BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。今回でアナザーエヴリン編完結です。

菌根の本体…ミランダ曰く「黒き神(ゼウ・ヌーグル)」との決着。楽しんでいただけると幸いです。


14:Another eveline【黒き神】

 機械の怪物と化したイーサンと、その傍らに浮かぶエヴリン。驚くクリスたちハウンドウルフと、ローズを抱いたミアを余所に、空を飛んでいたヘリをも飲み込んで迫る菌根の怪物へと挑みかかる。

 

 

「覚悟しろ菌根ッ!爆弾で燃えた方がマシだと思わせてやる!」

 

『…爆弾を無力化して、本当にごめんね?』

 

私を菌根と呼ぶな!

 

 

 右腕に形成した丸鋸を叩きつけていると、呼び方が不服だと吠える菌根。菌根を絡み付かせて丸鋸を停止させひしゃげさせながら続けた。

 

 

マザー・ミランダは私を黒き神と呼んだ。故に我が名はゼウ・ヌーグルだ!

 

 

 ゼウ・ヌーグル。ルーマニア語で黒き神と名乗った菌根の巨大な拳が振り下ろされるも、丸鋸を壊された右腕を左腕と共にクレーンアームに構成し直したイーサンが両腕で受け止め、ドリルの様に手首を高速回転。菌根の拳を引きちぎり、さらに片っ端から菌根を引きちぎって掘り進んでいく。

 

 

『イーサン、下!』

 

「っ!?」

 

 

 足場にしていた地面が盛り上がり、菌根の塔の様な触手が突き出してきてイーサンを機械の外装ごと天高く突き上げる。空から見れば菌根の巨体はまるで花弁を開く様に、中心から円形に広がる津波の様に展開され、橋とその下の川すら覆って巨大な黒い大地となったその中心に、胎児の様な形の菌根本体があり、それが崩れて人型と為す。

 

 

私は神だ。私はエヴリンだ。故にエヴリンとローズを…我が巫女を捧げろ!

 

 

 それは、六枚の黒き翼を背中から生やした女だった。カラスの羽毛のような黒いローブを身に纏っているようなミランダの身体の首から上に成長したエヴリンの顔を乗っけた様な、腰まで届く長い髪を伸ばした大人のエヴリンと言っても過言の無い姿。まるで胎児から成長したようなそれ…ゼウ・ヌーグルは両手を掲げ、上空のイーサンを見上げて周囲の菌根の大地から触手を伸ばしていく。

 

 

『私の顔をパクんな自我もない癖に!?』

 

「っ…ジェット・ゾルダート!」

 

 

 空中で身動きが取れないイーサンは、ハイゼンベルクから引き継いだゾルダートの指揮権を使って工場からジェット・ゾルダートを四体引っ張り出して自身の鋼鉄の外装に合体。ジェットで空を飛びドリルを爪の様に二本ずつ両手首に展開した姿となると触手を回避してドリルクローで斬り裂き、急降下。本体であろうゼウ・ヌーグル人間態にドリルクローを突き刺さんとする。

 

 

鋼如きで我が体は貫けん

 

「ちい!」

 

 

 しかし守るように展開された菌根の壁で阻まれたばかりかドリルクローがぽっきりと折れてしまい、たまらず鋼の拳で殴りつけて空中に退避。見れば、クリスたちも菌根の波が近づかないようにするだけで精一杯の様だった。

 

 

豊富な生贄を喰らったことで我が肉体に際限は無い!大人しく飲まれろ!

 

 

 文字通り全てを飲み込まんとする強欲な菌根の怪物、ゼウ・ヌーグルの猛攻を、空を飛んで避けようとするも鋼鉄の外装を削られながら、再形成した丸鋸とチェーンソーで液状の触手として襲ってくる菌根を斬り払うもじり貧に追い込まれるイーサン。

 

 

『私が、みんなを食べたからあんなに力を……うぇえっ、うええええええ…』

 

「っ!…吐けなくても好きなだけえづいとけ。…家族だと思っていた連中を自分の手で食したショックはでかいだろう」

 

 

 傍らに浮かび吐こうにも吐けず涙目でえづくエヴリンのことも気にかけながら応戦するイーサン。菌根の中で観た「記憶」によってかつての憎悪など消え失せた。無垢でちょっと悪ぶった少女として平穏でバイオレンスな日常を送った三年間と、その末路を見たことで情が湧いたのだ。

 

 

「俺はお前を許すことはできない、が。あんな奴に滅茶苦茶にされるのは間違ってるだろ」

 

『イーサン…』

 

「お前の代わりに、俺がお前の家族の仇を取ってやる」

 

 

 そう言ったイーサンの両手に、ジャンクが集って二つの巨大なドリルを形作る。向かう先は、防壁を作り次々と触手を伸ばしてくるゼウ・ヌーグル本体である人間態だ。

 

 

「なにより……ローズに手を出させるか!」

 

 

 そして巨大ドリルを回転して急降下。ドーム状に防壁を作ったゼウ・ヌーグルに叩き込み、触手による妨害を撒き散らしながら罅を入れた。罅の隙間から入り込む朝日に信じられないと言う表情をするゼウ・ヌーグル。

 

 

馬鹿な!?我が肉体を貫くだと!?

 

「どんなに硬かろうが一点に集中して熱して削り続けりゃあ壊れる!そして罅さえはいりゃあ!」

 

 

 そう言ったイーサンの外装が変形し、巨大なタービンとなり回転して竜巻を形成。ドリルで削られ、空中に舞った菌根がタービンに吸い込まれて粉微塵と化していく。それだけで自分の末路を幻視したのだろうゼウ・ヌーグルは翼を広げて逃げ出そうとするも、咄嗟に外装の一部を剥がしてマグナムを手にしたイーサンの六連射で翼をもがれ、叩き落されたゼウ・ヌーグル本体も竜巻で巻き上げる。

 

 

や、やめろ!わ、私の中の記憶が!私を形成する物が、壊される…!?

