BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はイーサン襲来。エヴリンの悪巧み。楽しんでいただけると幸いです。
『バラバラにするのはどうかと思うなあ…』
「悪かったって。こいつしか方法はなかったんだよ」
先程行われた「儀式」の光景に気分の悪そうな顔を浮かべるエヴリン。当たり前だ。妹の様な存在であるローズを結晶化された上でバラバラにされたのだ。しかも友人だと思っていたハイゼンベルクの提案で。
『ミランダに渡さないためなのはわかるけどさ。ローズに記憶が残ったらどうするのさ』
「そいつは……悪いとは思うがな。俺にも後がない。こいつしか、時間稼ぎの手はなかった」
そう言ってハイゼンベルクが掲げるのは、小さな赤子の胴体が入れられたフラスク。エヴリンは「うぇー」と吐きそうな表情を浮かべて不服そうに空中に寝転がる。
『ふーんだ。そんなことして、イーサンに殺されても知らないんだから!』
「まあそのイーサンが来るとして…そんなに強いのか?一般人って話だろ?」
『潜入しているときに戦闘訓練したって話してたし、戦闘訓練しなくても普通に強いよ。チェーンソーで斬り合って私の家族の中で一番強かったジャックを倒しちゃったもん』
「チェーンソーで斬り合い…?そりゃあ、本当に人間か?」
『ガワはね』
「俺達と同じって訳か。そんなに強いなら手を組んでもいいかもなあ?」
『ローズをバラバラにした時点でイーサンに殺されることが決まったみたいなもんなんだよなあ』
呆れるエヴリン。不敵に笑うハイゼンベルク。そこでエヴリンは何かを思いついたように笑う。
『ねえねえ。ミランダがカールたち四貴族をイーサンに殺させようとしているって知ってる?』
「なんだと?そいつは想像ついていたが、言っていいのか?」
『私を消す方法を知ってるって脅されたけどさ。ミランダなんかよりカールやドナや三姉妹が死ぬ方が嫌だ。ついでにドミトレスクもモローもね』
「…お前、俺達を大事に思ってるんだな」
『だって新しい家族みたいなもんだもん!ミランダもイーサンもどうでもいいけど、どっちかが勝ち残るのは癪なんだ。みんなで生き残ってローズを奪って馬鹿にしてやろうよ!』
そう手を広げて自慢げに語るエヴリン。ハイゼンベルクはまるで考え付かなかったとばかりにポカンと呆ける。
「……そいつはいい提案だが、ドナと三姉妹はともかくドミトレスクとモローはミランダへの忠誠心の塊だぞ?どうすんだ?」
『ドミトレスクは結構反骨心が高いよ。ミランダへの義理立てはするけど、自分の家族以外はどうでもいいみたい。モローは………ミランダ自らの口から捨て駒だと言われればさすがに?最悪切り捨てようか』
「お前、血も涙もない悪魔だな」
『そりゃカビの塊だもん。カビキラーは厳禁だよ!』
「生憎とそんな洒落たもんここにはねーよ!もしかしたらドミトレスクはデュークから買ってるかもしんねーがな!お前のこと大嫌いだしよ」
『え。………やっぱりドミトレスクだけは助けるのやめようかなあ』
「お前、相当に自分勝手だよな」
『知ってる』
「知ってる、じゃねーよ。少しは直せクソガキ」
『ひどーい』
そんなこんなで、エヴリンとハイゼンベルクによる反逆作戦が始まった。
それから数時間もせずに村に訪れたイーサンを、上空から眺めるエヴリン。その顔はにまにまと怪しい笑みを浮かべていて。
『さあ、始めようか。主役はイーサン。ヒロインはミランダ。娘を取り戻すのはどちらかな?でも脇役が黙って主役に食われると思うなよ?さあ、さあ!始めよう!とってもおかしい悲劇に見せかけた喜劇と言う名の茶番をね!』
村を探索し、ライカンの襲撃を退け、ミランダ扮する謎の老婆(笑)に導かれ、生き残りの村人も惨殺されて一人生き残り、なんで出てきたのかよく分からない顔見せミランダと出くわし、ようやく城に向かってくれたイーサンを常に最前席と言う名の真横で観察し続けるエヴリン。
