BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回は世界観を同じくする拙作「Fate/Grand Order【The arms dealer】」と工場長生存ルート編のコラボ回となってます。またあちらの本編後の話なのでネタバレあり。苦手な方はプレイバック推奨。関係ないけどアヴァロン・ル・フェすごかったですね。
ついに二人のエヴリンが邂逅する…?な今回。楽しんでいただけると幸いです。
ヨーロッパ某所。新たに建てられた自身の工場で一休みしていたカール・ハイゼンベルクは片手間に一つの書類を手に読んでいた。
「クリスとの交渉材料にもらったルイジアナ事件の情報…面白いのが書かれてるじゃねえか」
曰く、ルーカス・ベイカーの策略で仲間を全滅させられたクリスを援護した外部の人間がいたこと。20歳にも満たぬ少女の身で銃を巧みに操り、ルーカスを倒した張本人だということ。「ルーカスとは家族の様な存在で自分が始末をつけないといけない」「本当は娘同前でもあるエヴリンを止めたかった」「ゾイとジョーおじさんだけでも助かってよかった」と語っていたこと。最後に名前を名乗ったうえで「自分は人理保証機関フィニス・カルデアのマスター」と名乗って去って行ったこと。ルーカスからは「愛しのリツカ」と呼ばれていた日本人であったこと。
どうやら世界には俺の知らない物が溢れているらしい、そう結論付けたハイゼンベルクはシュツルム…ではなく、それとよく似たプロペラエンジンの調整を再開する。兵器は作っちゃいけないと言われたが時代錯誤な飛行機作るぐらいは問題ないだろう、という結論だ。
ピーンポーン!
「あ?」
と、そこでインターホンが鳴り響き、ハイゼンベルクは頭をガシガシと掻きながらモニターを覗くと黒のスーツを身に着けた赤髪の少女が映っていて。仕事か、と判断したハイゼンベルクは扉を開ける。
「あの、カール・ハイゼンベルクさんで間違いありませんか?」
「あ、ああ…」
そこにいたのは、大人になりたての様な少女だった。20歳になりたてぐらいだろうか、きっちりスーツを着こなしていることから社会人だとは分かるが、何時も来る政府の使いとは何やら空気が違う。そしてその後ろには大きなリュックを担ぎ黒のローブを着込んで口元を隠したマスクの男もいて。そしてその隣には、見覚えのある黒いワンピースを着た少女が……。
「エヴリン!?てめえ、イーサンから離れてなにしてる!?」
そう言うとエヴリンと少女は顔を見合わせて笑い、少女は身分証の様な物を取りだした。そこに書かれていたのは…。
「初めまして。人理保証機関フィニス・カルデアから来ました。マスターの藤丸立香です。マザー・ミランダとその支配していた村について話を伺いに来ました」
よく見れば、その顔はさっき見ていた書類に添付されていた写真の少女と同一人物だった。
「はあ。なるほど?マスターに魔術師にサーヴァント、ね。で、そこのエヴリンもサーヴァントで本物じゃないと。で、アンタは各地で勃発するバイオハザードを止めるべく世界中を回っていて、今回もあの村での出来事を聞きつけてやってきたと」
「信じてもらえたようでなによりです」
とりあえず淹れたコーヒーを特に疑うことなく口にする立香に、疑う心はないのかと呆れながら自身もコーヒーを口にするハイゼンベルク。何も飲まずに工場内を観察しているローブの男…ディーラーと、コーヒーを口に付けて嫌そうな顔を浮かべるエヴリンを眺めてから、電話を手に続ける。
「いやまあ、電話で聞いたらイーサンの方にもエヴリンがいると聞かされたらなあ。イーサンも呼んでおいた。話を聞きたいなら俺よりアイツの方がいいからな」
「私としては、B.O.W.の詳しい詳細を知りたいので貴方の方が都合がよいのですが…」
「なあ。片っ苦しい言い方はやめようぜ。慣れてないの丸わかりだぞ」
「バレバレみたいだぞストレンジャー。慣れないことはするもんじゃないな」
「そうだよママ。似合わない」
「敬語って大事なんだけどな…わかった、敬語はやめる。せっかくここの言葉覚えて来たのになあ」
「そりゃあご苦労様だ。しかし、エヴリンのママね。ウィンターズ家以外に奴を受け入れる奴がいるとはな」
「私も家族を失っていて。求める気持ちは痛いほどわかったから」
「家族を求める気持ちは理解したくもないな。それ一つで何百人と殺して人体実験したくそ女がいたもんでな」
「…それがミランダ?」
「ああ。娘を取り戻すために全てを犠牲にしようとしたクソッたれだ。まあ、こんな力でも役に立つからそこだけは感謝してるがな」
そう言って冷蔵庫の中からケーキを取りだしながら手を翳してフォークとナイフを引き寄せて握るハイゼンベルクに、おおーと手を叩いて称賛する三人。新鮮なその反応に気を良くしていると、携帯端末に連絡が入る。イーサンからだった。