 

「そいつはいい。さっさとくたばれ、カビ野郎!」

 

あああ、エヴリン!私を助けろ!

 

 

 さすがは本体とでもいうべきなのか、タービンの回転にも肉体の硬度で耐えるゼウ・ヌーグルだったが、エヴリンに助命を求めてきた。これにはエヴリンも怒る。

 

 

『ふざけんな!私にベイラ達を食べさせて、イーサンへの恐怖を散々煽って独りにして!』

 

それは力を得るためだ!お前が求めたことだ!そうだろう?

 

『あんな方法で力なんか欲しくなかったよ!』

 

私に身を委ねればよかったのだ!あああ、やめろ、止めてくれ。消えたくない…

 

『ベイラ達だって消えたくなかったのに、お前だけ消えたくないとかふざけるな!』

 

 

 ブチ切れるエヴリンに対し、足掻くゼウ・ヌーグル。ついにはタービンを力づくで止めて抜け出し、翼を広げて空に舞い上がる。夜が明け、太陽が輝く中で大空を舞うゼウ・ヌーグルが狙うのは工場に逃げ込んだミアの抱えるローズだ。

 

 

「行かせるな!」

 

邪魔だ!

 

 

 クリスたちハウンドウルフが入り口で立ちはだかるが、少ししか阻めずゼウ・ヌーグルが手を翳して操った菌根の波を防ぐことに費やされる中。飛び込もうとしていたイーサンを視線で止めたクリスがスイッチを取りだし、ミアが予め教えていた裏口から出てきたことを確認するとスイッチを起動するクリス。

 

 

「引っかかったな、吹っ飛べ!」

 

「そうか、言っていた爆弾か!」

 

 

 すると工場が大爆発を起こして爆散。しかし村ごと菌根を爆発させる予定だったN2爆弾よりも小規模なものだったためか、焼け跡から翼を閉じた状態から開いて無傷の姿で現れるゼウ・ヌーグル。確かに倒したと確信していただけにどよめくハウンドウルフ。

 

 

私は不死身だぁああ!

 

「くそっ、化け物め!」

 

 

 アサルトライフルを手に突撃するしかないクリスたちを余所に、一度地上に降りたイーサンは思案する。

 

 

「クリスの爆弾も、タービンで粉々に粉砕するってハイゼンベルクの考えていた作戦は駄目か…」

 

『カールの作戦だったんだ…あ、そう言えば対ミランダ用の兵器として作ってたシュツルムは?あれなら…』

 

「いや、そいつは俺がぶっ壊して…………そうか、アレだ!」

 

 

 なにかを思いついたイーサンは先刻に力づくで破壊されたタービンを高速回転始めながら突撃。クリスとハウンドウルフが慌てて横に退き、ミアが驚愕する中でゼウ・ヌーグルに組みつくも翼が変形した蜘蛛足で何度も突き刺されて血反吐を吐くイーサン。しかしゼウ・ヌーグルを決して離さず、回転するタービンが熱暴走を起こして燃え始める。

 

 

「カビは炎に弱いんだってなあ…この距離なら防御もできないだろ!」

 

き、貴様……!?

 

「ご愁傷様!」

 

ぎ、ギャアアァアアアアアア!?

 

 

 熱暴走を起こしたタービンが火炎放射を放ち、それを真面に受けたゼウ・ヌーグルは炎上。苦しみ悶えて菌根の大地に崩れ落ち、火は燃え移って大炎上を引き起こした。

 

 

「イーサン、無事か!」

 

「なんとか…」

 

 

 力が消えたのか崩れたガラクタの中から血塗れのイーサンを引っ張り出し、ミアとハウンドウルフを引き連れて燃える工場敷地から脱出を試みるクリス。炎の壁を抜け、橋を渡って祭祀場に抜けて村の外れに待機していたヘリに乗り込み、空に逃れる。

 

 

『イーサン、ありがとう…私は、これからどうすればいいんだろう…』

 

 

 それを見届けたエヴリンは空の彼方に消えて行くのだった。




・黒き神《ゼウ・ヌーグル》
ルーマニア語で黒き神を意味する真正の怪物。ミランダを介した信仰と、取り込み続けた「記憶」で菌根の中に生まれた自我を持たない神格。エヴリンをガワとして己が人格に仕立て上げた。意思こそあるがエヴリンが離れた後の人格はミランダを元に演じているもので本質は空虚。故に全てを飲み込まんとした。本体は身体がミランダの大人エヴリンという、ある意味エヴァが成長した姿ともいえる悪趣味な姿。しかし菌根であるが故に、炎には勝てなかった。

そんなわけで完結です。イーサンに付きまとった本編と違い、自分から離れて一人になることを選んだエヴリン。ゼウ・ヌーグルに唆されていたとはいえ悪逆に生きた末路という形にしています。

次回はとりあえず、アンケートは「上記全部」が多いみたいなので投票数が少ない話から書いて行こうかなと思ってます。つまりまずは端折ったサンカ戦ですね。バイオハザード7とコラボは長くなりそうなのでそれは後からになるかな?

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

どんな番外編がご所望?

  • バイオハザード7版幻影エヴリン
  • 端折ったドミトレスク城のサンカ戦
  • FGO/TADと本編コンビのコラボ
  • 寄り道するIFルート本編コンビ
  • 幻影とオリジナルが融合しないミランダ戦
  • 上記全部
  • 上記のコラボ以外全部
  • その他(メッセージからどうぞ)
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