BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はエヴリンの告白。VSマーガレット・スパイダー決着。ずっとエヴリン視点です。楽しんでいただけると幸いです。
もう何回目かも数えるのも億劫になるほどのやり直しの果てで、私はいくつか知ることができた。まず、マーガレットは新しい自分の体に慣れていない。やり直すたびに試す様に攻撃してはそのほとんどが致命傷でイーサンを敗北させてきた。
変異したマーガレットの主な能力は五つ。ランタンによる蟲操作。怪力。糸を用いた攻撃(刃や捕縛する弾丸など)。縦横無尽で素早い動き。流動体で構成されていることによる受け流し。物理攻撃・範囲攻撃・絡め手・防御・回避・全てに長けている怪物だ。
あるやり直しでは、本館に開かないカラスの扉があったことを思い出し、その先に強力な武器があるのを確認したが、マーガレットがその間に新しい自分の体に慣れてしまい敗北。
あるやり直しでは探索を進言し、庭から行ける本館のトタンで塞がれていた軒下でリペアキットなるものを見つけて壊れたショットガンを修理、火力はあったが装填数が少なくて咄嗟に撃った際に弾切れを起こして敗北。
あるやり直しではゾイと合流してからイーサン、ミア、ゾイの三人でそれぞれバーナー、ハンドガン、ゾイの所持していた壊れたハンドガンをリペアキットで修理したものを手に応戦。しかしゾイとミアはマーガレットの流動体の体……カビに取り込まれて貪り食われ、イーサンも糸で囚われ蟲の餌にされてしまい敗北。
あるやり直しでは強力な武器二つを揃えてイーサンが単身で挑むも、正面からでは太刀打ちできず力負け。ホームグラウンドで四方八方に張り付き襲いかかることができるマーガレットには手も足も出ず敗北。
それからもいろいろ試してみたが何度も何度も大敗した。イーサンは正面から突っ込む癖がある。しかも私への疑心からか焦っている。それを何とかしないと勝ち目がない。今回も、また馬鹿正直に突っ込もうとするイーサンを止めるのに苦労した。武器を集めてからでも遅くないと説得するのは大変だった。
「それで、話ってなんだエヴリン」
『んー、ここなら「私」に聞かれないかな』
ミアにカラスの鍵を渡し、本館のカラスの扉を探索に行かせるという口実で一人になってもらい、二人きり(正確にはイーサン一人)になったところに話を切り出す。これしかない。
『イーサン、私を疑ってるよね』
「…マーガレットから二度も名前が出るとさすがにな。…今までさんざん聞いてきた「あの子」ってのはお前のことなのか?……お前が、元凶なのか?」
『………うん。ゾイが言おうとした名前、覚えてる?あれは私のこと、エヴリンって言ってたんだ』
「だからあんなに騒ぎ立てたのか。…ミアがああなったのもお前のせいなのか?」
『……私なんだけど、この私じゃない。私はね、未来から来たんだ。最悪の未来を変えるために』
「……ターミネーター?」
『違う、そうだけどそうじゃない』
思わずツッコんだ。私イーサンのせいで映画好きだけどそうじゃない。好きだけど。
「なんでだ、それが事実だとしてなんで元凶のお前が時間を越えてまで俺を助ける?」
『信じてもらえないかもだけど、私は自分の行いを後悔している。凄く、すごく後悔している。ジャックたちベイカー家を巻き込んで、イーサンもミアも。我ながら凄い子供だった。……それに私にとって、イーサンは大事な人なんだ』
さすがに今父親だなんて言ったら怒るだろうから言わない。できるだけ大事な情報は言わないで信じてもらうしかない。
「俺が、お前にとって大事な人…?」
『それにね。絶対に笑顔にしたい子がいるの。その子のためにイーサンにはできるだけ傷を負わないでほしい。詳しくは禁則事項で言えないけど、私はそのために時間を越えてきた』
私が勝手に時間を越えてきたから禁則事項なんてないけど便利な言葉だから使っとく。
『だからお願い。このままじゃイーサンはマーガレットに殺されてしまう。今回ばかりはイーサンの破天荒ぷりでも勝てないんだよ』
「そんなのやってみないと……」
『やったから言ってるんだよ。もう百回以上、殺されて私はやり直している。もう嫌なんだよ、イーサンが殺される姿を見るの……』
「………お前が嫌われるかもしれないのに話してくれたってことは、本当なんだな」
『…嫌ってもいいよ。私が勝手に助けるだけだから』
悲しいけれど、しょうがないよね。このイーサンは私と三年過ごしたあのイーサンじゃないんだもの。
「…今更嫌うかよ。もう長い付き合いだ、お前が悪い奴じゃないことぐらいは分かるさ」
その言葉に伏せていた顔を上げる。イーサンは不敵に笑って拳を翳していた。
「お前は反省しているんだろ。なら罪を問うのも野暮ってもんだ。この時代のお前をぶちのめして同じように反省させてやるよ。だからこれからも力を貸してくれ。相棒」
『うん、うん!まかせて!』
涙ながらにその拳に擦り抜ける拳を重ねる。何度やり直しても絶対にやるもんかと思っていた告白だったけど、勇気を出してよかった!
