BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回は探索再び。少しだけ核心を突いてみる。楽しんでいただけると幸いです。
「くそっ、さっきの爆発でスイッチがイカれたみたいだな。どうやって出れば……」
炎上する車の傍で途方に暮れる。出口が塞がれ脱出不可能。傍に転がってるジャックの死体とさっきから様子がおかしいエヴリンがいるから寂しくないが…ジャックの死体と心中とか嫌だぞ!?
『扉を破れそうなものを探してみれば?』
「そうだな…」
エヴリンに言われて棚を漁ることにする。保安官補佐のハンドガンと口径があってるハンドガンの弾に、ハーブと薬液が出てきた。とりあえずクラフトしたが、なんだ?この回復薬はこの家ではお手軽に作れる秘伝の薬みたいな扱いなのか?しかしゾイの言ってた扉を開けるためのアイテムとやらが見当たらないな。そんなへんてこな物ならすぐわかると思ったが。
「ガレージなら掘削ドリルとかないのか……」
『え。逆に聞くけどイーサンの家のガレージには掘削ドリルあるの?天元突破しちゃうの?』
「いや、ないな」
『この家が変人だらけだからってあると決めつけるのはやめよう?』
思いのほか正論を言われてぐうの音も出ない。だめだ、ここを訪れてからなんか思考がバグってる気がする。
『とりあえず別の抜け道がないか探してくるね』
「頼んだ」
ふわーっと浮かんでスススッと横にスライドしてガレージの扉を擦り抜けて行くエヴリン。なんか妙に慣れてるな。幽霊生活長いのか?
『私がエヴリンだ、なんて』
「おわっ、びっくりした」
暇だったのでポケットナイフをクルクル回して手に馴染ませながら少し待っていると、上からヒューッ、ストッと目の前にスーパーヒーロー着地してきたエヴリンにビビって仰け反る。アイアンマンのファンなのか?
「なにか見つけたのか?」
『ん』
俺の問いかけに何も言わずに上を指差すエヴリン。そこを向いてみると、梯子が天井から吊り下げてかけてあった。上は盲点だったな。
「だがこれじゃあ手が届かないぞ…」
『その手にあるものはなに?それとも節穴なの?』
「誰が節穴だ…って、ああ」
言われて手にしたハンドガンを上に向けて発砲。留め金に当てて梯子を下ろすとハンドガンを腰に挟んで昇って行く。
『この先に、ガレージの入り口に続く穴があるよ』
「お前本当に便利だな」
『まあ慣れてるし。クソデカオバサンみたいな奴もいないから楽勝だよ』
「クソデカオバサン?…あのマーガレットって奴そんなにデカかったか?」
『あ、いや、こっちの話。あ、これじゃない?』
そう言ってエヴリンが指差したのは首のない金の馬の彫刻?が付けられた写真立て。手に取って裏を見てみるとネジで固定されていた。半獣のプレートとでも呼ぶか、を手に入れた。写真立てが飾られていた、壁代わりにされていた棚をどかして、飛び降りるとエヴリンの言ってた通りガレージの入り口に降り立った。
「よっと」
『アシクビヲクジキマシター?』
「いや、これぐらいの高さなら……なんかのネタか?」
『元ネタは私も知らない。でも普通、システムエンジニアみたいな陰キャはこの高さを飛び降りたら足をくじくと思うよ?』
「ほっとけ」
エヴリンに悪態を吐きながら、ジャックのいなくなった廊下を歩く。まだマーガレットとルーカスが残っているが、あいつらならワンチャン組み伏せることはできるはずだから恐れるに足らずだ。
「この先がホールか。…よく見たら、半獣のプレートと合わせてケンタウロスなんだな」
『あんなところに保管してたけどどうやって移動してるんだろうね?』
「お前は知らないのか?」
『見たことないからね』
「ここにずっと住んでいる地縛霊なのにか?」
『じばっ!?誰が地縛霊じゃい!』
「地縛霊じゃないならなんでここから離れないんだよ」
『ぐっ…』
半獣のプレートをはめこみ妙にこっているカラクリが動くのを確認しながら問いかけると、言いよどむエヴリン。…言えないこと、か。
『えっと、わたしは…実は、ね?』
「もういいさ。お前は俺の味方なんだろ?」
『え?うん、それは間違いない!この私は、イーサンの味方だよ!それは信じて!』
「なら問題ない。無理に話す必要はないさ」
『イーサン……やっぱり、ヒーローみたいな人だね』
「俺はヒーローって柄じゃないさ。…妻にも手をかけた夫の風上にも置けない男だ」
『そんなことは…!』
