BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。アナザーエヴリン編も佳境となります。

今回は最終決戦幕間。イーサンを取り込んだエヴリンが向かう先は…?楽しんでいただけると幸いです。


12:Another eveline【想定外】

 イーサンがエヴリンと激闘を繰り広げていたその頃。クリス率いるハウンドウルフは、ライカンが蔓延る村の制圧をしていた。教会地下に根を張る菌根本体を守るウリアシュ・ストリージャーを撃破し先に進む彼らだったが、クリスは違和感を感じていた。

 

 

「妙だな」

 

「なにがです?隊長」

 

「ミランダがエヴリンに倒された。それはいい。だが菌根はむしろ勢いを増している。村全体は愚か城や湖、工場の地下にまで根を張っているなど、尋常じゃない。まるで菌根そのものに意思があるかのようだ」

 

「考え過ぎじゃないですか?菌の塊に意思があるなんて、ありえないですよ」

 

「いや、バイオハザードは時に理解を越えてくるものだ。用心しろ、油断はするなよ」

 

 

 身構えながら奥に進むクリスたち。胎児の様な形状の菌根本体を発見して小型爆弾を仕掛け、情報を探るべくさらに地下を進むとミランダの研究室に出て。ハウンドウルフ総がかりで資料を回収する中で、クリスは一つ気になる文書を見つけた。

 

 

「エヴリンを始末する方法…だと?」

 

 

 始まりは三年前、ベイカー邸でイーサンに倒された直後に精神体としてこの村に出現したエヴリン。エヴァの胚を提供して生まれたエヴリンはエヴァの出来損ないも同然であり、それが好き勝手に活動するのだから目障りでしかないが、菌根ネットワークを利用して顕現しているためエヴァを蘇らせる手がかりになるかもしれないと迂闊に手が出せない。

 しかし一人娘であるエヴァを思い出してしまうため早急に消し去る方法を考え、一つ思いついたのだという。それは……菌根の中にある数多の精神でエヴリンの人格を塗り潰す。菌根の端末でしかないエヴリンを消し去るにはそれで十分だと。

 

 

「…しかしエヴリンは菌根そのものとなった、ミランダの想定外だったということか。イーサン、大丈夫なのか…?」

 

「隊長!奥にミア・ウィンターズが!」

 

「どうやら幽閉されていた様です!」

 

「なんだと!?」

 

「クリス…イーサンは!?無事なの!?」

 

 

 ケイナインとナイトハウルの報告と共に助け出されたミアがクリスに掴みかかる。クリスはなんと答えるべきか迷っていたが、ミアの背後にそれが現れたことで咄嗟にミアを庇う。

 

 

「イーサンなら死んだよ」

 

「エヴリン!?そんな…なんで貴方が!?」

 

「こんにちはクリス。爆弾プレゼントありがとね。無力化したけど」

 

「クソッ、エヴ…があ!?」

 

 

 驚愕するミアを余所に、瞬時にハウンドウルフ全員を両腕を変化させた菌根の触手で打ちのめして気絶させ、クリスを突き飛ばしたエヴリンはにんまり笑ってお腹を擦る。

 

 

「久しぶり、ミア。イーサンに会いたい?なら私がそうだよ」

 

「一体何を…」

 

「だって食べちゃったもん。別にいいよね?イーサンはもう、死んでるもんねえ!」

 

 

 右腕を伸ばし、ミアの首を掴んで締め上げるエヴリン。腕を縮めてミアの顔を眼前に近づけて邪悪に嗤い、左腕を天に突き出して地面から菌根を出現させたエヴリンは地表を突き破って地上へと昇り、天高く突き出た菌根の塔の上で白けた空を見上げる。

 

 

「イーサンが死んでたこと、知ってたんだよね?でももう大丈夫、イーサンは私として生き続ける。そしたら愛してあげるよ、ママ」

 

「ふざけないで!私達の娘はローズだけよ!」

 

「ええ……じゃあローズを取り戻せば私を家族にしてくれる?」

 

