BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はついに本館脱出。運命が変わる…?楽しんでいただけると幸いです。
「もうすぐ地上だな」
『もう二度と来たくないね』
「やめろフラグになる」
チェーンソーを犠牲に死体保管庫を脱出し、来た道を戻って地上を目指す。大幅ショートカットになる扉の鍵を開けといて正解だったな、割とすぐ階段まで来れた。地上への階段を上って行くと、聞こえてくる綺麗な歌声。鼻歌か?
「っ…誰だ?」
『ああ。よし、不気味だし歌声の主を倒そう!』
「いや容赦なしか。こんな綺麗な歌を歌う奴が悪い奴なわけないだろ」
『はえ!?き、綺麗な歌?そ、そうかな……えへへ』
「なんでお前が照れるんだ」
顔を背けて後頭部に手をやりわかりやすく照れるエヴリン。どこぞの嵐を呼ぶ永遠の五歳児かお前は。するとハッと正気に戻り手足をばたつかせて訴えるエヴリンに首を傾げる。
『でも悪いこと言わないから歌声の主は容赦なく殺した方がいいよ。だってこんな場所で呑気に歌ってるんだよ?まともな…………うん、まともじゃないよね………まともなやつじゃないよ!』
「エヴリン。お前どうした、変だぞ。何を焦っている?」
「そりゃ焦りもするよ!だって、もう47回も………」
「
『何で言い換えたの!?しかも
「お前こそなんであのゲーム知ってるんだ?」
『それはどうでもいいの!私の方がイーサンより上手いんだから!……操作はしたことないけど』
「???」
また訳の分からんことを言うエヴリンに首を傾げる。何を言っているんだお前は。
『……ねえ、悪い事言わないからさ。終わらせようよ。ここで終わらないと、もっとひどいことになる』
「もっとひどいことって……妻に殺されかけて逆に殺してしまったかもしれなくて、腕も足も取れて、こんな場所に拉致されて、よく分からんモツ煮かよくわからんもの喰わされて、髭親父と地獄の教習所をして、化け物に襲われて、髭親父と鬼ごっこして、髭親父とチェーンソーデスマッチして……これ以上ひどいことがあるのか?」
『今でも普通に酷い目に遭ってるけど悪化するよ』
「具体的には?」
『こーんな大きな虫に刺される』
両手でエヴリンの顔程はある虫を表現するエヴリンに嫌な顔を向ける。俺、虫は大嫌いなんだが。特に羽虫。だがエヴリンの目は真剣そのものだ。
「なんでだ。玄関の鍵………鍵?を手に入れてもう脱出できるのになんでそんなのに襲われる?」
『脱出できないからだよ。地獄はまだまだ続く。玄関を開けても、庭からは出られない』
「は?仕切りとかあるんだとしてもぶっ壊せばいいだろこっちにはショットガンがあるんだぞ」
『出られないの!いい!?いいから、やるの!』
「あ、はい」
そんなこんなしていると歌が止んだ。歌のヌシは俺に気付いたらしい。エヴリンと顔を見合わせると無言でGOサインを作ってきたので、ハンドガンを手に慎重に階段を上って行く。そこにいたのは予想外の人物だった。
「…あんたが、歌っていたのか?」
「………」
そこにいたのは、無言でこちらを見つめてくる老婆。咄嗟に銃を下げる。エヴリンは殺せと言ってるがこんな老婆に何かできるとは思えない。
「なあ、何かの間違いじゃないのか?」
『やっぱり狙えない……そうだ。あ、モールデッドだよイーサン!』
「よし殺す」
エヴリンが老婆の向こう側を指差してそう言ったので咄嗟に銃を構えると、驚愕した様子の老婆が睨み付けてきた。
「どうしてみんなわたしをきらうの…」
「え?」
そして何やら呟くと、壁に突如黒い染みが生まれてそこからモールデッドが湧き出して襲いかかってきた。咄嗟にハンドガンで頭部を撃ち、全力で前蹴りを叩き込んで迎撃。そして気付くと、老婆の姿は消えていた。
『ちっ、逃げられた。無意識に銃を使わせないのずるいんだよ、もう』
「なんだったんだ……」
『おー、勇者よ。残酷なことを伝えねばなりません』
「今度はなんだ、RPGの教会か?」
『過酷な運命が決定しました』
「マジかよ」
虫に刺されるのか俺?それは、嫌だなあ……しかしなんだったんだあの老婆。