エヴリンがなにか反論しようとすると、ちょうど扉が開き終って中の様子が見える。エヴリンと視線を合わせて頷き、無言で咄嗟に銃を構えながらおそるおそる入る。静かだ。誰もいない。そして凄まじく広い。これは手がかりを調べるのは大変そうだ。
「うん?なんだこの趣味の悪いおもちゃ…僕を撃ってよ!だ…?」
『あ、それ私の飾った奴。……趣味悪いかな?』
「い、いや独特なセンスだと思うぞ?」
『無理にフォローしなくてもいいよ…』
置いてあった不気味な人形は生前(?)のエヴリンが置いた物らしく、ズーンと分かりやすく項垂れているエヴリンを引き連れて玄関らしき扉に向かう。しかし鍵がかかっていて、見てみれば半獣のプレートみたいにケルベロスの彫刻の頭部部分がなくなっていた。
「おいおい、まさか今度は三つの首を揃えろって…?」
『そうみたい?趣味悪いね、不便そう』
「まったくだな」
すると玄関扉の傍の机に置かれた電話が鳴り響く。マーガレットたちに悟られたくないために素早く手に取り耳に当てる。興味あるのかエヴリンも反対側に浮かんで聞き耳を立て、聞こえてきたのはゾイの声だった。
≪「父さんに虐められた?」≫
「父親なのか?」
受話器の向こう側のゾイに問いかけながらもエヴリンの顔を見るとコクコクと頷いていた。知ってたなら教えろよな。知ったところでだが。
≪「昔はね。今は親でもなんでもない」≫
「…残念だが、奴はもう死んだ」
ゾイの声から寂しさを感じて、思わず謝る。こんなことを言っているがまだ情はあるのだろう。すると聞こえてきたのは予想外の笑い声。
≪「ふふっ、あんたならできるかもね」≫
「え?何のことだ?アイツは確かに、火花の滝に飲まして、スコップで首を折って、車で何度も轢いて、鉄骨で頭を潰して、爆発に吹っ飛ばされて、炎上して、頭部を撃ち抜いて、やっと死んだはずだぞ?」
『うわあ』
≪「………あんた、思ってたよりたくましいね」≫
とりあえず父親の最期を伝えてやらないのも酷だろうと思い包み隠さず全部話したらエヴリンにはドン引きした顔をされ、ゾイの声もなんか遠のいてた。解せぬ。
≪「……まあいいや。やってもらいたいことがあるんだけど今は話せない。鍵がいるかもしれないけど、とにかくこの屋敷から出て」≫
「鍵ってこのあからさまになくなっているケルベロスの首のことか?」
≪「……ごめん、その家、トレヴァーとかいう変人建築家に父さんが改造してもらったらしくて……変な仕掛けがあるから気を付けて」≫
「お、おう。わかった、なんとかしてみる」
≪「また連絡するね」≫
そう言って電話を切るゾイ。エヴリンも言ってたな、変な仕掛けについて。そんな意を込めてエヴリンを見るとなんか照れだした。何なんだお前。
『な、なに?私が可愛いことに今更気付いた?』
「いや可愛いのは認めるがそうじゃなくて仕掛けの話だ」
『か、かわわっ!?え、あ、うん。こっち』
プシューと真っ赤な顔から湯気を出しながらふわふわと浮かんで案内してくれるエヴリン。ホールの一角に、謎としか言いようがない仕掛けがあった。
「なんだ、この…なに?」
『本当になんなんだろうね』
呆れた声を出すエヴリンに同意するしかない。ライトに照らされた、何の変哲もない台。だがよく見れば光で影ができないように綿密な調整がされた透明なアクリルの台がなにかを置け、と言わんばかりに設置してあった。ライトが照らされる方を見ると、何故かそこだけ白抜きされている翼を広げて舞い上がる鷹の絵が飾ってあった。
「この仕掛けもよくわからんがなんだこの絵。特注か?」
『影ができない様に調整されているの無駄なこだわりを感じる…』
「で、これなにをすればいいんだ?」
『前も言ったけど、影絵』
「なんて?」
『シャドウアート。か・げ・え』
「マジかよ」
わかった、理解したら駄目な奴だな、うん。
エヴリン(悪の親玉)とゾイ(耐え抜いてきた者)さえドン引きさせるイーサンの暴れっぷり。この男実は歴代でトップクラスに常識が欠如してると思ってます。一番の常識人?ベロニカのスティーブ一択。
ちゃくちゃくと口を滑らせるエヴリン。相変わらずポンコツですこの子。
ベイカー邸って冷静になったら理解不能なギミックが多いよね。さすがトレヴァーさん。リサ・トレヴァーもエヴリンと同じくらい救いたい女の子の一人です。というか救いたいキャラが多すぎる。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。