BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はVSマーガレット・スパイダー。途中からエヴリン視点です。楽しんでいただけると幸いです。
「ここは……庭で行けなかった門の先か。逃げても無駄だぞ、マーガレット!」
『飛んで火に入る夏の蟲だぞこらー!』
追いかけて行った先の建物の壁を突き破り、入って行くマーガレットを追いかけてミアと共にその建物に入ると、一階と二階で構成されていたのであろう建物の一階の天井と二階の床が破壊され、広々とした空間が広がっていた。
「待っていたよ、ここなら思う存分暴れられる。あそこには大事な祭壇と預けられたものがあるからねえ!」
蜘蛛の見た目のまんまというかなんというか壁にへばりついて首をグルンと回して俺達を睨みつけ、蟲の大群を胴体の巣から放ってくるマーガレット。俺はバーナーで燃やし、ミアはバットで迎撃する。
「無駄だ!そいつはもう効かない!」
「なんなら直線状に来てくれて打ちやすいわ!」
『ミアはここをバッティングセンターかなにかだと思ってるの?』
「そうかい。ならこいつはどうだい?」
そう言って下部四本の手で壁にしがみ付きながら口から糸を吐いてそれを上部四本の手で引っ張って纏めて一本の棍棒のようにするマーガレット。それを四本の手で掴むとフルスイング。
「ミア、危ない!」
『イーサン!?』
咄嗟にミアを突き飛ばし、気付けば、俺は宙を待っていて。視界には絶句しているミアとエヴリン、そして首から上が無い俺の体があって。
「あ」
首を断たれたと気付いた頃には床に転がり、俺は死んだ。
『何百回でも何千回でもやりなおしてやるんだからー!!』
そんな声と共に我に返る。どうやらマーガレットとの決戦前だと言うのにボーっとしてたらしい。
「どうしたのイーサン。急に呆けて?」
「いや。突入するぞ!」
『イーサン、見たことない攻撃は気を付けて!本当に!』
「ああ、わかった!」
エヴリンの真面目顔のアドバイスに頷き、バーナーを手に突入する。天上を破壊して吹き抜けになった空間の壁面に奴は陣取っていた。咄嗟にハンドガンを抜いて撃つ。シャカシャカと動かれて回避され、乱射して追従する。
「そんな豆鉄砲が当たるかい!あたしが怖いのかい?男のくせにみっともないったらありゃしないね!」
『イーサンのことが怖いのはマーガレットの方だと思う』
そう言って蟲をばら撒きつつ、流動体の体に穴を開けてそこから白い弾丸を飛ばしてくるマーガレット。ミアはバットを振り回して迎撃、俺も避けつつハンドガンを撃ちながら近づこうとするも、白い弾丸の一つが避けきれなくて胴体に当たってしまう。すると当たった瞬間白い弾丸は広がって太い蜘蛛の糸の網に変形、俺を雁字搦めにに捕らえると口から糸を伸ばしてきたマーガレットに繋がれ引っ張り上げられる。
「捕まえたよ、怖がらなくていいからね……さあここからどうするつもりなんだい?」
『ああ、駄目!』
「ぐはああっ!?……このお!」
その長い腕の一本で胴体を貫かれ、激痛に呻きながらも貫かれたことで糸がほどかれ解放されたことで、咄嗟に取り出したバーナーを零距離噴射。
「ギャアァアアアアアッ!?」
「ざまあみろ、クソババア…」
火炎をまともに浴びたマーガレットは絶叫して俺を投げ出し、ボロボロの床に激突して床を粉砕し床下まで落ちてしまう。腹に穴が開いてしまった、回復薬で治るかこれ?
「イーサンをよくも!」
「ぐっ!?よくもやってくれたね!」
燃えながら這い回るマーガレットを、ミアがすれ違いざまにバットをスイングして叩き込み、仰け反るマーガレット。しかし流動体の身体がうねって衝撃を受け流し、ぐるりと股を潜るように一回転して元通りになるとミアの首に糸を回して締め上げる。
「ぐうっっ!?」
「あんたは母親として気に入られてたから生かしてやったのにねえ。エヴリンはきっとすごく悲しむだろうよ!」
『悲しむに決まってるからやめてよ!』
まただ。またエヴリンの名前が出た。なんでだ?いや、それよりも……!回復薬をかけるも傷の治りが遅い胴体の痛みは無視して飛びかかる。ミアを殺させるか!