「生にも死にも栄光を与えん……」
『うわ、イカレたババアだと思ったらミランダだった』
「そなたか……あの子の父親だな」
『そんなに知っているババアとか怪しい以外の何者でもないよ?』
「ハハハ!ローズ!そうともローズじゃ!あの子に危険が迫ってる。マザー・ミランダが村に招き入れてすべては闇に堕した」
『なんでそんないちいち格好よく言うの?』
「城の鐘が災いを告げておる!やつらが来るぞ。我らがために鐘は鳴る…また奴らが来るのじゃ!」
『いや、言い逃げはずるくない?』
「皆死んだ。そうとも、皆に死が訪れたのじゃ…はははは…アーハハハハハハ…」
『演者魂が凄い。私なら恥ずかしくてやってられないよ』
途中途中で老婆に扮するミランダを笑わせて台無しにしようと試みたが失敗した。むしろ睨まれた挙句、頭の中に「本当に消してやるぞ!」と怒鳴られたのでしぶしぶイーサンの観察を続けるエヴリン。城に入るとハイゼンベルクと邂逅したので挨拶する。
「これはこれは。まだ生き残りがいたとはな。タフな奴がいたもんだ」
「…誰だお前、何者だ…?」
『やほはろー、カール。この一見冴えないのがイーサンだよ』
「ほう…よそ者か。なるほどなるほど。お前がイーサン・ウィンターズか」
「俺の事を知っているのか!?」
「ああ、よーく聞いてるよ。お前の隣のクソガキからな」
その言葉にギョッとなってエヴリンの方を向くイーサンだが、彼の視界には何も映らず。冷や汗が額を伝い、エヴリンは喜色満面の笑みでハイゼンベルクにグッジョブという意を込めてサムズアップした。
「誰もいないぞ……お前、なんのつもりだ!」
『いいぞもっとやれ』
「ハッハッハ。冗談さ。いや、冗談じゃないかもな?いい狼狽えっぷりだ。よほど例のガキがトラウマらしいな?面白え。ミランダが見たら喜びそうだ…」
「ぐあっ…」
空中に浮かんだジャンクを一斉にぶつけられて人型に固められた鉄屑の塊になったイーサンが崩れ落ち、エヴリンがやんややんやと手を叩く。
「さて。エヴリン、お気に召したかな?」
『うん、すっごく!さっさと連れて行こう!私の新たな家族をイーサンに紹介しなきゃ!』
「お前、この三年で一番楽しそうだな」
『だって、私を殺して恐怖を与えてくれたイーサンのアホに仕返しができるんだよ?ミランダの馬鹿を出しぬけるかもしれないんだよ?こんなに楽しいことったらないよね!ヤッフー!』
「やれやれ……いい性格してるぜ」
溜め息を吐きながらハイゼンベルクはイーサンを引きずり、ミランダと他の四貴族が待つ集会場へと急ぐのだった。
「ここ、は…?」
「お、起きたか。いい子にしてろ。もうすぐだ」
『楽しい愉しい最高に狂ってるパーティーの始まりだぜい!あ、聞こえてないんだっけ。残念』
一回目を覚ましたイーサンを二人して煽ったりした。
「他の者では力不足でしょう。
『ドミトレスクと三姉妹はテクニシャン(意味深)だよね!』
『そこどいてよブサイク!アタシが見えないでしょ!』
『アンジーの方がぶちゃいくだと思うんですがそれは』
「お、おう…エヴリンも言ってたけど俺そんなにブサイクかあ…?」
『うん、すっごくブサイク!』
「ひでえ!ママ!こいつひでえ!」
『誰がぶちゃいくだ!ヴェェェイ!ねえ、起きたよおー!』
『顔面つぎはぎだらけなのをぶちゃいくと可愛く言っただけ私優しいと思うよ?』
「待て…つまり…テメエらうるせえぞ!?」
『『だってこいつが』』
「だってもへちまもあるかクソガキコンビ!?」
目覚めるなり、目の前でギャーギャー喚くクソデカオバサンにブサイク人形、マザコン男、胡散臭い髭面グラサン男に、イーサンは一言。
「お前らがうるせえ!」
「ごもっともだウィンターズ!」
エヴリンによる、イーサンとミランダと言う勝ち組に対する反逆が始まる。
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