BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。クリスマス特別編となります。時系列は2004年のクリスマス、つまり4編のあとですね。楽しんでいただけたら幸いです。


fileXmas:前編【エヴリンはサンタさん】

『お願いだから力を貸してください!』

 

 

 テラグリジア・パニックから半年ほど過ぎたその日、エヴリンは空中で土下座していた。土下座しているのに見下されているというわけのわからない謎の状況に困惑しているのは、最近覚えた擬態で人型になって鍛錬中だった元男の女にしてBSAAの戦術指南役、ジャック・クラウザーだ。

 

 

「……待て、もう一度言ってくれ。なんだって?」

 

『だから、ジャックにサンタになって欲しいの!』

 

「待て待て、本当に待て。なんて?」

 

 

 訳の分からないことを言われて大困惑のクラウザー。しかしエヴリンの顔は真面目であり、とりあえず話を聞くことにする。まだ入って一年未満だがこの少女に関しては本当に訳が分からなかった。

 

 

『ほら、私ってジャック以外のB.O.W.にとって母親みたいなものじゃん?』

 

「子供の姿で言われても何言ってんだとなるが、それは知っている。で?」

 

『みんな実験施設出身だったり元野性だったりで、クリスマスをちゃんと味わったことがないんだよ。みんないい子なのにサンタすら知らない!』

 

「ほとんどが殺人を体験してるって話は置いておいた方がいいか?」

 

『私は驚いたね、それぞれ楽しんでいるだろうと楽観視しててオメガにふと聞いてみたらサンタってなに?って言われて愕然として、今更気づいた。そういや親である私がサンタやってないんだから知る訳ないじゃん…!って』

 

 

 おおおおんとわざとらしく泣き喚くエヴリンに、クラウザーは真顔でツッコんだ。

 

 

「一応聞くが十年ぐらいの付き合いだよなお前ら?」

 

『それ言わないで?クリスマスを知ってるリサやアリサやアレクシアは自虐するか今はいないか実験ばかりだし!』

 

「それはわかったが、なんで俺なんだ?それこそ、最古参のクインティアとかに手伝ってもらえばいいだろう」

 

『クイーンだって私にとっては大事な子供みたいなものなの!それに、ジャックって名前でしょ?私に洗脳されてもサンタをやるのはやめなかったし実質サンタじゃん?』

 

「お前は全国のジャックのどんな夢を見ているんだ?」

 

 

 ジャック・ベイカーは洗脳されてる間もルーカス相手にサンタを全うしていたらしい。どうでもいい情報であるが、それを言うエヴリンは現実を知ってる癖して子供のように目を輝かせて期待の視線を向けていて。クラウザーは大きな、それは大きなため息をついた。

 

 

「……わかったよ。それで、どうすればいい?」

 

『リサが金庫に貯めてる“私の給料”があるから、それを回収して私の言うもの全部買ってきて。で、夜になったらそれを配るの!』

 

「お前は俺に寝るなと……?」

 

『お願い!あ、もう一人手伝ってもらう人呼んでるよ。おいでー』

 

「もう一人?」

 

 

 エヴリンが呼び掛けた方に振り返るクラウザー。そこには、やる気満々といった様子のユウコがいた。

 

 

「私は厳密にはアトラナートのだからエヴリンの子供じゃないし、マヌエラみたいに子供でもないから選ばれたわ!」

 

『快く引き受けてくれたわ』

 

「だろうな……はあ。わかったよ。給料は払えよ」

 

『もちろん!』

 

 

 凸凹サンタトリオ結成の瞬間であった。その後、エヴリンが適当な理由でリサに告げて手に入れた大金をもとに、クラウザーとユウコは三日の間、駆け回った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、次は……」

 

 

 三日目、クリスマスイブのニューヨーク。荷物の山を片手で担いだクラウザーが一人で買い物をしていると、そんな彼女に話しかける男たちがいた。

 

 

「へい姉ちゃん。重そうな荷物担いでんな?俺達が手伝ってやろうか?」

 

 

 いかにもな軽薄そうな男性が四人。2004年にもなって典型的なナンパ野郎である。クラウザーは頸を傾げたが今の己の容姿を思い出してすぐに理解し、露骨に嫌そうな顔を浮かべてため息をついた。

 

 

「ナンパなら後にしろ。俺は今は忙しい」

 

「俺っ子?可愛いじゃん!」

 

「そう言うなって。手伝ってやるからさ」

 

「その代わり……わかっているよね?」

 

「聖夜をはき違えてないかお前たち」

 

「ほら、持ってやるよ……って重っ!?」

 

 

 すると呆れた様子のクラウザーから荷物を奪い取った挙句、落としそうになる男たち。落ちそうになる荷物に、クラウザー、キレた。

 

 

「ふんっ」

 

 

 目にも留まらぬ手刀が首に突き刺さる。もちろんへし折らない様に調整した威力だが、人の意識を奪い取るには十分で。男たちは荷物を放り投げて倒れ伏し、クラウザーは手だけ動かして荷物を全て重ねて受け止め、踵を返す。その鮮やかな身のこなしに、集まっていた野次馬から喝采の声が上がった。

 

 

「これは俺がエヴリンから受け持った任務だ。何者も邪魔をするのは許さん。……何者もだ」

 

 

 そう言って睨みつけた矢先、こちらの様子を窺っていた黒髪をセミロングにまとめたサングラスの女性が去っていく。クラウザーはそれを睨みつけると、改めて帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その黒髪の人物……ジェーンドゥーの分身体は目立たない路地裏に入り込みながら手にした携帯端末を弄っていた。

 

 

「あの時見た顔のBSAAを見つけたと思ったら……ド素人のB.O.W.じゃないわね。軍人をもとにした変化したタイプ…?まあなんでもいいわ、浮かれてる奴らにはプレゼントを上げないとね?」

 

 

 そう言って手近なホームレスにでも自らの内包するウイルスを与えようとして、止まる。その首筋に、鋭い刃の様なものが添えられていたからだ。

 

 

「だ、誰かしら……?」

 

「拙者はただの通りすがりのサムライでござる。主、今何をしようとしていた?」

 

「えっと……キスだけど?」

 

「まるで悪魔の口付けでござるな。この聖夜にそんな外道、許さぬでござる」

 

「っ…!」

 

 

 咄嗟に、尻尾を出して背後の敵を突き刺そうとするジェーンドゥー。しかしそこに自称サムライの姿はなく。

 

 

「上でござるよ」

 

「がっ……!?」

 

 

 頭上から急降下してきた自称サムライの爪により、脳天を貫かれたジェーンドゥーは倒れ伏し、下手人は着地して腕を振って血を払う。

 

 

「お主たちが情報を出さないことはナイ殿から聞いているでござる。下手に生かせば危険とも。斬り捨てソーリー」

 

「それ、サムライじゃなくてニンジャ……がふっ」

 

「拙者はサムライでござる。……プレゼントがもらえなかったらどうするつもりでござったのか。拙者、母上殿からいただくプレゼント楽しみなのでござる。おっと、これは知っていたらダメなのでござった」

 

 

 こと切れたジェーンドゥーを見下ろして部下に連絡して、回収に来てもらう自称サムライ。殺しを行った直後だというのに、期待に胸を膨らませるさまは歪んでいるが、エヴリンにとっては大事な子供の一人であった。




エヴリンとクラウザーとユウコとかいう今までなかった組み合わせによるサンタ作戦始まるよ。

明日は後編をお送りします。次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

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