蠍の扉を抜けてホールに出て、最後のケルベロスのレリーフをはめこむとガチャっと鍵が開いた音がした。そして開けてみると、エヴリンの言ってたことを察する。
「よりにもよって鉄柵か……そう言えばいつだったかのメモで庭に逃がしたけど捕まえたって書いてたな…」
『そーゆーこと』
「どこの大怪盗の孫だ」
しかしまあ、結構広い庭だな。中庭なのか?奥には鉄柵にくっついた扉があって、その向こうには古い木製の屋敷が。旧館ってやつか?左手の横には牛舎跡のような建物。そして中央にはトレーラーハウスが置かれてある。
「牛舎らしき建物の入り口の…これはなんだ?」
『趣味の悪い機械だね。こんなの気にしないで早くゾイに合流しよ』
「そうだった。もしかしてトレーラーハウスの中か?」
『多分?だってあんなところにいるわけないじゃん?』
「隠し部屋とかあるのかもしれないぞ…」
言いながらトレーラーハウスの扉を開けると、今までいた屋敷と違って普通の生活感を感じられる空間に出た。色々入っている鳥かごとか異様な物があるが……まあ気にしないでおこう。
「これは水か?ありがたい、喉乾いてたんだ」
『勝手に飲むのは泥棒だよ』
「後で謝ればいいだろ」
机の上に水の入った瓶を見つけたので直接口を付けて飲み干す。生き返った…!
「夏だってのに水分補給しないのは地獄だったぞ…」
『ああ、だから苛立ってたの』
「汗もすごいぞ」
『あ、それ……』
言いながら近くにあった布を手に顔を拭う。ふう……なんか硬いな?
『あーあ』
「なんだよ?…!?」
呆れるエヴリンに首を傾げながら布を見てみる。ブラジャーだった。……目を手でこすり、もう一度見てみる。ブラジャーだった。牛のとかじゃなくて、女物の。
「ふぁーっ!?」
『変態だー!ぎゃーっ!?』
絶叫するとエヴリンがやんややんやと囃し立てるので、エヴリン目掛けてブラジャーを投げて叩きつけ、それが擦り抜けたエヴリンも悶絶して騒ぐ。手の感覚は慣れてきたらしいが未知の感覚は駄目らしいな。
『よくもやったなイーサン!』
「はははっ、ざまーみろ!」
「…なに人の家で一人で騒いでるの」
「『え?』」
声が聞こえたので振り向く。そこには、暑いのか薄着を着た短髪の女性が入り口に立っていた。その手には異様なミイラの様な物が握られている。そしてその声には電話越しだったとはいえ聞き覚えがあった。
「お前がゾイ、か?」
「…うん、そうだよ。初めましてイーサン・ウィンターズ。私の名前はゾイ・ベイカー。…あいつらの娘で妹だよ」
女性は笑みを浮かべてそう言った。
「やったね。無事に出たのはアンタが初めてだよ。三年待った。…うん、本当に。長かった…」
「それはなんというか……」
『…ごめんね』
三年…本当に長いな。エヴリンが何で謝るのかは知らないが。自分が死んで一人にした負い目かなにかか?
「いい。同情はいらない。そんなことより早くこの状況をどうにかしたいんだ」
「俺に頼みがあるんだったな。それは一体なんだ?それをやれば出られるのか?」
「そう。よく聞いてイーサン。実はこの敷地には桟橋もあってね。河にボートが置いてあるからそれで逃げられる。でもこのままじゃ逃げられないんだ」
「何故だ?」
「あたしたち家族もアンタも、体を穢されている。この穢れを取らない限りここからは出られない。アイツに見張られている」
「アイツって誰の事だ?」
「誰って……エヴリンの事だよ」
わーわーわーわー!
「なんて?」
おいエヴリン五月蠅いぞ。
今回起きたこと
・エヴリン、機転を使い老婆を襲撃。老婆にイーサンを敵視させることには成功したものの逃がしてしまう。
・エヴリン、あまりのストレスに告白するもイーサンはなんのこっちゃ。
・ゾイ、イーサンが老婆を攻撃したことで完全に信頼。「頭」を手に入れた帰りに帰宅。
気になってた特殊タグ使ってみました。こういう描写マンガぐらいだと思ってたけどハーメルンすげえ。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。