「なにを…」

 

 

 そう言ってエヴリンは菌根の触手を操り石造りの聖杯を持って来て塔の中央に置くと、スカートを広げてそこからコロコロと無造作にフラスクを四つ落とすと、ミアを突き飛ばして菌根の塔屋上の外壁内側に拘束。自身の脇腹から一対のモールデッドの腕を生やすとフラスクを全て拾い上げ、聖杯に納めて行く。

 

 

「…カールも、ドナも、アンジーも、三姉妹も、ドミトレスクも、モローも、ミランダも、イーサンも。みんな食べた、殺しちゃった。ローズを一から育てて私の娘にするのもいいね?だけど、ミアは私の最初のママだ。やっぱり愛されたい。愛してよ」

 

 

 聖杯を黒カビの液体で満たして手を突っ込み、そこから元に戻ったローズを引っこ抜いて、泣き喚く赤子を優しく抱き上げるエヴリン。その視線は慈愛のそれだ。

 

 

「私はイーサンでもあるんだよ?ミアを愛する心は本物だよ?ねえ、ダメなの?私じゃ、ダメなの?」

 

「…貴方の狂気は私には耐えられない。もういい加減、私を諦めて!ローズを返して!」

 

 

 涙ながらに訴えてくるエヴリンに対し、無理やり四肢を壁から引き剥がそうと試みるミア。ミアがエヴリンのママだったのは、エヴリンを制御するためだった。制御しきれないからとママではないと言い放った。愛などなかった。それを再認識して。あまりにも自分勝手なミアに、顔が黒カビに覆われ表情が読めなくなるエヴリン。ローズを聖杯の上に置き、ミアに歩み寄って行く。

 

 

「じゃあもういいよ。私を愛してくれないママなんていらない。せめて私を満たして」

 

 

 ミアの眼前まで迫るとカビに覆われた顔がモールデッドの物となり、大きく口を裂ける程に開いてミアに齧り付かんとする。観念したミアが目を瞑ったその瞬間、エヴリンの顔が吹き飛んだ。

 

 

「アギャ…!?」

 

「なんとか、間に合ったか…!」

 

 

 それは、いつの間にか菌根の塔をよじ登ってきたクリスの手にしたハンドガンによるものだった。顔半分が吹き飛んだエヴリンは下顎だけの頭部をクリスに向けると瞬く間に再生。血肉とカビで形成されていくその様にクリスとミアは顔を歪める。

 

 

「何しに来たの?家族水入らずだったのに」

 

「…イーサンを取り込んだと言ったな。イーサン!お前の覚悟は、その程度か!」

 

 

 ハンドガンを撃ちながら突進するクリスだがしかし、エヴリンは自身の身体を複数の蟲に変貌させて弾丸をいなしてクリスも取り込もうと再び顔を黒く染めて大口を開けるも、追い付いてきたハウンドウルフの銃撃を受けて実体を崩され、さらにそちらに気を取られたところをクリスの投げた閃光手榴弾をまともに受けて悲鳴と共にその形状が歪み、形の安定しないスライムの様な形状となったエヴリンを余所にクリスはミアに駆け寄り、カランビットナイフで拘束を解いた。

 

 

「クアアァアアア!?…やったなあ!」

 

「があっ!?」

 

 

 なんとか少女の形を取り戻したエヴリンは外壁内側から触手を伸ばしてクリスを殴打、突き飛ばしてさらにクリスが転がった床からの触手を伸ばして空中に打ち上げ、タワーを上を向いた巨大な怪魚モローの形状に変貌させ、全員飲み込まんとする。ちゃっかりとローズだけ自分の手元に引き寄せている。

 

 

「外壁だ!撃ちまくれー!」

 

 

