BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はイーサンVSジャック第二回戦。伝説のチェーンソーデスマッチです。楽しんでいただけると幸いです。
「…なあ」
『なあに?』
死体保管庫への道を進みながら、傍らで浮かんでついて来るエヴリンに問いかける。おっ、植木鉢。持っていこう。
「保安官補佐の死体、カビに
『気のせいじゃないよ。えぐれた頭部から広がってたね』
「…ああやってモールデッドになるのか」
ああはなりたくないな。ふと、左手を見る。ホッチキスで止められただけの雑な処置。それでも動く、指の先まで。血の通いも感じる。さすがに医療従事者ではないが、この程度で治るなんておかしいのはわかる。足だってそうだ。どんなに凄い薬でもすぐ治るのはおかしい。まるで首が折れても頭を撃ちぬいても生きていたジャックの様な…。
『イーサン、ついたよ』
「っ!…なんだ、ここ……」
ショットガンの弾やハーブなどのアイテムを拾いながら死体保管庫に入ると視界に入ったのは、檻に囲まれ、中心に角材が積まれた柱が、肉袋がいくつもぶら下がって設置された異様な空間。サムライミ版スパイダーマン1で見たことある金網デスマッチのような…。
『どう考えても落とされる奴』
「いや、わかってて落とされる馬鹿はいないだろ…」
言いながら階段を上り、その空間を見下ろせる通路を進むと解体室に繋がる扉が開けっ放しであったので一応調べるべく入る。
『うわあ』
「…ひどいな」
出入り口横の壁に吊り下げられた保安官補佐の死体は黒カビに塗れ、頭の大部分は抉れて失っていた。あの戦いがあったガレージからいつのまに移動させたのだろうか、…いや、思い出してみればジャックに踏み荒らされた後いつの間にか消えていた。戦いの最中に何かに回収されたのだろうか。
「…特にめぼしい物は…薬液ぐらいか。さっきのハーブと組み合わせておこう」
『思ったより冷静だね?』
「いや?怒りが沸々と湧きあがってるさ」
今度会ったら殴るじゃすまさん。決着つけたいなら好都合だ、ボコボコにしてやる。死体保管庫に戻り、吊り下げられた肉袋をどかしながら探索していると、例の檻に囲まれた空間の真上にケルベロスのレリーフが有刺鉄線で括りつけられて吊り下げられていた。
「…明らかに罠だな」
『明らかに罠だねえ』
「後ろ、頼んだ」
『まかせて』
ケルベロスのレリーフを手に取ろうと有刺鉄線の棘が付いてない部分をつまんで上手く剥がして手に取ると、背後に気配。
『イーサン!』
「よっ!」
「がっ!?」
左手を勢いよく振り上げて握った植木鉢を叩き込みながら振り向く。そこには赤くなった鼻面を押さえてよろよろと後退している斧を握った半裸のジャックがいたので、遠慮なくショットガンをぶちかます。
「ぐおあぁああっ!?おまえ、イーサン!何度俺の鼻を曲げれば気が済む!?」
『これで三回目かな。スコップで首折った時も入れたら四回目?』
「そりゃ治らなくなるまでだ、よ!」
ショットガンをしまったリュックから壊れたショットガンを代わりに引き抜き両手で握ってフルスイング。頭部を殴りつけられたジャックはよろよろと後退するも、カッと目を見開いて吠えると、両手を振りかざして突進してきた。
「うおぉおおおおっ!」
「浅知恵ご苦労様だが、ご愁傷様!」
『これはひどい』
それに対して俺はわざと横に転倒、足を伸ばして引っ掛け、ジャックを檻の中に落下させる。そのまま壊れたショットガンをリュックに戻してショットガンを手に取り、弾込めした四発の弾丸を叩きこむ。
「ぐっ!?ごっ!?ぎっ!?げあっ!?イーサンてめえ!汚いぞ!」
「誰が馬鹿正直にデスマッチするかよ!こいつはおまけだ、もらっとけ!」
「があぁあああっ!?」
『もうやりたい放題過ぎるよぉ…』
さらに肉袋も引っこ抜いて勢いよく投げ落とし、ジャックがそれに潰されて呻いているところに傍の机も引っ張ってきて蹴り落としドンガラガッシャーンと轟音が鳴り響く。エヴリンが頭を抱えているが、ガチンコ勝負するよりこっちの方が勝機あるだろ。
「うおおおあああああああっ!」
「え」
『あ』
「ぬあぁあああああ!?」
『イーサァアアアアン!?』
