BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はアンケートに基づき、本編のダニエラカサンドラ戦とドミトレスク戦の間にあった出来事となります。つまり久しぶりのイーサンとエヴリンのワチャワチャとなります。楽しんでいただけると幸いです。
第十四.五話‐Challenge snipe【空の脅威】‐
二つの仮面を手に入れ、武器庫で仕掛けを解いて三つ目の仮面の仕掛けを解いた矢先に出くわしたドミトレスクとの追いかけっこから逃げのびてとある部屋に逃げ込んだ俺とエヴリン。そこは、大きなドミトレスクの肖像画が飾られ多くの美術品が鎮座した部屋だった。
「行き止まりか…?」
『クソデカオバサン怖い怖い怖い怖い…』
謎にあるちょっとした階段の下に積まれた美術品の陰に二人で隠れる。ここに逃げたのは見えたはずだ。息を潜めていると一分もしないうちに扉が開き、頭を屈めて例の巨体が顔を覗かせる。
「あの忌々しいドブネズミ共め……隠れても無駄よ!よくも私の娘たちを……!」
中央まで歩き、そこにあったイーゼルと絵画を荒々しく蹴り飛ばし、その残骸が目の前まで転がって来て心底震える。隣で悲鳴を上げそうだったエヴリンに指一本で口を制して止める。モールデッド化をもってしてもこいつには勝てないのだ、勝てる方法を見つけるまでは戦っちゃ駄目だ。
「…ふん、あの臆病な餓鬼の声も聞こえないってことはいないようね」
『!』
「(シーッ。落ち着けどうどう)」
「どこで撒かれたのか…次見つけたら串刺しにしてミイラにしてやる…!」
そう言って頭を屈めて出て行くドミトレスク。念のために五分ほどなにか物申そうと無言で暴れていたエヴリンをジェスチャーで宥めて待ってから隠れていた美術品の裏から出てくる。
「危なかった…」
『誰が臆病な餓鬼だクソデカオバサンの癖に!…でもどうするの?外にいるよねこれ』
「いや、なんかあるはずだ。頼むエヴリン」
『ほいきた』
片っ端から壁に顔を突っ込んでいくエヴリンを尻目に、何か手がかりがないかと探していると、さっきドミトレスクが蹴り飛ばした絵画にくっついた一枚のメモが目に入る。
「この部屋で五つの鐘を鳴らせ…?」
『え、なんて?』
ドミトレスクの肖像画に顔を突っ込もうとして躊躇していたエヴリンが反応して見に来たのでメモを突きつけてやる。その間に見渡してみれば、さっき隠れた美術品の山の前にある机に鐘が一つあった。
『ふーん…例の謎仕掛けかな?』
「だろうな。なんで鐘を鳴らすだけで仕掛けが動くんだ…?」
とりあえずナイフで叩いてみるといい音がして上に炎が灯った。…って不味い!迂闊によく響く音を鳴らしてしまった。奴が来る!
「エヴリン、どこか、どこか逃げ道は!」
『え!?いきなりそう言われても……えーと、えーと、まだ見てないのはそこの肖像画の向こうだけど!』
「仕掛けを解いてる時間ももったいない!突っ込むぞ、腕!」
『人使いが荒いなもう!やるけどさ!』
廊下から奴の足音が響いてくる。エヴリンにモールデッド化してもらった右腕を振りかぶって肖像画のドミトレスクの顔面に叩き付け、粉砕。肖像画の向こう側にあった隠し部屋に飛び込んだ。エヴリンと顔を見合わせると同時に扉の開く音。奴はすぐ異変に気付いたのかこちらまで歩いてきて。肖像画が鋭い爪で斬り裂かれるのと同時に、俺達は奥の壁に開いた穴に飛び込み、そこにあった梯子を上って上に逃げるのだった。
「はあ、はあ、死ぬかと思った……」
『右手を斬り裂かれてもピンピンしている人が何言ってるのさ…』
屋根裏部屋に辿り着き、全力で駆け上った疲れから一息吐いていると奴の怒号が下から聞こえてきて思わず震え上がる。さ、さすがにここまで来ないよな?
