BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はルイザの家。珍しくエヴリンがシリアスしてます。あと長くなって4500字越えといつもの1.5倍となってます。楽しんでいただけると幸いです。
「いいわ。エレナの知り合いなら信じましょう。入ってイーサン」
『知り合いじゃなくてさっき出会ったばかりの他人だから詐欺みたいなもんだけどね』
一々五月蠅いエヴリンのぼやきを無視しながら屋敷に入る。奥まで案内されると、そこにはエレナ親子とルイザを入れて6人ほどの生存者がいた。酒瓶を片手に持った男と、杖を突いて頭に包帯を巻いた老人、泣いている女性だ。外の見張りの男と合わせても7人しかいないのか。
「なんだこいつは?よそ者が殺しに来たのか!」
『うわっ、酒くさっ。勝手に死んじゃえ!』
「黙って、アントン。二人を助けてくれたのよ」
『そうだよ』
「誰も助けなんて望んじゃいない!」
『うっわ、恩知らずなじじい』
「どうぞイーサン、座って」
「ああ、無事だったのは…村でこれだけか?」
『あ、いいなイーサン。私なんかずっと立ったままだよ。自由に寝そべられるけどねー!』
ルイザに進められて椅子に座りながら、謎にマウントを取って寝そべってクルクル回りながら浮かぶエヴリンを無視して話を切り出すと、酒瓶を持った男ことアントンが怒鳴り散らす。
「無事?無事だと?これのどこが無事だってんだ!」
『こっちはかわいいかわいいローズマリー奪われてるんだよ!それに比べたら無事でしょうが!』
エヴリン。姉馬鹿かましてる空気じゃないぞ。俺だってその話題言い出して愚痴りたいが。
「動けもしねえ怪我人に、バカみてえに泣くしかできない女!お前もだ!ルイザ!血塗れの死にぞこないのジジイによそ者まで連れ込みやがって…この家が安全だと?安全な場所なんかねえ!外の…腰抜け連中もとっくにぶっ殺されてる。明日には…ぷはぁ」
『酒飲むか怒鳴るかどっちかにしろ』
「明日には俺達も皆死ぬ。そいつのクソ亭主みてえに。泣くんじゃねえ!ロクサーナ!」
『うんうん、死ぬよね、皆死ぬ…だが今日じゃない?笑える。真っ先に死にそう』
映画の名台詞で遊ぶエヴリンに、頭が痛くなる。するとルイザがアントンを止めに入った。
「もうやめて!ここは代々私の家族が守り続けてきた家。酔っ払いであれ何であれ誰でも歓迎する。ここにいれば安全よ」
「言ってろ」
『そこの怪我人のせいで安全じゃなくなったけど。イーサン、私は忠告したからね?どうなっても知らないよ?』
「一体何が起こってるんだ?なあ誰か教えてくれ」
エヴリンは無視し、とりあえず本題に入る。ずっと聞きたかったことだ。応えてくれたのはルイザだった。
「わからない。ただ普段通り静かに暮らしていたら、ある日突然…化け物が現れて襲ってきたの。何度も…何度もやってきて、それで…」
「待ってルイザ。旦那さんは?まさか…」
「いえ。彼はどこかにいる、絶対に。村の誰かに助けを…ええそうよ。きっと助けを呼びに行ったの」
『どっかで死んでそうだね。イーサンでもないと生き残るのは無理だよ』
「祈りましょう。彼や…私達のために」
「そうね。さあ、一緒に」
『祈りだって!祈る神様がいるなら私みたいな存在が生まれるはずないのに、ばっかみたい!』
泣いていたロクサーナというらしい女性の提案で祈ることに賛同する生き残りたち。祈り?そんなものでどうにかなると本気で思っているのか?エヴリンの言う通りだ、神様がいるならベイカー家やミアやエヴリンの犠牲者たち、かのラクーンシティ事件……死ぬことはなかったはずじゃないか。しぶっていた俺もエレナに手を握らされ、アントン以外の人間が机を囲んで円陣を組む。
「「「「「大いなる者よ。聞き入れたまえ。畏敬の念と共に捧げん。無限の闇より運命の定めし手が我らに差し伸べられんことを。深夜の月が黒き翼で舞い上がるとき、我らは自らを犠牲とし最後の灯りを待つのみ。生にも、死にも…マザー・ミランダに…栄光を捧ぐ」」」」」
『あほらし』