「それで、考えはあるんだろうな?」
『うん、まずはミアを待っている間に庭に戻って本館の外壁にあるトタンを調べて』
「了解だ」
私の言葉を全面的に信じて行動してくれるイーサンに、娘じゃないけど相棒扱いもいいなとちょっと思えた。
数分後。ゾイと一度合流してからミアを預けさせて、イーサンと二人で旧館に突入する。ハンドガンで一撃浴びせてから物陰に隠れさせる。真正面からダメなら隠れながら隙を窺えばいい。
「馬鹿な子だねえ。どうせ最後には見つかるってのにさ」
『すてんばーい』
目の前の壁を横断していくマーガレット。やっぱりだ、この夜の暗闇はこちらからも見ることは難しいけど、あちらからも見えにくいらしい。ランタンの灯りを蟲を操ることぐらいしか出来ないんだ。イーサンに息を潜ませ、私がマーガレットに肉薄して隙を窺う。
「入り口は塞いだ。もうどこにも逃げられやしないよ坊や」
『今だよ!』
「逃げるつもりはないさ蟲ババア!」
私の合図と共にイーサンが手にしてマーガレットの背中から放ったのはグレネードランチャーの焼夷弾。ルーカスが製造したと思われるハンドメイドのグレネードランチャーで、廃材を利用して無理矢理作ったような、砲身は金属をテープで巻き付けて補強がしてあり、かなり大雑把な作りをしている代物だ。だがしかし炎を発する砲弾を発射できる。効果は絶大だ。
「あぁああああっ!?燃える、燃える!?見つけた!今度こそ逃がしゃしないからね!」
「喰らえ!」
適当に傍に落ちていた板の残骸を投げつけ、リペアキットで修理した壊れたショットガンこと古いダブルバレルショットガンの散弾で粉砕して目くらまし。その間にまた身を隠すイーサン。目に板の残骸を受けたマーガレットは悲鳴を上げて仰け反る。イーサンらしくないとは思うがこれが私の作戦だ。名付けてザ・堅実。
『イーサン、こっち!』
「ほらあたしとおいでなさいな。もう終わらせようじゃないの」
すると怒って口から糸を出してそれを束ね、斬撃として周囲一帯を薙ぎ払うマーガレット。さらに糸の弾幕を放ちながら地面を横断するが、そこにイーサンはいない。私が案内して、マーガレットが内装を破壊した際に残って壁に立てかけられている梯子を伝って二階だった部分の端のわずかな足場に逃れたのだ。
『すてんばーい、GO!』
「舌ったらずなの笑えるからやめろ!」
マーガレットが真下を通ると同時に飛び降りさせ、流動体の体を踏み潰してゼロ距離でバーナーを放つイーサン。巣を破壊することに成功し、流動体の身体は炎上。しかしマーガレットの口から糸の弾が放たれ、それを浴びたイーサンは糸で雁字搦めにされ吹き飛ばされてしまう。
「があ!?」
「ああ、熱い!熱い!熱い!許さないよ!そろそろ諦めたらどうなんだ坊や?!」
燃えながらもその巨体で踏み潰さんと突進してくるマーガレット。イーサンは板の残骸で糸を斬って拘束から逃れるとそのまま糸をマーガレットの顔面に叩き付け、グレネードランチャーを構えて突撃してくるマーガレットに向けて引き金を引いた。
「さよならだ」
「ぎ、い、あぁああああああ!?」
糸で前が見えずろくな防御もなしに直撃、炎上するマーガレットの身体が石灰化していく。そして崩れ落ち、私にとっての終わりの見えない悪夢は断末魔で終曲を告げた。……ごめんねマーガレット。
さすがに詳しくは語れないけどついに告白したエヴリン。隠し事無しの信頼関係を築くことができました。
ミアにグレネードランチャーを回収してもらい、感想でも言及されていたリペアキットで(ポールハンガーのおかげで)所有していた壊れたショットガンを修理し、戦力増強に成功。マーガレットともついに決着をつけました。残る敵は…?
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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