しかし次の瞬間、斧で金網を掻っ捌いて取り出した鋏の様に改造されたチェーンソーのエンジンをかけて振り回し、足場の支柱を叩き折られて斜めに崩れた足場を転がり落ちて落下してしまう。血に塗れたそれは数多の人間の血を吸ってきたのは明白だった。
「さっさと腹をくくれ。お前はもう逃げられないんだ、イーサン!」
「その台詞やっと言えて満足かジャック!」
「なわけないだろうクソッたれ!」
突進してくるジャックに、傍に吊るされている肉袋を渾身の蹴りで叩き込み、怯んだところに顔面にショットガンを叩き込む。
「いい加減死ねよ、ジャック!」
『多分相手も同じこと思ってるよ』
「お前よくもやってくれたな!お前の中身を俺は見たいんだよ。分かるだろ?」
「おい正気かよ?」
「フフフフッ・・・そう言うな。どうだイーサン、イカすだろ?」
真ん中の柱を一撃で粉砕しながら笑うジャックに思わず後退する。あんなのさすがにショットガンを盾にしても防げないだろう。
「どうしたビビってんのか?ギブアップした方がいいんじゃないのか?」
「余計なお世話だジャック!」
『イーサン!ここにもう一個あるよ!』
「でかした!」
エヴリンが破られた金網の奥にもう一つ、普通のチェーンソーを見付けてジャックの横薙ぎを前転で潜り抜け、それに飛びついて構えるとエンジンをかける。ジャックのと違って普通のだが、まあいいだろう。
「やるしかないのかクソッたれ!」
「そうだ坊や。それでいいんだ。いいことを教えてやる。対等になったつもりだろうがな、お前はもう死ぬんだよ!ヒッヒッフッヒヒッ」
振るわれた鋏チェーンソーを、咄嗟に受け止めて鍔競り合う。バチバチと火花が散る。ここまで来たらやけくそだ。少なくとも銃よりは効果がありそうだ、当たれば!
「どうだ?楽しいだろ?」
「できれば勘弁願いたいなジャック」
「お前はここで死ぬんだ!」
「だろうな!」
『諦めないで!?』
ギャリリリリッガキンッ!ギャリャリャリャリャッゴキンッ!と鍔競り合っては弾き飛ばされる。駄目だな、致命傷は受けてないが手が痺れる。すると鋏チェーンソーを横に構えながら突撃してくるジャック。
「いい加減死んで楽になれ!イーサン!」
『イーサン!絶対喰らっちゃ駄目だよ!もう10回目なんだから!』
「なにが!?」
「てめえこそなにがだ!?」
エヴリンにツッコむとそれに怯んだジャックの隙を突いてしゃがみこんで回避し、足にチェーンソーを一閃。足を斬り落とされたジャックは倒れ込み、俺は立ち上がって奴の頭めがけてチェーンソーを振り下ろした。咄嗟にジャックは鋏チェーンソーを広げて受け止めんとするが、それごと破壊する勢いでかち割る。
「ウォオオォォオォオオォオオォオオオッ!?」
「!?気色悪いわ!」
『…ごめんねジャック』
すると頭が割れて顔が浮かんだ肉の球体の様になる奴の上半身。そのままチェーンソーを押し付けると体液が飛び散り、奴はどんどん弱って行く。このまま決める…!
「うおぉおおおっ!」
「ギャアァアアアアアアッ!?」
そして爆散。下半身だけとなり倒れたジャックだったが、いつの間にか治ってた足で立ち上がり、しかし力尽きて崩れ落ちた。
「はあ、はあ、はあ…勝った……さすがにもう、死んだよな?」
『多分…はああ、ようやく切り抜けたぁああ…』
「ようやく?」
大きなため息を吐くエヴリンに視線を向けると、何かの光景がフラッシュバックする。斧で脳天をかち割られる光景、ジャックのチェーンソーに対抗できず切り刻まれる光景、腕も足も斬り落とされて絶望のまま断頭される光景、etc.
「…なんだ?」
『ま、まあいいじゃん!ほら、脱出しよう!』
「あ、ああ…」
エヴリンに促されるまま、扉を閉じていた閂をチェーンソーで無理矢理斬り裂いて開けるとチェーンソーの刃が叩き折れた。まあ限界だわな。
「まだ鈍器として使えそうだから持っていくか…」
『間違いなく荷物になるからやめよう?』
エヴリンに全力で止められた。解せぬ。
最初の不意打ちさえ避ければ一方的に攻撃できるよねって。もはや隠す気がないエヴリン。イーサンも理解できてないからしょうがないね。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。