BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回は老婆エヴリンを怒らせたイーサン、絶体絶命。楽しんでいただけると幸いです。
「右腕」を引っこ抜いてバックパックに入れて振り向くと、隠し扉の向こうに黒いスカートを身に着けた少女の脚……というかエヴリンの脚が見えた。視界の横にエヴリンがぷかぷか浮かんでいるからややこしいことこの上ない。
「あれが幻影か。恐怖演出のつもりか?見慣れてるしなんなら目の前にあるからシュールだぞ」
『あっちは私の存在知らないからねえ』
「…さすがに気付いていたか」
『私も馬鹿じゃないからね』
どうやら何かが俺に味方していることには気付いていたらしい、脚だけ見えるエヴリン(暫定老婆)は苛立つようにコツ、コツとその場で足踏み。靴音を鳴らして不安感を煽ってきた。
「誰でもないよ。お前だ」
『お前は誰だ?!お前の中の私!ってね!』
そう言ったエヴリン(暫定老婆)の姿が掻き消え、俺達は顔を見合わせ隠し部屋の外に出る。なんだ、空気が変わった。
「…エヴリン」
『ごめん、偵察無理』
「なんでだ」
『この空気がすごく怖い』
「それは酷なことを頼もうとした、すまん」
見ればガクブルと震えてる。さすがにこの暗闇で限界だったか。さてどうしたものか。すると突如聞こえてきたドンドンドンドン!と扉を叩く音。暗闇に突如響いたその音に心臓が跳ねる。
『ウギャアァアアアアアアアアアアアアッ!?』
「耳元で騒ぐな!?」
悲鳴を上げるエヴリン。俺は思わずベッドを押して扉を塞ぐ。すると今にも開きそうだった扉が押しとめられた。
「よし、これで…!」
『イーサンどうするの!?出口そこしかないんだよ!?』
「知らん!壁をぶちぬくか!?」
『スーパーマンでもないと無理だよ!?』
ドールハウスの乗っていた机を構えて壁に目掛けて勢いよく振り下ろすが、虚しく砕け散った。ならばと隠し部屋に戻り、ミイラを退かして座っていた椅子を手に取り持ってきて振りかぶる。
『罰当たりだね!?』
「死人に口なしだ、ミイラが使うよりは役立って椅子も本望だろう!」
『ショットガンの像といい意外と自分勝手だよねイーサン!?』
そして壁に叩きつけるが逆に粉砕されてしまう。同時に扉が吹き飛び、ベッドに塞がれた向こうからモールデッドが溢れ出てきて泣き叫ぶエヴリン。
『みぎゃあああああああああっ!?』
「おいお前の不細工な友達だろ何とかしろ!」
『私はそもそもこの時代に干渉できるのイーサンだけなんだってばああ!』
無数のモールデッドは入り口とベッドにつっかえてこっちに来れてないが、腕と顔を出してうじゃうじゃと蠢いている。エヴリンが泣き叫ぶのもわかるぐらい、ぶっちゃけきもい。だが絶体絶命だ。
「こうなったらグレネードランチャーで壁をぶっ壊して……」
『いや、モールデッドにぶちかました方がよくない?』
「こうなったらそれもそうだな!」
グレネードランチャーを手に取り数少ない焼夷弾を装填、無数のモールデッドの中心に照準を向けて引き金を引く。ブチ込まれた焼夷弾は爆ぜて炎上、無数のモールデッドをベッドごと吹き飛ばし残った奴等も丸焼きにする。
「行くぞエヴリン!」
『うん!行こう!』
ベッドの残骸と燃え盛るモールデッドの死骸を踏み越えて来た道を逆走する。すると出てくるわ出てくるわ、黒カビや暗がりやタンスの中からモールデッド。中にはブレード・モールデッドやクイック・モールデッド、狭い道を占領するファット・モールデッドなんかもいた。
「死にたい奴から前に出ろ!押しとおる!」
『お願いだから死なないでね!』
「約束する、死んでもお前とミアを置いては逝かないから安心しろ!」
『それイーサンが言うと洒落にならない!』
グレネードランチャーからダブルバレルショットガンに武器を持ち替えて乱射。ぶちかまして吹き飛ばしながらランタンの輝きを目指す。
「くそっ、次から次へと…!」
『私の奴、怒りを爆発させて能力の全てをモールデッド生成につぎ込んでいる。意地でも逃がすつもりはないみたい!』
「とりあえず外に出て作戦を考えるぞ!」
目の前から迫ってきたファット・モールデッドを走って勢いをつけたドロップキックを叩き込み背後のモールデッド共に蹴り込み、ダブルバレルショットガンを叩き込み爆発させて吹き飛ばす。見えた、ランタンの輝き!