「とりあえず最後の仮面と奴を倒す手段を見つけるぞ。あの再生能力をどうにかしないと勝てるもんも勝てん」
『いやー、高所から突き落とすしかなくない?』
「どうやってだ。あの巨体、不意打ちでようやく殴り飛ばせたんだぞ」
『今思うと殴り飛ばせた時点で凄いね』
「それな」
とりあえず屋根裏部屋を探索。宝の地図を見かけたが取りに行く時間もないので無視、モロアイカが倒れていたので起き上がる前に頭を踏み潰し、物色しているとそれを見つける。
『しかの…たんけん、かな?』
「しばなかもしれないぞ」
古今東西の毒が塗られた「死花の短剣」なる中世の品がこの城のどこかにあるという文書。怪物殺しに用いたというそれなら、不死身の吸血鬼そのものと言っていいあのドミトレスクを倒せるかもしれない。
「もしかしてさっきの宝の地図か…?」
『でも裏面に書いてた内容と食い違わない?』
「一応見に行く必要はあるな」
『あ、これって?イーサン、こっちこっち!』
「見つけたのか?」
壁を擦り抜けたエヴリンが何かを見つけた様なので奥まで進むと、そこにはスナイパーライフルが椅子に立てかけてあった。なんでこんなところに?クリスに使い方は教えられていたので手に取り、銃弾を確認する。
『イーサンがそれ持ってるのってすごい違和感だね』
「そうか?」
『だってベイカー家でスナイパーライフルなんて持ってなかったじゃん』
「お前、民家にこんなのがあってたまるか。いや、ジャックは元海軍だったらしいからありそうだけどさ」
グレネードランチャーもルーカスのお手製だったしなあ。よし、とりあえず使えそうだな。
「他にはもうなさそうだな。この先は…」
『外みたいだね。なんか久々だ!』
屋根裏部屋の奥から外に出る。すると真っ白い空を何かが複数飛び立っていった。鳥かなにかか?
『いやー、鳥には見えなかったけど……一応確認してくるね』
そう言ってひとっ飛び、飛んで行った何かの近くに浮かぶエヴリン。遠くからでもギョッとしたのが伝わってきた。顔を青ざめて戻ってくるエヴリン。なんかやばいのを見たな?
『いいいい、イーササササン!』
「落ち着けどうした何を見た?」
『あれあれあれ!鳥じゃない!えーと、黙れ小僧!のモロじゃなくて…えーと、ほら、イングリドのなれの果て!』
「モロアイカのことか?」
『そう、モロアイカ!翼が生えたモロアイカだよアレ!滅茶苦茶キモかった!』
「じゃあ試し撃ちするか」
『冷静だね!?』
自分より慌ててる奴がいると冷静になるアレだ。クリスに教えられたとおりに………次会ったらアイツのドタマをブチ抜いてやる………スコープを覗き、照準を定めて引き金を引く。放たれた弾丸は寸分違わず翼の生えたモロアイカ一体の頭部を撃ち抜き撃墜した。
『おおー、ヘッドショット。訓練の成果だねえ』
「落ち着いて狙えばこれぐらいなんてことないな」
『ところでイーサン?』
「なんだ?」
『今の銃声でこっちにめっちゃ来たんだけど』
「………すぅー」
ちょっとした雲にも見える群れがバサバサ飛んできて、思わずひたすら撃ちながら深呼吸。二、三体は落とせたがまだまだいる。エヴリンと顔を見合わせ、引きつった笑みを浮かべる。
『下手じゃない鉄砲数撃てば百中だよ!撃て撃てイーサン!』
「いや無理言うな。連射効かないんだぞ。…でも捜してないのこの先だけなんだよなあ」
『今だ、突っ込めイノシシ!』
「未来を掴めそうなセリフだな!」
強行突破しかない。頷いたエヴリンが右腕をモールデッド化してくれて、握ったライフルを棍棒代わりに飛びかかってきたモロアイカをぶん殴ってホームラン。そのまま足場を伝って突き進む。途中でエレベーターを見かけたがどうせ下の玄関付近に繋がってるんだろう無視だ無視!
「日本のことわざで…猪突猛進、だったな!」
斜めの屋根を駆け上り、モロアイカの大群を文字通り薙ぎ払っていく。頂上までつくとジップラインがあり、それに掴まると高速で滑り降りて群れから離脱。先にあった憤怒の仮面を拾い、梯子を下ろしてそこにあったエレベーターに乗り込み、突撃してきたモロアイカが鉄格子に激突して伸びる光景を尻目に下降。ようやく一息ついた。
「つ、疲れた…」
『どつかれさん』
そしてエレベーターが一階まで降りて、玄関に出た瞬間だった。扉を開けて背を屈めて出てきた奴と目が合った。ジャキン!と爪が擦り合わされ嫌な音が響く。
「やっぱりここに来たわね…!」
『出たあああああああ!?』
「あ、失礼しました」
その後、全力でエレベーターで上まで戻って翼の生えたモロアイカの群れの相手をしつつ数刻かけてエヴリンに奴がいないことを確認してもらったうえで改めて降りた。心底ビビった。その後、ドミトレスクと決着をつけることになるのだが…それはまた別の話だ。
ゲームではなく現実なので翼の生えたモロアイカことサンカは群れで襲ってくるし、普通にクソデカオバサンが美術室に入ってきます。どこに逃げたかばれたら先回りされるのも自明の理よね。
このあとドミトレスクに追いかけられながら一応宝の地図の場所に行ったりしますがそこは割愛。ドミトレスク戦に続きます。
次回はWエヴリンを連れたイーサンVSミランダ最終決戦、かな?次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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バイオハザード7版幻影エヴリン
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端折ったドミトレスク城のサンカ戦
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寄り道するIFルート本編コンビ
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