 天高く突き上げられたクリスだったが、即座に一緒に飲み込まれんとするハウンドウルフに指示して外壁をアサルトライフルで攻撃。外壁を破壊し、巨大モローに変貌した塔の根元を崩してそこから逃げ出し、菌根の塔は崩れて行く。しかしミアの姿は見えず、崩れた塔の中から気絶したミアを引き摺りローズを抱えたエヴリンが出てきて咄嗟に銃を構えるが引き金を引けなかった。

 

 

「撃たないでよね。私もローズを失いたくない。ミアはどうでもいいけど、これも大事な餌だから死なれるのは困る。お願いだから、私を追いかけてくるな」

 

「B.O.W.を逃がすわけには行かない。…なあイーサン。お前はこれで終わる男なのか?」

 

「いくら呼びかけても無駄だよ。イーサンの意思はもう、………あれ?なんで……完全に取り込んだはずなのに、うええっ…」

 

 

 突如、吐き気を催したかと思うと、少女の体に収まっていたとは思えない量の黒い液状のカビを吐瀉するエヴリン。理解が及ばないのか目を白黒させているエヴリンだったが、吐き出された黒カビは徐々に膨張し、エヴリンの身長を優に超える人型を形成していくと、見覚えのある姿を形作り、拳を握る。

 

 

「イーサン、なん、で…がああああ!?」

 

 

 そして顔面ストレート。吹き飛ばされたエヴリンはローズとミアを手放し、その人物…イーサン・ウィンターズは投げ出されたローズを両手で受け止めた。投げ出された勢いで目を覚ましたミアも目の前のイーサンに目を丸くする。

 

 

「イーサン!なんで…?」

 

「ローズを取り戻すと俺は誓った。あんなところで死ねない。…無事でよかった、ミア」

 

「イーサン!まさか呼びかけに本当に答えるとはな!」

 

「ああ、クリス。お前の声も聞こえたよ。おかげで帰ってこれた」

 

「あ゛り゛え゛な゛い゛!」

 

 

 顔面の穴という穴から血の様な黒カビを垂れ流し、憤怒の声を上げるエヴリン。全てが理解できなかった。

 

 

「私の中に取り込んだのに、肉片にされたのに、精神世界であの事実を打ち明けたのに!なんで自我を保ってられる!?なんで、私に攻撃が通じる!?どうやって私から分離した!?ありえない、ありえない、ありえない!私は最強になったのに、なんで!?」

 

「何でってお前が精神世界で教えてくれただろ。俺はもう死んでいて、カビの塊になっていたんだって」

 

「それがなんだって……まさか!?」

 

「同じカビだ。自我さえ確立していられれば、隙を突いて実体化できるってな!俺もお前と同類だったってことさ。おかげで五体満足で復活だ。村の戦いで負った傷も治った」

 

 

 そう言って元に戻った左指で拳を握り、ローズをミアに預けるイーサン。そしてそのまま両腕を黒く染めてブレード・モールデッドの様に変形させると構えた。

 

 

「行くぞクリス。こいつを倒して、この村から脱出する!」

 

「奴は意識を持った菌根の怪物だ。不死身のエヴリンを倒す方法はあるのか?爆弾も無効化されて俺達に打つ手はないが」

 

「一つだけある。援護してくれ!」

 

「ふざけるなふざけるなふざけるなぁあああああああ!」

 

 

 菌根を波として操り自身をも飲み込ませ、村の家屋や残骸すら取り込んで肥大化していくエヴリンに、イーサンとクリスは共に駆け出した。




ミアとローズのピンチにイーサン復活。カビの肉体を持っていたが故の起死回生。完全回復した上に本編みたく変形能力も得ました。

原作や本編で菌根を死滅させた爆弾すら無力化してしまうエヴリン。さらに村すら取り込んでいく怪物にイーサンとクリスは勝てるのか。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

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  • バイオハザード7版幻影エヴリン
  • 端折ったドミトレスク城のサンカ戦
  • FGO/TADと本編コンビのコラボ
  • 寄り道するIFルート本編コンビ
  • 幻影とオリジナルが融合しないミランダ戦
  • 上記全部
  • 上記のコラボ以外全部
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