BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はハイゼンベルクのショータイムを見物するエヴリン。楽しんでいただけると幸いです。
「なんなんだ、お前らは…」
「それでドミトレスク!こいつを独り占めして何が面白いってんだ?確かにこの状況でも文句を言える毛の生えた心臓の持ち主だがな、この俺なら全員が楽しめるショーを見せてやれる」
『ドミトレスクよりカールの方がセンスいいよね!』
「ハッ!何てくだらない。安っぽいサーカスなんて誰が見るの?この男が苦しむ様は私が保証しますわ」
『イーサンが苦しむならどっちでもいいけどさ』
「どうせ誰もいねえ城でこいつのナニを切り落とそうってんだろ?」
『きゃー、ナニだなんてカールのエッチ!』
困惑するイーサンを余所に言い合いするドミトレスクとハイゼンベルクに一々茶々を入れるエヴリンに、頭が痛いのかこめかみを押さえるミランダ。一言も喋らなかったせいでイーサンにやっと認識されたこの面子のボスは頭を振りながら口を開く。
「互いの言い分は分かった。かたや一方は理屈に及ばぬようだ。だが我が意を決したぞ。ハイゼンベルク。この男、お前に委ねよう」
『さっすがミランダ。わかってるぅ!』
「喜んで。お母様」
『カールがお母様って言うだけで笑える。ぷぷぷっ』
「マザー・ミランダ!どういうことですか?ハイゼンベルクは幼稚な上、貴女への忠義も疑わしいと言うのに!こんな餓鬼と何を企んでいるのかもわからないのですよ!?」
「餓鬼…?そんなの、どこに…」
ドミトレスクの言葉に疑問符を浮かべるイーサンを見て笑うのを堪えきれなくなるエヴリン。
『アハハハハハ!さっきモローが私の名前を出したのに気付いてもいないんだ!私の事を忘れたいんだね!忘れさせてなんかやらないよ、イーサン!』
「
「ガタガタ言ってねえで自分が負け犬だと認めちまえよ!餌が欲しけりゃ他あたれ」
『やーい負け犬ドミトレスク!』
「その口をお閉じ、坊やと小娘。今は大人が話してるの」
『こんないい男を坊やってどんな感性してるの?』
「坊やだあ?テメエこそミランダ様に楯突く気か?」
「お前たちは責任というものを全く理解できていないようね!」
『責任?なにそれ美味しいの?』
「図体がデカいとエゴまでデカくなっちまうみてえだな!」
『いいぞー、カール!もっと言い負かしちゃえー!』
『ヴェェェイ!ケンカ!ケンカ!やっちゃえ!やっちゃえ!』
「鎮まれ!」
大の大人二人が口喧嘩して子供二人がそれを煽る中、ミランダがよく響く声と共に、六枚の黒い烏の様な翼をバサッと広げて威圧。喧騒が嘘の様にぴたりと鎮まる。
「我が
『異議あり!………言いたかっただけで特に異議はないですごめんなさい』
「どうも、「お母様」。では親愛なる…
そう手を広げていつの間にか集まったライカン達にハイゼンベルクは宣言。イーサンは降りてきたライカン達に囲まれる形となり、その中心でハイゼンベルクは屈んで愉快そうに笑みを浮かべ、その手にしたハンマーを振り上げた。
「そんじゃ期待してるぜ。イーサン・ウィンターズ。準備はいいか?」
「おい、よせ…!」
「10…9…8…7…6…5…4…3…2…1…!」
目の前の床に叩きつけられるハンマーを合図とするようにカウントダウンが始まり、イーサンは手錠をはめられた両手で何とか立ち上がり、後ろに穴があるのを見て飛びこんだ。
「ショータイーム!!」
『じゃ、私ライカン達に指示してくるね!』
追いかける様にエヴリンも穴に飛び込み、扇動するようにライカンを捲し立てる。ライカンもカドゥを埋め込まれた人間、上位種ともいえるエヴリンの命令には従順だった。
『ほらほら、のんびりしてないで!鬼ごっこ!かくれんぼ!ほらほら、みんなが鬼だよ!イーサンを追い詰めよう!殺しちゃってもいいかな、ここで死ぬならそれまでってことだし!』
≪「いいぞ。そうだ走れ。その調子だ、イーサン」≫
「グオアァアアアア!」
「クソッ、なんだってんだ!?」
