BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
エイダの異変、マリオの奮闘。楽しんでいただけたら幸いです。
――――この子が言ってるわ……この女性は、
――――信徒に届けさせました。“卵”です、アシュリー様。
――――貴女の怪力で無理矢理取り込ませてあげて、エルソル。
――――ええ、きっと彼女も我が君主様の声をお聞きになればその偉大さを理解してくれます。
「……はっ!」
目覚める。意識が飛んでいた。その間に、夢を見た様な……思い出せない……。
「……ぐうっ」
いつの間にかアシュリーとエルソルがどこかに行って、状況を確認しようとしたのだが、頭が痛い。吐き気がする。目覚めてすぐ、エルソルのホラー顔負けな首の伸びた顔と、明かに正気じゃないアシュリーを目にしたから、だったらどんなにいいか。敵に捕縛されて、なにもされてないはずがなかったのだ。
「まさか、私にもプラーガを……?」
最悪だ。H.C.F.の命令でサンプルを手に入れに来たものが、自身に寄生されるとは。このまま帰ってもよくて実験台だ。除去しなくては。方法が存在することは知っている。そのデータを取る前に、まず自分から取り除かなければ。
「うぐっ、あああっ!」
すると突然、気だるかった身体に激痛が走って椅子から転げ落ちる。これは、腹部…!?胃を貫いて侵入したなにかが私の中で蠢いている。うそ、プラーガの卵が孵化するのは早くて半日ほどのはず……こんなに早く孵るなんて、聞いたこともないし事前情報にもなかった。これが君主様と呼ばれていた存在の……!?
【エイダ。エイダ・ウォン。聞こえますか……】
「だ、誰!?」
自分以外には誰もいない密室から聞こえてきた謎の声にたじろぐ。男のような女の様な、高すぎず低すぎない不思議な安心感さえ感じる声。
【私の名は■■■■■ 今貴女の精神に語り掛けています……】
「プラーガを介してってこと?じゃあ貴方が、君主……」
【確かに私はプラーガという種の母ともいえる個体です。ですが、貴女を害そうだなんて考えてはいません。むしろ、忠告するために語り掛けているのです】
「忠告…?」
いつしか警戒心は解けていた。その声を無条件に信頼していた。エイダはそのことを何の疑問も抱かず、耳を傾ける。
【アシュリー・グラハムはエル・ソルに操られています。彼女を開放しなければなりません。エル・ソルの弱点は頸椎です。そこを傷つけられたらあの自在な四肢の操作が鈍ります。ただの人間には彼女の頸椎を傷つけることは難しいですが、プラーガの力を手に入れた今の貴方ならば……】
「……あなたは、自分を君主と崇めるエルソルを見捨てるの…?」
【彼女は私に心酔するあまり、外道に堕ちました。アシュリーを利用してアメリカの支配などあってはならない。しかし、私の意思はアシュリーを取り戻そうとしている者たちに伝えることはできません。故に、エル・ソルに命じて貴女にプラーガを授けたのです……申し訳ありません。ですが、貴女が望むならアシュリーともどもプラーガを取り除くことを手伝うつもりです。我らが種は、滅んだ方がいいのですから】
「……貴方は今、どこにいるの?」
【サラザール城にて、琥珀の中に眠っています。私は、語りかけることしか、できない。どうか、お願いします。アシュリーを取り戻しに来た彼らのピンチを、救って】
その言葉に、エイダは頷く。既に、不快感は消えていた。
「その人たちから離れろ!お、俺が……マリオ・フェルナンデス・カスタニョが相手になるぞ!」
別室ではビリーとアルベラは無理矢理戦わされ、今まさにアリサとプサイとエヴリンがエルソルに完封され、今まさに灼熱に発光する大量の手に押しつぶされ死のうとしていた、その時だった。啖呵を切ったのは、いつの間にか地下室に入ってきていた凡人の警官、マリオだった。
「警官……?ああ、もしかして行方不明者を捜しに来た警官隊の一人ですか?運が悪いですね……それに、損な正義感を振りかざしてもなにもいいことはありませんよ。明らかに異常なこの場に、何しに来たのですか」
マリオの存在に気を取られて、アリサとプサイを押し潰していた怪力を緩めるエルソル。それを確認して、マリオは震える身体に気合を入れて、続けた。
「お、俺には、そそそそこのアリサ・オータムスを案内する任務があるんだ!こ、殺されるわけにはいかねえええんだよおおおお!」
「マリオ、ダメ!逃げて!」
そう呼びかけるアリサ。一緒にいたはずのルイスや武器商人のことについては尋ねない。武器商人はもとより手出しするとは思えないし、護衛するという約束しかしてないからここに来るのは契約外だ。残るはルイスだが、今はビリーとアルベラの居場所もわかってないからそちらに向かったと考えるのが妥当だ。つまり、マリオは一人でここにいて、ルイスがなにかする間の時間を稼いでいる。だがしかし、彼を守るものは何も……!
