BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。RE4も好きだけどオリジナル4は百回超えるぐらい周回してたのでそっちばかり記憶していて、地図が頭の中でごっちゃになってたりします。なのでRE4のマップとは違うところもあるのでご了承あれ。

今回はエンペラトリスの暗躍。ビリーは気づけるのか?楽しんでいただけたら幸いです。


file4:8【許されざるビリーの弾丸】

 私の聞こえない声もむなしく、アリサの肉体で妖艶な笑みを浮かべてふわりと舞い降りるエンペラトリス。ビリーはあのイノシシ頭のハンマーを肩に担いで両手を引っ掻けて余裕の笑みを浮かべている。ああ、ダメだ。これほどこの実体のない体を恨んだことはない。私の声は届かない。

 

 

「ふふっ、お待たせビリー」

 

「治ったみたいだな。ところでどうした?そのマント」

 

「血が流れて体温も奪われたから、羽織ってるの。似合う?」

 

「正直、似合わないと思うぞ」

 

「ひどいなあ」

 

 

 アリサの記憶を手に入れただけはある。エンペラトリスはごく自然にアリサを演じている。ビリー、気付いて!そいつは偽物……いや肉体は本物だけど、別人なの!

 

 

「じゃ、歯車をはめて早くプサイを取り返そう!」

 

「今の騒ぎで逃げてなければいいんだがな」

 

 

 一か八か、アリサの体に飛び込んでモールデッド化することでなんとかするか?いや駄目だ、最悪モールデッド化した体まで操られて誰にも止められなくなる。じゃあ記憶継承(アンダーテイカー)?虎の子のファット・モールデッドの記憶を引き出して自爆させる?いや、最悪アリサが復活しない可能性ある。駄目だ。

 

 

『どうしよう……』

 

「それ、持ってくの?重くない?持とうか?」

 

「いや、お前の言う通りマグナムの弾は貴重だからな。いざって時以外はこれを使うことにする。エヴリンが何か言っているか?」

 

「え?えっと、強そうだね!って興奮してるよ。子供だよね?」

 

 

 あははーと貼り付けた笑みを浮かべるアリサの姿なんか見たくなかった。アリサはずっと自然に笑っていてほしいのに。マントの端を硬質化させ刃に変えて振りかぶるエンペラトリスを、止めることもできない。と、がらにもなく落ち込んでいたら。ビリーが突然、ハンマーの持ち方を変えたかと思えば両手で端を握ってゴルフクラブの様にフルスイング。虚を突かれたエンペラトリスは胸部にまともに喰らって吹き飛ばされ、地べたを転がった。

 

 

「い、いきなり何を……!?」

 

『え、ビリー……もしかして?』

 

「悪いなアリサ。我慢しろ。コイツを引っぺがす……!」

 

 

 そう言ってハンマーを振り下ろすビリー。エンペラトリスは背中のプラーガの脚を展開して寝そべったまま移動し回避、立ち上がりマントを翻しながら訝しむ表情を向けた。

 

 

「いつからバレてたのでしょうか?」

 

「合流した直後だ。俺はレベッカとクイーン、オメガやヘカトと一夜を共に生き延びた仲だ。その中にはエヴリンも含まれる」

 

「それは知っているわ。だけど、常人の貴方には見えないはずよ」

 

「いいや、見えるさ」

 

『え』

 

 

 思わず呆ける。え、うそ。ループする前のレオンはともかく、今の私を見るなんて不可能のはずなのに……。

 

 

「クイーンの視線、オメガの首の向き、ヘカトの声をかける方向。それだけあれば、位置や動きを把握することはできる。お前は降りてから一度たりとも俺以外に視線を向けなかった。エヴリンを気にすることさえなかった。お前がエヴリンを無視するなんてありえない、それこそ……ボロを出さないために話題に出すのを避ける、ぐらいしかな。そうだろうプラーガ」

 

「無粋ですね。私のことはラ・エンペラトリスとでもお呼びください」

 

「そいつは断る。何故って?今から死ぬ奴の名前なんざ覚える必要がないからだ」

 

「戯言を!」

 

 

 マントを翻し、骨組みになってた節足を展開するエンペラトリス。地面を突いて跳躍し、膜を広げて滑空。凄まじい勢いの飛び蹴りを叩き込む。アリサの剛力を持って放たれたそれは大地を砕き、クレーターを生む。しかし、必要最低限な動きで紙一重で回避していたビリーの振りかぶったハンマーが炸裂。アリサだからできる容赦ない一撃だった。

 

 

「があっ!?」

 

「その身体に慣れてないのが見え見えだ!」

 

 

 側頭部を殴られて錐揉み回転しながら吹き飛ぶエンペラトリス。すぐに節足で体勢を立て直すと、節足を用いて柵を引き抜き、高速回転させながら投擲。ビリーは大きく身を捩ってスライディングしながらイナバウアーでもするかのように回避。投擲したと同時に突撃してきたエンペラトリスの拳を、ハンマーの柄で受け止めるとその勢いを利用して肩に鎚部分を打ち付けて肩を外し、下ろした鎚部分の先端で突き。