空中で横になって欠伸するエヴリン。正直同感だ。しかしまた、マザー・ミランダなる存在か…神ではなく一人の人間を崇めているという事なのか?以前、マザー・グラシアなる人物が不祥事を隠蔽し崇められていたマルハワとかいう学園が崩壊したという事件があったが…ここも同じ運命をたどるんじゃないか?と心配になる。だが最後の祈りだけ聞き覚えがあったな。
「さあ。お茶の支度を。エレナ手伝って」
「その祈り、前にも聞いた。墓場にいた老婆から。てっきり、ここに避難していた人間だと思っていたんだが」
『ダッシュババア!』
「あの婆さんか?あのババアならもう完全にイカれちまってる」
「でもあの人は…とても献身的よ。だからきっと彼女にもご加護がある筈だわ」
マチェットを握ったレオナルドの言い分に苦言を呈するのはルイザだ。するといきなり笑い出したかと思えば苦しみだすレオナルド。エヴリンがぴくっと眉を動かし、さっきの会話を思い出す。…彼がもう手遅れだと。咄嗟に止めようと飛び出そうとするが、机が邪魔で。レオナルドが机の上に崩れ落ちて置いてあったランタンが落ちて火の手が上がり、そちらに気を取られる。
『あーあ。私しーらない』
「おいなにしてる!?」
「離れろ!レオナルドはもう…」
「レオナルドどうしたの?大丈夫?きゃあああああ!?」
「やめろ!」
止める間もなく、心配して駆け寄ったルイザが肩口からマチェットで斬り裂かれて死亡、アントンが酒瓶をぶつけるも気にも留めず、天井に張り付き牙に変わった歯をむき出しにして獣の様に唸りを上げるレオナルド。その姿は、ライカンにそっくりだった。駆け寄ろうとするエレナを手で制し、一緒に入り口から下がって廊下に出る。その間に残りの生存者に手をかけるレオナルド。こちらに助けを求めようとしたロクサーナは取り押さえられて喉笛を噛み切られて絶命した。
「父さん…!」
「エレナ、下がってろ!」
「やめて離して!」
「クソ…まずい。俺達も殺される!逃げるんだ!」
『どんどん炎が回ってるよ。出口も燃えちゃったみたいだけど、どうするの?』
凄まじい勢いでこちらに駆けてくるレオナルドに対し、背中のショットガンを手に構えるが、撃つよりも素早く突進してきてショットガンを手放してしまい、押し倒される。ヤバい…!?
『あ、やば。どうしよう…力貸す?でも嫌われたくないし…』
「ぐっ、あっ…」
「父さんやめて!」
「エレナ…!?」
エヴリンがなにやら迷っている間に今にも噛み付かれそうだったその時、俺の落としたショットガンを拾ったエレナがぶっ放してレオナルドは吹っ飛び、それでも立ち上がったレオナルドにさらに一撃。吹き飛んだレオナルドは炎に包まれ悶え苦しんだ。
「ダメって言ってるの!」
『うわー、自分の父親なのに容赦ない…まるでミアをボコボコにしたイーサンみたい』
「ああ私…父さんごめんなさい…」
ショットガンを取りこぼして悲痛な声を上げるエレナ。おいエヴリンお前、一言余計だぞ。とりあえずショットガンを拾って弾込めしながら、父親に駆け寄ろうとしていたエレナを引き留め呼びかける。
「おいエレナ。あれはもうお父さんじゃない。仕方なかったんだ」
『そうだよ。どう見ても手遅れなのに指摘しなかったイーサンが悪い』
「エレナ。行っちゃ駄目だ。もう助からない」
「父さん…!イヤ…!」
「逃げよう!家が崩れる!」
『大丈夫。いくらでも替えがある物。これからイーサンをお父さんと呼ぼう!』
エヴリンお前ふざけんなよ。とにかくエレナを連れて廊下を進み、入り口側が完全に燃え落ちていたのでガレージに入る。どこにも出口はない、か。だがこのトラックを使えば…
「手遅れだったんだ。お父さんじゃなくなってた」
「もう放っておいて…」
「ダメだ。ここから出よう…一緒に」
『わー!きゃー!もうすぐそこまで炎来てるって!放っておいてと言ってるし放ってさっさと逃げようそうしようイーサン!まだ死にたくなーい!私死んでるけどー!』
ぐるぐる空中で犬の様に周って大混乱を起こしているエヴリンは放って置き、トラックの鍵を探す。奥の倉庫の棚の中にあった。キーホルダーになんかついてるな…これは、ドライバーか?とりあえずポケットにねじ込んで戻ると、既にガレージにも火が及んでいた。不味い、急がないと!