『だめ、だめ!マリオはただの人間なんだから、こんなバケモノ相手にしたら本当に死んじゃう!』
「お願いだから!マリオ!私達は大丈夫だから!」
「拙者たちは心配ご無用!この程度のピンチ、どうってことないでござるゆえに!」
「そ、そんなわけにはいくか!手も足も出てなかったじゃないか!俺だって、気を引くことぐらい…!」
「知り合いだったのですね。ああ、それなら。こういうのはいかがでしょう」
「ござっ!?」
触腕に首根っこを持ち上げられ、強制的に立ち上げられるプサイ。これ幸いと反撃しようとするが、身体が動かない。見れば、触手が四肢に巻き付いて雁字搦めにされていた。
「プサイ!」
『触手プレイ!?』
「こ、これは……!?」
「ぐっ!?」
そのまま、流れるように解放されたアリサの首根っこを掴み、プサイの意思を無視して締め上げるプサイの体。
「プサイ、なに、を……」
「ち、違う!拙者では……私じゃ……」
『あいつの掌が背中にくっついて指を伸ばしてプサイを操ってる!なんだこれ、離れろ!あーくそっ、イブリースやベルセポネみたいな精神的なものじゃない!近いのはパペッティアだけど……私じゃ干渉できない!』
「あうっ、ぐううっ……」
「君主様に仇なしアシュリー様を奪わんとする輩は自らの手で破滅するのがお似合いです!そこで眺めてなさい、凡人!」
涙目で首を横に振るプサイ。なんとかしようとするもどうしようもないエヴリン。プサイの剛力で首を絞め上げられ窒息寸前のアリサ。それを愉し気に眺め、まるで凡人だったかつての自分と決別する様にマリオを見下すエルソル。それを見て、マリオは。
「う、うおおおおおおおっ!」
彼は凡人であっても、警官だ。そのうちに眠るは熱い正義感。そして、人を救う使命感。マリオは飛び出していた。エルソルに操られたプサイに飛びついていた。その背から、エルソルの掌を引きはがさんとしがみつく。
「なにを…!殺しなさい!」
自ら切り離した掌に指示をするエルソル。指が蠢いてプサイを縛り上げ、アリサを拘束したまま肘をマリオの顔に叩きつける。本来なら頭骨を砕くには十分すぎる威力のそれは、プサイの全力の抵抗でただ鼻が曲がって鼻血が噴き出すだけで済んだ。
「拙者の体でマリオ殿に手出しはさせないでござる…っ!」
「なら、私自ら……神の恩恵を受けてもいない凡人が、離れなさい!ただ正義感があるだけでは、どうにもならないのが現実です!」
「ぐはあっ!?ま、っまだだ…!」
容赦なく、複数の拳を叩きつけるエルソル。あばらが折れ、肩が砕け、肺が圧迫され、頭部がかち割られる。見てられないとエヴリンが顔を背ける程の重症。それでも、マリオは折れない。折れることはない。
「プサイから、はな……れろおお……!」
「離れるのは貴方です!」
エルソルの拳のラッシュが叩き込まれ、ついにプサイから殴り飛ばされるマリオ。襤褸雑巾の様になって倒れ伏したその姿は死に体で。しかし、その手にはエルソルの掌をしっかりと握っていた。
「なっ……」
「よくも、やってくれたでござるな!かたじけない、マリオ殿!」
瞬間、自由を取り戻したプサイの四方八方を蹴っての斬撃の嵐が叩き込まれる。全身を灼熱に発光させるも知ったことかと斬り裂き、再生しても斬り裂き続ける。
「無駄です、神の寵愛を賜った私は何者にも負けない……!」
「……なら、その神に見捨てられたらどうかしら」
瞬間、伸ばしに伸ばしたエルソルの首を構成する頸椎に、人外の力で叩き込まれたナイフが突き刺さった。
遂に登場、君主様。エイダを助けてエルソルを倒す手伝いを…?
マリオ、決死の大奮闘。アリサやプサイがボコボコにされている拳のラッシュを喰らってます。タフ。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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南雲友子
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