「…おいおい嘘だろ」
『やだ……私、頑張り過ぎだよ……』
子供部屋から外に出てもなおワラワラといるモールデッドたちがランタンの輝きに照らされ不気味な影を作り出す。老婆エヴリンが頑張ってるらしい。いらない頑張りだな畜生!
『逃げようにも逃げられない…』
「いいぞ、そっちがその気ならやってやる…!」
ダブルバレルショットガンと、バックパックから取り出した前のショットガンを二丁持ちで構える。エヴリンと約束したんだ、生きてこの場を切り抜けてやる…!
ダブルバレルショットガンとショットガンを乱射、弾が切れればぶん殴り、隙を見て弾を装填してぶちかますのを繰り返しながら外を目指す。
たまに前蹴り、後ろ回し蹴り、サッカーボールキックで蹴り付ける。
ショットガン二丁を掴まれて身動きが取れなくなっても諦めずに頭突きで殴り飛ばし、肘を叩きつけて取り返す。
なんとかカラスの扉から出てクランクの足場の下から伸びてくるモールデッドを蹴り飛ばしながら渡り、出口からなんとか外に出るが桟橋はクイック・モールデッドが五体、床のみならず四方八方の壁や天井や引っ付いていて。
「マジかよ、クソが!」
『ごめん私がごめん!私、頑張るから!次はもっと上手く……』
「諦めるなエヴリン!?」
俺を確認するなり凄まじい速さでワシャワシャと動いて迫って来て、エヴリンが泣いて謝る。ダブルバレルショットガンで狙い撃つが動きも老婆エヴリンが操ってるのか的確な動きをして当たらない。この動きは無理だ、捕捉できない。クイック・モールデッド一体の爪が俺の首を捉える。万事休すか。
「くそっ、すまんエヴリン…約束、守れなかった」
『イーサァアアアアアアンンッッ!!?』
エヴリンの絶叫が木霊する中で、クイック・モールデッドの爪が俺の首に触れて………
「伏せろ!」
「!」
瞬間、聞こえてきた声に咄嗟に従って腰を落とし崩れ落ちる。と同時に、空中に滞空していたクイック・モールデッドの頭部がなにかにぶち抜かれて背後の扉に突き刺さり磔にされる。
『やった、きた!』
「来たって何が……」
振り向く。視線を、木の槍で磔にされたクイック・モールデッドから桟橋の出口を移す。そこには、クイック・モールデッド四体に警戒されている、立派な髭を蓄えた白髪の初老の大男がいた。まさか槍でクイック・モールデッドを磔にしたって言うのか?
「狩りをしてみりゃ【ゾイが危ない】って手紙を手に入れ、数年も音沙汰のない弟の家が騒がしいから来て見りゃ、こりゃ一体なにごとだ?」
『ジョー・ベイカー!ジャックのお兄さんで、ものすごく強い人だよ!』
「なるほど、そういうことだったのか……あの手紙を流したのは俺だ!手を貸してくれ!」
そう叫ぶと、エヴリン曰くジョー・ベイカーを脅威と見たのか四体揃って高速で駆け抜け襲いかかるクイック・モールデッドたち。
「なんだ?最近見かける化け物じゃねえか。随分と多いな」
するとジョー・ベイカーは両手の拳を握り構えると、シャドーボクシングするかの様に何度も拳を振り抜き、シュンシュンシュンシュンと加速させていく。次の瞬間、ジョー・ベイカーに飛びかかったクイック・モールデッド四体は消し飛んでいた。
「俺の家族になにがあったのか、話を聞かせてもらうぜ。小僧」
「お、おう…」
『え、見えなかった…』
この人、やばい。そう確信した。
ジョーおじさん「連続普通のパンチ」
そういうわけでイーサンのピンチにジョーおじさん参戦。原作よりレベルが上がっている敵にこの人を出さないで切り抜けられる気がしなかった。
アイダはA型、ベスはB型、キャロルはC型、ダリアとデイジーはD型のオリジナルの名称です。エヴリンが勝手につけたという設定。一応呼び名はあったと思うんだよね。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
ルーカスとは……
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原作と異なりイーサンが決着をつける
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