一つ。…なにかダメージを受ければおまえにも影響が出る、なんちゃってむりょーくーしょだろう」
『あ、バレてた?炎使いだしちょうどいいかなって』
「大方、私にメッセンジャーの役割を与えて逃がすつもりなんだろう。私が伝えないと全員死ぬからな。……死ぬなよ。死んだら地獄まで乗り込んで殺してやる」
『それは怖いなあ。死ぬ気はないよ。新しい子供ができちゃったし』
「……任せたぞ」
そう言ってクイーンは粘液糸を使って上に昇って行って。残されたエヴリンは伸びをして、四肢から炎を出して戻ってきたバルバリシアに向き合う。
「みんなを逃がして一人だけ残るなんて健気だね!安心して!みんな燃やしてあげるから!」
『お前が本当に狂ってるのはよくわかった。さっきも言ったけど、もう容赦しない。偽・領域展開!なんちゃってむりょーくーしょ!』
菌根由来の人間の意識をエヴリンの菌根世界に引きずり込むなんちゃってむりょーくーしょ。エヴリンとバルバリシアは、今にも崩れ落ちそうなビルの中で対峙する。あえて見た目は同じにする。どこまで騙せるかの勝負だ。
「なになに?必殺技!かっこいいね!でも、なにしたの?」
「お前はもう死んでいる、なんて?」
「私は死んでも死なないよ!火葬されるのが夢だもの!」
「勝手に一人でやってよ!?」
炎を噴出し、クルクル回転しながら足裏から炎を出して加速した踵落としを叩き込んでくるバルバリシア。エヴリンはローリングで回避するも衝撃波で吹き飛ばされ、咄嗟に右腕をモールデッドのものにして床に突き刺し吹き飛ぶのを耐えるも、変態軌道で空中を飛んできたバルバリシアの炎を纏った拳が床に炸裂。融解させ、どろりとしたマグマの高波を発生させて、エヴリンはそれに飲み込まれた。
「やった!燃えた燃えた!……あれ?」
「あの子達、お母さんって呼んでくれたんだよ。私だって死んでも死んでやらないよ」
咄嗟に全身を衝撃波をバリアの様に覆うことで耐え抜いたエヴリン。しかしギリギリ間に合わなかった顔の右半分は焼けただれてしまう。熱さと痛みで表情が歪んだ。
「
「そっちだってまるでパイロキネシスじゃん!」
両手を向け、掌の穴から火炎放射を放つバルバリシア。エヴリンは衝撃波で対抗するも、その威力に押し切られて吹き飛ばされる。勝ち目がなかった。小手先勝負のエヴリンには、シンプルな火力の差はいかんせん埋めようがない大差だ。クルクルクル!と炎を推進力に回転して回り込んできたバルバリシアの回し蹴りが炸裂、小さな体が蹴り飛ばされるエヴリン。
「アッハ!」
「やられたままだと思うなよ!」
そのまま追いかけて追撃を仕掛けようと顔を近づけてきたバルバリシアの頬に、衝撃波を纏った拳が突き刺さり殴り飛ばす。エヴリンは息も絶え絶えで体勢を立て直す。バルバリシアも四肢の炎を推進力にして、天井間近の空中にとどまった。
「……この世界だと、体感時間は現実とは異なるんだよね。一分が一時間にも、一時間が一分にもなる」
「いきなりなに?ずーっと燃やされたいって?」
「…いや。タイムオーバーだ」
その瞬間、世界が書き換わる。マグマの様になった床は元通りになっていて、さすがに違和感を感じ取るバルバリシア。顔に火傷を負ったエヴリンは静かに、上を見ている。そして、様子がおかしいことに気付くバルバリシア。熱い。途轍もなく熱い。チューブワームの力で耐性があるバルバリシアでそれなのだ。なにが起きているのかと、きょろきょろ見渡すバルバリシア。同時に、ビルが倒壊してきて、プライムを押しつぶし。エヴリンとバルバリシアは宙を舞って穴から外に飛び出し、途轍もなく眩い光に当てられた。同時に、バルバリシアから悲鳴が上がった。
「え゛、あ゛づい゛!?な゛に゛ごれ゛ぇ゛え゛え゛!?」
『多分、レギア・ソリスかな。思い出したよ。テラグリジアは……レギア・ソリスの太陽光照射によって、消滅した街だ』
ジュージューと音を立てて黒煙を上げる身体や蒸発し風化していく周りの風景に、のたうち回るバルバリシアとは異なり涼しい顔のエヴリン。バルバリシアは信じられないとばかりに、掌を向けて火炎放射を放つも、それがエヴリンを通り抜けたことに驚愕する。
「な゛ん゛で、お゛ま゛え゛え゛……!?」
『私は幽霊みたいなものでね。前も爆発に巻き込まれたけど普通に生きてたんだ。それにしても、よかったね。貴女は念願通り焼けて死ぬ。炎じゃないけどね』
「ごん゛な゛、ごん゛な゛の゛ばぢがう゛!わ゛だじば、あ゛っ゛だがぐで、じあ゛ばぜな゛……」
『悪党が死に方を選べると思うなよ?』
「あ゛」
そう冷えた顔で告げたエヴリンの言葉に、項垂れて。バルバリシアは、その身体をボロボロと崩して、塵と化して風に流れていって。エヴリンはそれを見届けて、眼を手で隠して光を遮りながら、テラグリジアが一望できる高さまでやってきた。崩壊していくその光景に、エヴリンは唇をかみしめる。
『……守れなかったなあ』
―――――2004年。テラグリジア・パニックと呼ばれるラクーンシティ以来の未曽有のバイオテロが発生。これを重く見たFBC長官モルガン・ランズディールはBSAA代表クライヴ・R・オブライエンの反対を押し切り、多くの民間人と対応に当たったFBCの戦闘員らが多く犠牲になった事と、さらに被害が広がる一方だったことから最早テラグリジアは回復不能及び生物兵器の鎮圧は不可能と判断し、太陽光発電システム「レギア・ソリス」の放射熱で汚染された街を丸ごと焼却処分という強行的な手段で消滅、事態を収束させた。この惨劇は人々にバイオテロの恐怖を植え付け、モルガン率いるFBCは国際社会において大きな影響力を持つ組織としてより発展していく事になった。
ラスボス戦…というよりは7のエヴリン戦みたいなイベント戦かな?まともに戦ったら絶対勝ち目のない敵、バルバリシア・アビスでした。
エヴリンならではの戦い方ここに極まれり。タイラント・アシュラといい毎回ボコボコにされてますがしょうがないね。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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