 

 

「かはっ!?」

 

 

重く鋭い一撃が叩き込まれたエンペラトリスは信じられないとばかりに驚愕に表情を歪めて吹き飛ばされ、ひび割れている牛舎に激突。崩れ落ちる牛舎から牛が逃げていく。

 

 

「ただの、人間の癖に……最強の肉体を手に入れた私が何故負けるのですか…!?」

 

 

 右肩が外れ、側頭部から血を流し、血を口から垂れ流す満身創痍の身を節足で持ち上げ残骸の中から出てくるエンペラトリスは憤怒の表情でそう尋ねる。

 

 

「あの一夜で、本来なら男であるはずの俺が女であるあいつらを守るべきだった。だが守れなかった、ヘカトは俺の手の届かないところでオメガを庇って死んだ。ヘカトは生きて記憶も取り戻したが、それは結果論だ。俺はあの時なにもできなかった無様な男を、生涯許さない」

 

「そ、それがなんだって……!」

 

「だから鍛えた。オルタナティブに合流し、BSAAに変わっても、鍛え続けた。今度こそ、守るために。だってのに、まんまと隊長を奪われてしまった…!」

 

『ビリー……』

 

 

 そんなに、気にしていたんだ。私の知る限り最も誠実な男の中の男だ。見えない私のことまで気にかけて……ああ、ビリー。あんたってやつは……!

 

 

「最強がなんだ。なら俺はそれを超えていく。守るべき女より弱くちゃ、情けねえ…それだけだ!」

 

「認めない、認めるものか!」

 

 

 するとマントを羽ばたかせ、粉塵を巻き起こすエンペラトリス。煙幕で逃げるつもりか!?と思っていたら、違った。ドラゴンを思わせる翼となったマントだった節足を羽ばたかせ、上空へと舞い上がっていたのだ。あれはまさか、アリサの切札を使うつもりか!?

 

 

『ビリー、だめ!あれはやばい!』

 

「ただの人間が隕石を止められるものか!」

 

 

 そう叫び、遥か天空から拳を振りかぶって急降下してくるエンペラトリス。グレイブディガー・ヒュドラやデッドエンド・ギルタブリル……巨大な敵に大打撃を与えた、隕石の如く炎を纏い拳を突き出しながら落下してくる一撃。アリサの切札だ。あんなものが落ちたら、この辺一帯吹き飛ぶぞ!?それを前にして、ビリーはハンマーを投げ捨てるとマグナム二丁を引き抜き、薬莢を排出し放り投げた弾丸を空中で装填してリロード。上空に向けて構えた。

 

 

「いざって時に使うと言ったよな?今がそのいざって時だ…!」

 

 

 そう言って放たれた弾丸が、マグナムとは思えない精度でまっすぐ空中を飛んで、空中機動を制御していた翼を構成している節足の関節部分を撃ち抜き、破壊。翼が折れて勢いが落ちたエンペラトリスが自分の拳の勢いに振り回されて体勢を崩し、そこに乱射、乱射、乱射、乱射。

 

 

「あ、アアアアアアアアアアッ!!」

 

 

 銃弾の雨が叩き込まれ、エンペラトリスは殺されると思ったのか、背中から分離して翼を広げ空中に逃れる。しかし、弾丸は落下してくるアリサを紙一重で全弾外れていた。とんでもない神業だ。一目散に空を逃げていく蟲の姿のエンペラトリス。しかし、逃げられるわけがなかった。

 

 

「絶対……許さない……!」

 

「お、おお……」

 

『げきおこだあ…』

 

 

 満身創痍で立ち上がったアリサが傍にあった物置小屋を土台ごと引っこ抜き、ぶん投げたのだ。それは、ラクーンシティでのモリグナ戦を思い出させる光景で。

 

 

「ギ、ギギィイイイッ!? プギャッ 」

 

 

 エンペラトリスは文字通りぺちゃんこに潰され、小屋ごと落ちていって轟音が響き渡った。カラスの群れが飛び立っていく。はあ、はあと荒い息を吐きながら、へたり込むアリサ。

 

 

「お、おい?大丈夫か?」

 

「さっきまでに比べたら全然マシだよ……ありがとう、ビリー」

 

「気にするな。バディだろ」

 

『無事でよかったよおアリサあああああ!』

 

「わ、わあ!?エヴリン、大声が傷に響くからあ!?」

 

 

 ハンマーを片手で握ったビリーが肩を貸し、アリサは立ち上がる。目指すは風車の先だ。




どんなに強力な肉体を得ようと、想いを持たない害虫。人が抱く想いには勝てないのだ。

エンペラトリスは飛行能力を手に入れたアリサって感じです。記憶があってもアリサは自分のスペックを雑に使うから、そんな器用な使い方はできなかったっていう。なんなら再生するから人質の意味もない。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

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