「クソッ、火の回りが早い!エレナ、離れてろ!こいつでぶち破る!」
『イーサン早く早く!』
エヴリンに急かされながら鍵を差し込み、エンジンを起動。フルスロットルで壁に突撃するも、壁を一枚壊しただけで外までの穴を開けることができなかった。クソッ、駄目か!
「イーサン!イーサン、大丈夫?」
「ああ平気だ。もう一度…」
『そんな時間はないみたいだよ』
エヴリンに言われて後ろを見ると、既に炎がここまで来ていて。トラックを足場にエレナと共に上を目指す。
「上しかないな」
『火事の時は上に逃げない方がいいってなにかで見たけどなー。ほら、急いで急いで!』
「心配ない。煙を吸うなよ」
「ありがとうイーサン。優しいのね。貴方の家族は無事?」
「だといいな。君にも紹介したいよ」
「ええ、ぜひ」
『喋ってる場合か!?それと家族紹介するならまず私を紹介してよパパ!』
ふわふわついてきて急かしてくるエヴリンを無視しながら急いで上に上がると、窓が開いてるのが見えて。出口を見つけて安堵のため息が出る。
「見ろ。あそこから出られる」
「よかった。だけど…村は化け物だらけなのよ。あんなに数がいたら逃げられっこない!」
『それはそう』
「いいか。あきらめるんじゃない。娘を捜す前に、君を無事に避難させる。ローズはきっとあの城にいる」
「ダメよ!あの城に行けばあなたの命はないわ!それに私一人なんて…父さん?」
「なに?」
下を見て驚愕するエレナに釣られて見てみると、レオナルドが変わり果てた姿で追いかけて来ていた。エレナの名を呼びながら弱々しく手を伸ばし、力尽きるレオナルド。親子の愛というものは呪いにも等しかった。
『しつこい!イーサンやジャック並にしつこい!なんで父親ってこうもしつこいんだろ!』
「エレナァ…」
「ダメだエレナ!あれはもうお父さんじゃない!」
「私を呼んでる!父さん!」
「やめろ!危ない!」
エレナがレオナルドに駆け寄った途端、道が崩れ落ちてしまった。不味い、エレナが!慌ててエレナの上に向かい、引き上げようと試みる。
『駄目だってイーサン!ここもすぐ崩れ落ちるよ!早く逃げて!』
「じっとしてろ!さあ、手を伸ばせ!」
「…イーサン行って!娘さんを救って!」
「エレナ、諦めるな!こっちだ!」
「きゃあああああああああ!?」
しかし伸ばした手をエレナが掴むことはなく。彼女の足場は崩れ落ち、エレナは火の海へと落ちて姿を消した。掴めなかった手を、力なく握りしめる。どうして、みんな死んじまうんだ!
『やっぱり、手遅れの人間を入れるべきじゃなかったんだよ…』
「ああ、畜生!クソッ、クソッ、クソッ!」
『イーサン早く!ローズを取り戻すんでしょ!』
「エレナ…こんなの酷過ぎる。なんで…こんな…」
エヴリンの急かす声を受けて、窓に手をかける。ライカンが徘徊する地獄と化した村を見下ろす形となった。たまらず、怒りのままに左手を窓枠に打ち付ける。激痛が走るがそんなこと関係ない。ただただ、このやるせなさをどこかにぶつけたかった。
「何なんだこの村…一体、何が起こってるんだ!」
『あの城に、答えはあるんじゃないかな』
エヴリンに言われて、城を睨みつける。エレナはあそこに行ったら俺が死ぬと言っていたが、意地でも死んでやるもんか。そう決意して窓を飛び降り、ドライバーで悪魔のクレストを手に入れた俺はルイザの家を後にするのだった。エレナ…この仇は必ず取るぞ。
バトルシップやマルハワデザイアはいいぞ。神様は死んでも信じないエヴリンである。
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