悪態を吐きながら立ちはだかるライカンを蹴り飛ばし先を急ぐイーサンに体を抱きしめて震えて恍惚の表情を浮かべるエヴリン。ハイゼンベルク辺りに見られてたら「気持ち悪い」と称される顔だった。
『いいよいいよ、サイコウ~!それでこそだよイーサン!手錠されてるのに!武器も使えないのに!どこまでもタフで根性あって悪態つく余裕もある…!アハハハハハッ!三年経ったのに変わらないね!ああ、殺したくて殺したくてたまらないよイーサーン!』
「なんだ?なんか寒気が…」
蕩ける様な表情で全身を抱きしめてくねくね動きながら涎まで垂らすエヴリンに、それが見えているライカンはちょっと引いた。その隙を突いてバリケードを蹴り砕いて先に進むイーサンに、エヴリンは我に返り深呼吸して落ち着いた。
『雑魚じゃこんなもんか。ならボスを出そう!ウリアシュ!出番だよ!ジャジャジャジャーン!』
「なに!?」
『死んじゃえイーサン!やっちゃえウリアシュー!』
イーサンの目の前に大槌を手にした大男ウリアシュが飛び出し、エヴリンの声に頷くとフルスイング。咄嗟に手錠を盾の様に構えたイーサンを殴り飛ばして横穴に落下させる。
≪「まだ生きてるのか?やるじゃねえか」≫
『ほんとだよ。いつ死ぬのイーサン』
「うるせえ!俺は死んでもローズを取り返すぞこの野郎!」
≪「まったくよぉ…噂通りのしぶとさだな。アメリカでどんな目に遭ったらそうなるんだよ」≫
『車に轢かれたりとかチェーンソーデスマッチとか蟲に貪られたりとかデスゲームさせられたりとか、かなあ?』
「大きなお世話だ馬鹿野郎!」
悪態を吐きながら吊天井エリアを抜けるイーサン。しかしその前に部屋を横断するほどの巨大なトゲ付きローラーが立ちはだかる。
≪「おい。まさか俺がお前を逃がすとでも思っていたのか?ドナとモローが退屈しちまってるからな」≫
『さすがカール!絶対殺してやるって気概が目に見えるようだよ!今度こそ終わりかあ、寂しくなるねイーサン!主役はここで退場か!』
≪「そんじゃあ派手に内臓ぶちまけて盛大なフィナーレの幕開けと行こうじゃねえか!アメリカ産ミンチのできあがりってか!」≫
「クソッ……一か八かだ!」
やんややんやとエヴリンも拍手してワクワクと楽しげに見守るがしかし、イーサンはちょっとしたくぼみに逃げ込んで身を潜め、さらには手錠までトゲ付きローラーを利用して破壊してしまったことに驚愕の表情を浮かべる。
『うそーん……え、なんで?なんで?ローラーに引っ張られないのなんで?死なないのなんで?今のカビ?私の力?殺しても死なないのなんで?ジョン・マクレーンかなにか?と、とりあえず報告に行こう…』
分かりやすく意気消沈しながらミランダたちの元に戻るエヴリン。しかしそこにドミトレスクの姿は見えず。
『ただいまー。あれ?ドミトレスクは?』
「俺のショータイムは興味がないって帰っちまったんだよ。それでどうだ?イーサン・ウィンターズはアメリカ産ミンチになったか?」
「…奴は死んだのか?」
『それがさー。なんでか生き残っちゃった。しかも無傷で。くぼみ開いてたよカール。詰めが甘いよ』
「なに?アレから生き残るとはやるな……しかし自信失くすぜ」
『いやまあ、アレから生き残る方がおかしいから落ち込まないでカール』
『ヴェェェイ!見てて退屈はしなかったよー!』
肩を落として分かりやすく落ち込むッハイゼンベルクを慰めるエヴリンとアンジー。ドナとモローも頷く中でミランダが口を開いた。
「いいだろう。イーサン・ウィンターズを我らが明確な敵とする。各々の持ち場に戻り、フラスクを明日の夜明けまで死守しろ。そうドミトレスクにも伝えろエヴリン」
『了解~(ま、ミランダの思惑通りにはさせないけどね)』
エヴリンはほくそ笑む。悪意を飲み込む悪意で塗り潰して新たな家族を手に入れるために、決意を新たにした。
今はちょっかい出すぐらいだけど場が整ったら本気を出す予定の小物なエヴリン。何気にライカンやウリアシュに指示できるっていうね。
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