BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

今回は前回の補足回、アルベラの出生となります。新年最初にあるまじき鬱回ですが、楽しんでいただけたら幸いです。


file4:12.5【ある日、乳飲み子を拾った】

 十数年前、スペイン某所。サラザール城にて、散歩から帰ってきた息子が連れてきたそれに、城主であるディエゴ・サラザールは問いかけた。

 

 

「ラモンよ。その乳飲み子、どうしたんだ?」

 

「父上様!この子は、村のはずれで泣いていたのです!私とセバスチャンが見つけなければ、狼にでも襲われるかそのまま凍え死んでいたか……それで」

 

「……セバスチャン」

 

「ディエゴ様。申し訳ありません。人道を逸れることなかれと教えてきたラモン様が見過ごすことなどできるはずもなく……私も、見捨てることなど、とても」

 

「わかっている。その乳飲み子は」

 

「アルベラです!名前の書かれた紙を持ってました!」

 

「……アルベラは、攫ってきたのではないのだな?」

 

「誓って、違います」

 

「そうか」

 

 

 ディエゴ・サラザールはラモンとその教育係であるセバスチャンの言い分を聞き、頭を押さえる。

 

 

「恐らく村の人間の乳飲み子だろう。帰してきなさい」

 

「いやです!ではなぜ、あんなひっそりとした茂みの中に隠されていたのです!?」

 

「……わかった。ラモンよ。サラザール家の人間として、不義を行うことはあってはならない。お前が拾ったのであれば、お前が責任もって育てるのだ」

 

 

 そう告げると、ラモンは顔を輝かせた。

 

 

「わかりました!父上!」

 

 

 それは、たしかに、純粋な善意だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数年後。すくすく育ち4歳年上であるラモンの身長をあっさり越すほど元気に育ったアルベラは、ラモンの身の回りの世話をするおつきのメイドとなっていた。

 

 

「ラモン様。勉強の時間でございます」

 

「はい、わかってますよアルベラ」

 

「ラモン様。セバスチャンさn……様から言伝でございます」

 

「私の前では畏まらなくてよいのですよアルベラ」

 

 

 良好な関係を続けていた。しかしラモンは、一人息子であるため実の妹の様に思っているメイドが、従順に尽くしてくることに、苛立ちを感じていた。我儘を言ってほしい。実の家族の様に接してほしい。そんな思いは何時の間にか歪み、そして。母親のカタリナが謎の病で亡くなった。冷える部屋で泣き喚くラモンに、アルベラはホットコーヒーを持ってきて、一歩引いた場所で告げた。

 

 

「ラモン様。カタリナ様のご冥福をお祈りいたします……ラモン様?」

 

「………うるさい、うるさい、うるさい!」

 

 

 その時、ラモンは手を上げた。理由はひどく簡単で。まるで自分たちを家族ではなく赤の他人の様に接する涙一つ流さないアルベラに、カッとなってしまった。まるで家族を失ったかのように泣き喚けば、すっきりしただろうか。言葉だけでなく、寄り添ってくれれば満足しただろうか。だがそうはならなかった、そうはならなかったのである。

 

 

「ら、ラモン様……なに、を……?」

 

 

 パシィッと乾いた音が鳴った。敬愛するラモンから初めて手を上げられたアルベラはぶたれた頬を押さえて目を白黒させていて。自分の思いをまるで理解しない愚図に、ラモンは冷えた己の体をあっためるためであろう、湯気を漂わせるコーヒーカップを手に取り、その中身を引っ掻けた。

 

 

「あっ、ぐうううううう!?」

 

「ははは……やっと私を見てくれましたねえアルベラ……私を見なさい!アルベラ!」

 

 

 母親の急死とこれまで燻ぶらせ続けてきた感情、そして奇病による焦りが合わさり、爆発した。ラモンは、傷つければ怯えた目で己を見てくれることを知った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その時は、異変を聞きつけたセバスチャンが駆け付けて難を逃れたものの。その関係は一変した。時間を置かずに程なくしてディエゴも謎の病で亡くなり、幼いラモンがサラザール城の城主となった。横暴を極め続け暴走するラモンに、セバスチャンは見限って辞めた。そのとき、一緒に来ないかと誘われたアルベラはそれでも、ラモンに恩があるからと城に残ることを決めた。

 

 

 程なくして、ラモンにロス・イルミナドス教団が接触した。ラモンはそれを受け入れ、サラザール家が代々封印し続けてきた“プラーガ”の封印を解き放ってしまう。アルベラはそれを見ていることしかできなかった。“黒い水”を受け入れるしかなかった。

 

 

 そして、ラモンに従順であることとセバスチャンに仕込まれた武芸に長けていることを理由に、支配種プラーガを与えられたアルベラは、のちにラ・ルエダ・デラ・フォルトゥナ(運命の輪)と呼ばれる怪物になり果てる。運命に縛られた少女はその日、運命と出会う。




※アルベラの前髪で隠されていた顔にはひどい火傷がある。

 元々は両親と村に住んでいたが、外からやって来た父と、それにそそのかされた母とが違法な商売に手を出したことが露見し村八分となり、夜逃げ同然で逃げた際に乳飲み子だった彼女だけ置いていかれたアルベラ。両親はその後、また悪辣な商売に関わるも失敗して野垂れ死んだという因果応報を迎えた。

 ちなみに四歳も年下のアルベラ身長が自分より上というのもラモンの感情が爆発した理由でもあります。つまり今作ではラモンが狂ったのはアルベラのせい。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

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