「はああ!」
「心配いらないよ。大丈夫だからね。あんたら夫婦纏めて地獄に送ってやるからさ」
ナイフで糸を断ち切ってミアを解放。そのままナイフを振り回して牽制し、マーガレットからミアを遠ざけるとそんなことを言ってきた。咄嗟にナイフをしまってハンドガンを取り出す。
「地獄に落ちるのは俺だけでいいさ!」
『イーサン!それは無茶だよ!?』
「なっ……ふざけるな、離れるんだよ!」
胴体の巣の穴にハンドガンの銃口を突っ込んで乱射。暴れるマーガレットが俺の背中や腹部を八本の節足で貫いて来るが、俺は離れない。乱射を続けながら左手を奴の流動体の胴体に突っ込んでランタンを鷲掴みにする。
「無理を通せば道理が引っ込むって言うだろ、おらあああああ!」
そしてランタンを引き抜いてバックパックに入れるとミアに投げ渡し、血を吐きながら叫ぶ。
「ミア!それを持って庭に向かえ!ゾイに任せれば、治して脱出できるはずだ!」
「そんな、嫌よ!イーサンは…!」
「いい加減におし、イーサン。さっさと離れな!」
「ぐああああああっ!?」
そのまま俺はマーガレットの胸を貫かれて心臓を潰され、絶命した。
――――――――繰り返す、繰り返す。もう三桁に入るだろうか、何度もイーサンの死を繰り返す。ジャックとのチェンソーデスマッチの比にもならない。武器の火力不足の中で出会ってしまったドミトレスク級の怪物、ミアを守ろうとしてしまう深層心理、追い詰めたという油断、地理の知識不足、敵のホームグラウンドでの翻弄、未知数の攻撃。不利な条件が揃っていて覆すことができない。しかも、私に対する疑いが生まれているのか忠告も半信半疑でしか聞いてくれない。
あの時と同じだ。マダオと手を組んで十分すぎる戦力で挑んだのにミランダの戦力が未知数だったせいで手も足も出ずにみすみすイーサンを殺されてしまったあの時と、同じ。
ミアも決してお荷物じゃない。だけどバットという近距離武器しかないミアは遠距離タイプのマーガレットとは相性最悪だ。
つまりマーガレットに勝つには、武器を潤沢にして、ミアを安全な場所に置いて一人で戦わせて、決して油断させないで、地理の知識をどうにか補って、ホームグラウンドでの戦いをさせないで、攻撃を全て読み切った上でイーサンに信用してもらって指示をちゃんと聞いてもらわないといけない、のを全部一度にこなす必要がある。
『……………無理じゃね?』
思わず弱音がこぼれる。いくら精神だけの存在で体が無いとはいえ、何度も何度も時間を越えて海を横断するのを繰り返していたからか疲れが出てきたらしい。
『………私、なにしてるんだろうなあ』
はっきり言ってこの行動は私にとって自殺に等しい。私は死ぬためにこんな途方もないことをやっている。全ては歴史の運命を変えて、最愛の父と妹……イーサンとローズが一緒に過ごせる時間を作り、悔いなく消滅するためだ。それまではこの爆発までの一瞬の奇跡である四年間を、頑張らないといけない。まだ一年もたってないんだ、ここでめげてどうする、私。
『お姉ちゃんだろ、私!逃げるな卑怯者!弱音を吐いてる暇があったら妹の笑顔のために頑張れ!私は長女だから我慢できたけど次女だったら我慢できなかった、姉の責務を全うしろ!ローズが幸せな未来が見えている限り、私が挫けることは絶対に無い!!』
菌根の中を駆け巡りながらそう決意する。飛び出したるはもう嫌というほど見た村の上空からの景色。もう何度目かわからないその景色をスルーして、西を向いて空を飛ぶ。目指すはアメリカ、ルイジアナ。今度こそ、イーサンを救って見せる!……いや待て、真面目に考えよう。私はアホだけど兵器として培った知識はある。幸せな記憶でちょっと薄れているけどそれを総動員して何とかする方法を考えよう。
コンティニューしてでもクリアする!というわけで7編エヴリンの内情がついに明かされました。これでエヴリンがどんな状況かなんとなくわかったかと。台詞は鬼滅のお兄ちゃんの台詞の姉版。
そんなエヴリンをちょっとずつ疑い始めたイーサン、信頼関係がガタガタです。ミアがいるからか自爆まがいの攻撃ばかり。至急火力がいるし、場所も変えないと勝ち目がない。エヴリンはなにか思いつくことができるのか。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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