BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
というわけで今回はそれを記念して色々衝撃的であろう内容をお送りいたします。楽しんでいただけたら幸いです。
2009年。エヴリンは一人、BSAAの本拠地から離れて休暇を楽しんでいた。年中休暇みたいなものなのは禁句である。訪れたのは日本。
「いやあ!本場の仮面ライダーは良いねえ!Wのロケ地を聖地巡礼できる上に撮影現場まで見れるなんて最高~!」
プラーガとか肝心なことは覚えてないのに、好きな番組のロケ地だけは覚えていたエヴリン。先回りして撮影現場を鑑賞するとかいうズルをしていた。人間、余計なことばかり記憶に残っているものである。
「いやあ……うん、プサイちゃんは仮面ライダー大好きだけど、仕事があるから連れてこれなかったな。……一人かあ」
ロケ地の一つである高架の手すりに座って青空を見上げるエヴリン。クイーンやアリサ、オメガにヘカトにプサイに……“この世界線”で仲良くなった人間は多い。だがしかし。この世界に来てから29年経った。一人になったら否応なく思い出す。自分はこの世界では独りだと。どうしたって自分は異物なのだと。
「……会いたいよ、ローズ」
誰よりも会って謝りたい妹はいまだに彼方の先にいる。すぐにでも、ゼウ・ヌーグルに言って元の世界に戻りたい。だけど、ここまで歴史を変えておいて、今更見限るのも違うだろう、とエヴリンの心が叫ぶのだ。
「愛着、持ったらいけなかったんだろうなあ……」
最初の10年は、クイーンやアリサとの他愛もないじゃれつきで、帰れないから仕方なく、だった。だが洋館事件を皮切りに、守るべき家族ともいえる人たちがどんどん増えて、今では世界に少なくない影響を与えられる一大組織にまで成長した。この10年で色々ありすぎだろう、と自嘲する。
「……あと10年ぐらいかあ、くじけそうだなあ」
本来の歴史では、BSAAは腐敗していた。そのBSAAをイーサンやクリス達ハウンドウルフと共に叩き潰した記憶があるのだから間違いない。菌根に接続した際はマダオとも共闘して殴り込んだ世界線も見たっけか。思わず南無、と合掌したのを覚えてる。どちらにしても、BSAAが腐敗した理由はわからなかった。少なくとも、2013年まではまともに活動していたはずなのだ。
「……勝負は5年後か」
BSAAを作ってしまったからには、腐敗させる気は毛頭ない。腐敗したBSAAでのB.O.W.であるリサたちの立場なんて考えたくもないし、兵器として利用されるなんてもってのほかだ。BSAAの腐敗を阻止しながら、ローズが無事に生まれるのを確認し、この世界のミランダを止める。なんならローズの「力」」を押さえる方法をベロニカあたりに考えてもらって、普通に生活してもらう。例え自分という姉がいなくてもローズをめいっぱい幸せにしてから、元の世界に戻る。それが今のエヴリンの目的だった。
「……この世界の私が“アレ”だから、ベイカー家の事件がまず起こらない可能性もあるんだけど」
最近判明した事実を思い出して頭を抱える。これに関しては自分の預かり知らぬところで起きたことなのでどうしようもないのだが、それでローズが生まれない場合が一番まずい。もしも特異菌に感染していないイーサンとミアの間に普通の人間として生まれるなら、ミランダに狙われる理由もないし万々歳なのだが。歴史を変えまくっているのでどういう影響があるのかわかったもんじゃない。
「……なんか冷めちゃった。帰るか……」
手すりから飛び降り、歩き出すエヴリン。群衆をかき分けて、家族が止まっているホテルを目指す。その道中で。
「……え?」
あまりにも見覚えのある顔が、すれ違った。30年近く経とうが決して忘れない、自分を殺し、自分を救済し、自分に愛を教えてくれた人。今のエヴリンがエヴリンでいられる理由。短く切り揃えた金髪に、何故か陰でよく隠れる顔。イーサンが、イーサン・ウィンターズが、そこにいた。
「イー、サン……」
思わず振り返って、その名を呼んで。イーサンは、書類の束が入ったカバンを抱えながら同僚と歩いている様だった。自分の声に反応して振り向こうとしたイーサンが、同僚に呼ばれて顔を背けるのを見て、思わずがっくりとしてしまうエヴリン。だから、聞き逃してしまった。
「おい、どうしたウェスカー。いきなり振り向いたりして」
「ああ、いや。……名前を呼ばれた気がしてな。それから、今の俺はウィンターズだ。その名は捨てたと言ってるだろう」
「おっと、悪いな。我がパラグアス・ライン社にはまだまだあんたの力が必要だ、すねないでくれよ、な?」
まだエヴリンは知らない、アフリカの「太陽の庭」に併設してあるアンブレラ社の施設のファイルにとある記録が存在している。死亡した幹部の一覧に「イーサン.W」という名前が記録されている。それが何を意味するのか、本人しか知り得ない。
とぼとぼとした足取りでホテルに辿り着き、エヴリンは心配する仲間をよそにベッドに突っ伏した。しょうがないと自分を宥めながら不貞腐れていると、通信端末に電話がかかってきて、不機嫌にしながら電話に出る。
「はい、もしもしこちらエヴリン……。え、なに?今度はアフリカ?また遠いなあ……うん、うん。ならクリスと……そうだなあ、地元だしシェバをあてがって。あとはジョッシュ率いるデルタチームと……それでお願い」
通話を終えて、問いかけてくる仲間の言葉に頷くエヴリン。生身の体で伸びをして、白が混じった長髪を翻してベッドから起き上がる。
「休暇は終わりだ。じゃ、私たちも行こうか」
エヴリン・ウィンターズ。現BSAA代表を務める見た目は10代後半の少女は、いたずらっ子のような笑みを浮かべて部屋を後にした。
本編の現在、4の時代:2004年
エヴリンが飛んだ時代:1980年
今回の話:2009年
最低でもBSAAがまともに活躍してた6の時代:2013年
7の時代:2017年
ヴィレッジの時代:2021年
ローズがゼウを倒した時代:2037年
※混乱しそうなので並べておきます。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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