BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
???「そう、あれは三年後だったか…それとも三年前だったか…」今回はそんな話。楽しんでいただけると幸いです。
「はあ、なんとか勝てたな。もう生き返ってくるなよ」
『やった、やった!無限ループを乗り越えた!』
石灰化したマーガレットが崩れ落ち、亡骸から出てきたランタンを手に取り一息つくと、目の前でエヴリンがぴょんこぴょんこ跳ねて全身で喜びを表していた。瞳には涙すらある。
「お前がどれだけやり直したのかその一言で痛感したよ」
『ぶっちゃけジャックの時より死んでるもん』
「ジャックの時も俺死んでたのかよ」
『結構死んだけど今回の比じゃないよ』
「そいつぁよかったよ」
一応探索して弾の類を回収してから外に出る。一度ミアとゾイと合流するとして、………エヴリンの事を話すべきかどうか、だな。
「たびたび言ってた意味の分からない俺に教えてもらったとかもそういうことだったのか。…なあエヴリン。お前がミアに姿を見させたくないのもなんか理由があるのか?」
『……うん。ミアは記憶を失ってるけど、ミアは私のママなの』
「なんだって!?」
不倫!?と驚いているとエヴリンは慌てて手を振り回して『違う違う』と否定した。
『私のベビーシッターみたいなものだよ。私はコネクションって組織の生体兵器、E型被験体。ミアはその教育係でママとして私を育ててくれたの』
「組織?教育係……ってまさか、ミアの仕事って…」
『そこは私もちゃんと知らないから明言しないでおくね。それで私はミアから逃げて、ベイカー家に拾われたの、記憶を失ったミアと一緒に』
「…なるほど、お前の顔を見たら記憶を取り戻してしまうかもしれないと危惧したのか。あとひとついいか?」
『なに?こうなったらなんでも答えるよ』
「この時代のお前は何処にいるんだ?」
『………』
そう尋ねると黙るエヴリン。言えないのではなく、なにか恥ずかしくて悩んでる様子だ。
『えっとね……そのね?イーサンはもう遭ってるんだよね……』
「なんだって?」
そう言われて思い返す。俺が出会ったのはベイカー家のジャック、マーガレット、ルーカス、ゾイ、名前も知らない老婆。保安官補佐。ミア。………いないが?
「いやいないが?」
『思い出して。最初に見た写真。誰が映ってた?』
「たしか、ジャック、マーガレット、ゾイとルーカスと思われる子供たち…………うん?」
思い返す、本館で見た写真たち。そのどれもに映っていなかった人物がいた。おいまさか。いや、そんなまさか。
『私の長靴を見つけた時言ってたよね。「お前何歳だ」って。ビビったよ』
「あの老婆が、お前か?」
本館の各所で出会ったあの老婆。エヴリンがとんでもなく殺意を抱いていたあの老婆。思い出す、あの時の会話。
――――「危ない危ない…さすがに襲われてもないのに撃つのは駄目だよな」
――――『……一発ぐらいなら誤射かもしれないよ?』
――――「確信犯は誤射とは言わん」
――――『…やっぱり駄目かあ』
――――「あの老婆はジャックの母親なのか?それともマーガレットの?」
――――『どっちでもないかなあ』
――――「???親戚の老婆ってことか…」
――――『でも悪いこと言わないから歌声の主は容赦なく殺した方がいいよ。だってこんな場所で呑気に歌ってるんだよ?まともな…………うん、まともじゃないよね………まともなやつじゃないよ!』
うん、今思い返してみても殺意高いなエヴリン。それに嘘はついていなかった。あれがエヴリンなら確かにどっちでもないわ。
「なんで老婆になってるんだ……」
『話すと長いんだけど、……一言でいうなら罰かなあ』
「罰?」
『うん、ミアの元から……コネクションから逃げた罰。定期的に保全用化学物質とかいうのを摂取しないと私は急激に細胞劣化を起こして老化しちゃうんだ。止めるには安定化化合物っていうのがいるんだけどそれを受ける方法がなくなったから、まだ年齢一桁なのにおばあちゃんになっちゃった』
「…そのコネクションとかいう奴等、外道か?」
『ミアもその一員だったから勘弁してあげて。それに生物兵器として赤ん坊の状態から急激に成長させられたから、こうなるのは自然の摂理に逆らった罰だよ』
「それはお前のせいじゃないだろ」
『私という存在そのものが罪なんだよ。ある女の狂気の執着から生まれた望まれない子供なんだ』
悲しげに笑うエヴリン。無理をしてるようで、だけど何かを思い出したのか楽しげに笑った。
『そんな私の事をね、大事な娘だって言ってくれた人がいたんだよ。愛してくれた、命懸けで戦ってくれた。嬉しかった。本当に嬉しかった。その人の為なら私は何処までも頑張れるんだ』
「それってもしかして……」
『さあてね、秘密だよ!恥ずかしいからね!』
いたずらっ子の様に笑うエヴリンに、ああ、悲しい生まれだけど救われたんだなと安心する。あれ、でも…?