「そろそろ着くみたいだ。……一応の確認だがそのエヴリンを会わせてもいいのか?」
「もうイーサンへの確執はだいぶ薄れたから…大丈夫、だよね?」
「イーサンは「もう一人の私」が出てこない限り大丈夫だと思うけど…私はどうだろう」
「そういやアルターエゴのお前にはオリジナルのエヴリンは天敵だったな、ストレンジャー?」
『まあ私もオリジナルかと言われれば違うんだけどね』
「「「「!?」」」」
ひょこっと中央の机から顔を出したエヴリンにビクッと驚くハイゼンベルク、立香、ディーラー、エヴリン。さらに扉からノックが聞こえ、ハイゼンベルクが能力で開けるとイーサンが顔を出したが、それに目もくれず無言で睨み合うエヴリンとエヴリン。
「来たぞハイゼンベルク。っておお、エヴリンがもう一人いる…」
「エヴリンとエヴリン…ややこしいな、藤丸の方をエヴリンR、イーサンの方をエヴリンEと呼ぶぞ。いいな?」
「あ、初めましてイーサン・ウィンターズさん。私、人理保証機関フィニス・カルデアから来ました。マスターの藤丸立香といいます」
「あ、ああ。…そこ、放っていていいのか?」
「まあ、触れられないなら大丈夫かと?」
「というかアンタたちもうちのエヴリンが見えるんだな…」
「私もE型特異菌に感染してるのと、私と繋がってるディーラーだから…かな?」
そうして歓談を始めた大人たちを余所に。睨み合っていたうち、幻影のエヴリン…エヴリンEが口を開く。
『へえ、貴方別に幻覚とかじゃなくてその姿が本物なんだ…しかも実体があるなんて生意気だなあ』
「そっちこそ。自由に動き回れて何者の干渉も受けないんでしょ?羨ましいなあ。私はママと親友がいるぐらいしか誇れることないよ」
『私のイーサン…パパの方がいい親だもんね!言われたことある?うちの娘だって誇らしげに!』
「ふん、そっちこそ!命懸けで庇われたことある?それも、一方的に嫌っていたのに気にせずに!』
『それなら私だって、精神世界でイーサンを殺した私を受け入れてもらったもんね!』
「私も精神世界で殺されそうになったところを助けてくれたもん!私のために死んでくれたし!」
睨み合い、口々とそれぞれの親の武勇伝を言い合いするエヴリン二人。傍で聞こえている立香とイーサンは顔真っ赤だ。
『私のパパの方がすごいもんね!右手取れても平然とくっつけるんだよ!?』
「私のママなんか大砲でバラバラにされても五体満足だもんね!?」
『え、なんで大砲に撃たれてるの?こわっ…』
「そっちこそなんでまた手が取れてるの…?」
最終的にそれぞれの親の蛮行にどん引きするエヴリン二人。イーサンとハイゼンベルクは立香を、立香とディーラーはイーサンを見てちょっと引いてる。
『あーもう頭に来た!イーサン、体貸して!モールデッドギガントになってぶちのめしてやる!』
「ママ、私にありったけの魔力を回して!宝具使ってジャック呼び出してボコボコにしてやる!」
ついにはヒートアップした言い合いの果てに実力行使に出ようとするエヴリン二人を止めようとする親2人。
「やめろ!?お前、同族嫌悪にも程があるぞ!?」
「別に外の裏庭使って暴れるくらいなら俺はいいが?」
「ハイゼンベルク!?」
「落ち着いてエヴリン!?今カルデアの援助受けてないから私が干からびる!」
「予備令呪ならオルガマリーからもらっているぞストレンジャー」
「ディーラー!?」
「『よし、勝負!』」
「「やーめーろー!?」」
このあと全力で殴りあって、普通にエヴリンEが負けた。さすがに人知を超えた存在であるサーヴァントになった己には勝てなかった。
ぶっ飛んでる親を持つ、ある意味「偽物」という似た者同士なエヴリン。以下簡単なキャラ紹介。
・藤丸立香
FGOの主人公。原作と異なりバイオハザードに遭遇して歪んでしまった逸般人の武闘派マスター。現在はいわゆる「終局特異点後」の彼女であり、とある理由からカルデアを離れてディーラー、エヴリンと共に各地のバイオハザードを止めるべく奔走している。バイオハザード7のクリス編にも介入しており、家族でもあるルーカスと決着をつけた。T-ウィルスとE型特異菌に感染した経験があるやべーやつ。
・ディーラー
商人のサーヴァント。バイオハザード4の武器商人その人。立香の相棒。デュークの「古い友人」でもある。様々な武器を使って立香をサポートする(ある意味)不死身の男。
・エヴリンR
アルターエゴのサーヴァント。「愛してもらうことにした」オリジナルとは異なる「愛してほしい」いわば「純粋」な側面のエヴリン。立香をママだと慕っている。腕をモールデッド化したり、E型特異菌由来のクリーチャーを召喚したりで戦う。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。