BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
~前回のとあるシーンのエヴリン~
「また死んだ!もう!私のばかばかばかばか!また辿らないと!」(海上全力移動中)
『あ、これ。蠍だよ!』
「なんだって?」
探索をしているとエヴリンがなにか見つけたらしく、言われて机の上に乗せられたそれを手に取る。確かに蠍が模られている。これでホールとも行き来できるようになったか。あと二階の娯楽室から祖母の部屋にもいけるか?
『鍵を二つも手に入れて順調だね』
「…一度奥を調べてから二階に戻るか」
その部屋の奥まで進むも蛇の彫刻が模られた扉が施錠されていたので引き返し、開錠しておいたショートカットの扉から一階への階段を上り、蠍の鍵を使ってホールに出ると、そこにはジャックが棘付きローラーを手に待ち構えていた。
「そこにいたか!元気だったか?!」
「ああ、元気だよ!」
咄嗟に何も握ってない右手を振りかぶりストレートパンチ。虚を突かれたらしいジャックはもろに顔面に受けて殴り飛ばされ転倒する。
「よし!今だ!」
『これでシステムエンジニア名乗るんだ…』
「テレビだって叩けば直る、即ちシステムエンジニアは物理も強い!Q.E.D.だ!」
『違うと思うなあ!』
エヴリンのツッコミを背に受けながらホールの階段を駆け上がり二階の廊下に出て娯楽室に急ぐ。
「はははっ、やってくれるなイーサン!よくこう言うだろ?家族になれば死ぬまで一緒だとな!」
「死んでもごめんだ!?」
すぐ復活したらしいジャックがなにやらほざいているが無視して壊された扉から娯楽室に入る。散乱している扉や椅子、テレビの残骸で足の踏み場が少ない。
「散らかってるな…掃除ぐらいしろよ」
『散らかしたのイーサンだけどね』
「そうだった」
ここでジャックに反撃しまくったんだった。衝撃的なことがあったせいですっかり頭から抜け落ちていた。……なにがあったんだっけ?首を傾げながら蠍の鍵を使い祖母の部屋に入る。
「ここがあの老婆の部屋…なのか?」
『祖母ってあの人しかいないしねー。…ふふっ、いい気味』
「なんか言ったか?」
『なにもー?』
入るなり見つけたのは壊れたショットガン。…ふむ。ちょうどいい長さだな。
『何でスイングしてるの?』
「よーし」
『イーサンのよーしは大体嫌な予感しかしないんだけど!?』
壊れたショットガンをリュックに入れて、エヴリンを無視しながら部屋を漁ると何故かベッドの上にショットガンの弾、棚の引き出しに下だけの埃を被った入れ歯を見つけた。…無言でポケットに入れる。
『なにをしたいのかもう想像つくけどやめたげてよ!?』
「知ってるか?歯ってのは人体で最も硬い部位で、物を噛み切るための前歯または門歯、とくに硬い物を噛み切るための糸切り歯または犬歯、噛み切ったものを磨り潰すための奥歯または臼歯の3種類に分類されていて、表面は非常に硬い白いエナメル質で、内部は歯の全体を支える象牙質と歯を組織に固定するセメント質で構成されている。弱点は「酸」だが逆に言えば酸以外のものは通用しない、ダイヤモンドでなければ削れないくらい硬い組織であり、ちゃんと歯磨きし続ければとんでもない硬さを発揮するんだ」
『詳しい説明勉強になるけどそれ入れ歯だからね!?』
「似た様なもんだろ」
そのまま机の上のメモを読んでみる。ジャックがすぐにでも来るかもしれない、時間がないから早足だ。
「【もう中庭を何時間も追い回すのは御免だ。次から、客が逃げた時は犬のレリーフを隠して本館から出すな。隠す場所も決めておく。リビングルームの振り子時計、娯楽室の本、地下の解体室だ】…俺はエヴリンから教えてもらったがここでわかったのか」
『これで大幅ショートカットだ!』
「誰の真似だ?」
『イーサンだよ』
「??? 俺がそんなこと言うわけないだろ」
エヴリンに首を傾げながら別の棚も調べると、またメモが出てきた。これは…?