「…でもいいのか?」
『なにが?』
「この時代のエヴリンを殺したらお前も消えるんじゃ…」
『ああ、それ?いいよ』
「は!?」
思わず振り返る。エヴリンは笑顔で頷いていた。
『だって、私はいない方がいい。できる事ならベイカー家がこうなる前に私を殺したかったけど今から三年前のイーサンはそうじゃなかったからね』
「いや待て。お前だと分かった以上、俺は老婆エヴリンを止めるつもりはあっても殺すつもりはもうないぞ」
『いや、殺してよ。これ以上誰かを巻き込む前に殺してよ』
「断固断る。俺はお前を殺したくない」
心からの本音だ。それが伝わったのか信じられないという表情を浮かべるエヴリン。
『なんで。私を殺せば、それで終わるのに。それにこの私は消えないよ、しつこく付きまとってハッピーエンドにするまでは消えないから!』
「そう言う問題じゃない。あの老婆がエヴリンだと言うなら助ける。そのなんとかって薬を手に入れて助ける。そして教育してやる。お前みたいな、いい子にしてやるんだ」
『私、悪い子だよ?』
「悪い子は他人のために自分を殺そうとなんてしないんだよ。死ぬことは諦めろ、俺はお前を諦めない」
そう言うとエヴリンは涙を流した。慌てる俺に、淡々と問いかける。
『いいの…?』
「な、なにがだ?」
『私も、イーサンやミアやローズとこの手で触れ合える未来を期待しても、いいの…?』
その言葉を聞いて確信した。誰かと触れ合いたいんだ。ぬくもりが欲しいんだ。でも
「当たり前だ!」
『でも、でも私、ゾイたちに申し訳ない……』
「そのときは謝ろう、罪滅ぼしをするんだ。俺も一緒に付き合うさ。許されなくても、死んで逃げる事だけは駄目だ。お前みたいに、老婆エヴリンも自分の罪に直面し反省しないといけないんだ」
『でも、この時代の私は全てを憎んでる。家族の愛を求めて暴走している。殺さないで止めるなんて絵空事……』
「俺とお前が揃えば負けることはないさ。それにお前が言ったんだろ。掴もう、未来を!」
『……うん、うん……!』
以前エヴリンが言ってた台詞を返してやれば、涙を拭って晴れやかな笑顔で頷くエヴリン。そうと決まれば必要なものが増えたな。
「で、そのなんとかって薬を手に入れる手段はないのか?」
『安定化化合物、ね。私は知らない、でも持ってそうな人は知ってるよ』
「そいつは…?」
『ルーカス。ルーカス・ベイカー。私が本気で恐怖を抱いている……サイコパスだよ』
そう言ったエヴリンから伝えられる。自分の転化(洗脳みたいなものらしい)からコネクションの手を借りて逃れ、洗脳されたふりをし続けていたこと。子供の頃からサイコパスで友人を殺していたこと。ひそかにエヴリンの研究をしていたこと。そのすべてを、終わった後に知らされたこと。つまりこの狂った環境下で正気を保ち続けている狂人だと言うことだ。
「なるほど。もしかしたら持ってるかもしれないな。でもそのルーカスは燃えて逃げたぞ」
『本当ならあの時、なにもできずにミアを連れていかれて、ゾイも「頭」ごと誘拐されて、イーサンはルーカスの仕組んだデスゲームに挑んだらしいんだけど……』
「だけど?」
『未来のイーサンも思い出したくないのか全然語ってくれないから詳しくは知らないんだよね……』
「いや待て。誘拐だと?」
旧館のカラスの扉に戻るために横穴を進んでいた俺は、最悪の可能性に行きつき引き返す。
『え、どうしたの?腕、取らないと……』
「それは後回しだ!ミアとゾイを一緒にしてるんだぞ……知られていたら、狙われないわけが…!」
『あ…!』
そして横穴を抜けてトレーラーハウスに戻った俺が見たのは、巨漢のモールデッドに気絶したミアとゾイを担がせてどこかに行こうとしていたフードの人物、ルーカスその人だった。
この時代のエヴリンも救うことを決意したイーサン。本編エヴリンも実は触れられなかったことがずっと悩みだったという。
そして恐怖の場所に眠る「腕」は後回し。いつぞやのダッシュババアを思わせる展開へ。これにはサイコパスもびっくり。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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