「【ミセス・ベイカーへ】…あの老婆のことか?【お加減はいかがでしょうか?前回の来院から、長く受診されていないようですね。レントゲン撮影結果を分析したところ、頭部の影は、ある種の「真菌」…カビに似た構造でした。幻覚や幻聴とも関係があるかもしれません。もし何らかの寄生菌が原因ならすぐに除去しないと手遅れになりかねません。この手紙を読まれたらすぐ来院し精密検査を受けるよう、医師としてお勧めいたします。ダルヴェイ総合病院 クロフォード・ラング】…カビ、ねえ」
エヴリンを見る。黙ってる。やはり核心的なことらしい。モールデッドといい、カビがカギなのは確かだ。問いただそうとすると外側の扉が開く音が聞こえて咄嗟に口を押えて黙り込む。
「ほら出ておいで、大きな大きな子猫ちゃんよ。お前のネコパンチを喰らったぐらいじゃ俺はビクともせんぞ?」
「上等だ!」
『なんで出る必要があるのかなあ!?』
祖母の部屋の前まで差し掛かった時を狙って扉を開けてジャックの顔に激突させ悶絶させると外に出る。そのまま鼻を押さえているジャック目掛けて、右手に入れ歯を握って思いっきり叩き付けた。
「入れ歯パンチ!」
「グアアアアアッ!?」
『これはひどい』
投げつけた入れ歯を顔面に喰らったジャックはそのまま引っくり返り、俺は扉を閉めて蠍の鍵を手に施錠。さらにビリヤード台を腰を入れて押して扉に押し付け、そのまま踵を返して娯楽室を後にする。
「よし、今の内だ!」
『時々頭よくなるの脳筋だなあ』
廊下を駆け抜け、ホールに降りていく途中でドゴーンという爆音が轟いた。あの程度の足止めは意味をなさなかったらしい。蠍の扉を潜り抜けて地下に戻るとショートカットの扉を開けて、ついたての直前にあった扉に入ると異様な光景があった。
「なんだここ?」
『浴槽が二つ……上にもバスルームあったよね?なんのためにあるの…?』
「…まさかと思うが死体を洗うためじゃないだろうな…」
『あ、それは全然気にしてないから違うと思う』
「お前アイツらに詳しいのか詳しくないのかどっちだよ」
あーでもないこーでもないとエヴリンと二人で話し合っていると、答えが出てきた。モールデッドが二体、どこからともなく湧き出てきたのだ。
『わー!?びっくりした!』
「…なあおい」
『なに?』
「モールデッドって名前からして…あいつら、カビか?」
『そうだね』
「…それでわかった。ここ、モールデッドを生み出しやすくするために湿気らせる場所だ」
『おー、なるほど!』
ポンと手を打ち納得するエヴリン。いやモールデッドがカビだって知ってるお前は思いついてしかるべきだろう。こいつ、実はあまり他人に興味ないな?
「強行突破だ行くぞこの野郎!」
『いけいけイーサン!死ななきゃなんでもいいや!(やけくそ)』
爪を振りかぶってきた目の前のモールデッドを相手に咄嗟に構えたハンドガンの引き金を引き、目と思われる部分を吹き飛ばして怯ませるとすかさず両肩に連射。両腕がもげて転倒しじたばたともがくその頭部にナイフを突き立てて粉砕すると、他のは放っておいて奥に逃げる。解体室の鍵はあるんだ、次のボイラー室とやらも抜けて辿り着けば勝ちだ、そうだろう!?
「お前等に構っている暇はないんだよ、クソッたれ!」
『ライカンの二の舞だあ』
エヴリンがわけわからないことを言ってるので無視して、ボイラー室で群がるモールデッドを、壊れたショットガンを握りバットの様に振り抜いて殴り飛ばしていく。よし、この扉だな!奥の扉までたどり着くと解体室の鍵を開けると、部屋は棚で二つに分けられていて。向こう側に殺された保安官補佐の死体が何故か壁に吊るされているのが見えた。悪趣味な奴らめ。
『あ、あったよ最後の!』
「…!?」
目の前の棚にケルベロスのレリーフが置かれている事に気付くも、すぐに声を潜める。向こう側の扉からジャックが現れてケルベロスのレリーフを手に取ったからだ。まだこちらには気付いてない。
「……俺が父親のはずだった。だがあの子はアイツを父親にすると言いだした。それは駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ……」
「(あの子?)」
口を手で押さえながら独り言の様に、言い聞かせる様に呟き始めたその言葉に疑問を抱く。その言い方だと、まるで子供のこと…?
「奴を見つけ出して……存分に思い知らせてやる」
そう言ってレリーフを手にジャックは死体保管庫と地図に書かれた部屋への扉を開けてその場を去った。
『どうやって先回りしてるんだろうね?』
「それも気になるが……エヴリン。あの子って誰だ?」
『ゾイの事じゃない?』
「……そうか」
エヴリンが何か隠しているのは間違いないらしい。…とにかく、先に進むか。
このイーサン、脳筋である。
(多分)マーガレットの入れ歯で殴られた上に閉じ込められたジャック、ブチ切れる。次回ひとまずの決着かな?
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