寫眞機の少女(しゃしんきのしょうじょ) 作:butai yukkuri
〜文科省へ行きます!〜
その晩、凪はなかなか眠れなかった。布団には入ったものの眠ることができなかった。やっと眠れたのは午前三時を過ぎてからだったろうか。
余談だが凪は一人暮らしだ。私立川跡学園高校に入る際、親が凪用に学園艦甲板に家を一軒買い与えたためである。入学祝いで割引だっらしい。卒業後はどうする気なのだろうと考えたこともあったが、結局答えは出なかった。
「凪さん。」
家の外から牡丹の声が聞こえる。ふと横にある時計を見るとすでに八時半を過ぎていた。三時からだと五時間半は寝ているはずなのだがとても眠い。だが急がなくてはならない時間だった。学園艦から降りて文科省まで行くのに一時間半はかかる。余裕は三十分しかなかった。ただし時間より前に行くのは当然だろう。もしかしたらそういう問題ではなく上陸船の時間に間に合いそうにないから呼びにきたのかもしれないなどと考えながら凪は「はあい」と言いながら玄関を開けた。
「凪さん。早くいかないと上陸船が行ってしまいますよ。」
予想は当たっていたようだ。
「はあい。今行きますう。」
とは言ってみたものの朝食はどうしようと考えていると、外からおにぎり用意してますよと言う声が聞こえてきたので着替えだけ済ませて出ることにした。
着替えて外に出ると牡丹がいた。今日は制服にネクタイをつけている。日本戦車道連盟会館に行く時にはネクタイをしていなかったので、今日会うのがそれほどの相手だと思い知らされた。覚悟はできていたつもりだったが、不安が込み上げてくる。
「ほら、早く行きますよ。上陸船に少しは待ってもらえるよう言ってありますが長く待たせるわけには行きませんからね。」
と言いながら手を引っ張ってくる。
「わかりましたからそんなに勢いよく手を引かないでください。コケてしまいます。」
牡丹がハッとしたような顔をして手を離す。
「あっすみません。つい。」
謝られたらそれはそれで自分が悪いので悪いことをしたなと思えてくる。だが今はそんなこと考えている暇はないので忘れることにした。
十分くらい走ると」学園艦の端の上陸船乗り場にたどり着いた。上陸船はなかなかの大きさの船だった。フェリーというのが一番近いかもしれない。だが学園艦と並ぶととても小さい小舟に見えてくる。それほど学園艦が大きいのか。だが私立川跡学園高校は大きい方ではない。その逆で小さいほうだ。他の学園艦の上陸船は並ぶとどう見えるのかなどと考えながら凪は上陸船に乗り込んだ。
「はいこれ。朝ごはんです。」
「あっ有難うございます。すみません用意してもらっちゃって。」
「あ、いえ。私が上陸船の出港時間を言っていなかったせいでもありますし。」
そういえは聞いていなかった。こんな大事な日に出発時間を知らないことに気づかない自分は怠慢であると思う。まあ知っていたとしても昨日の晩の状況を考えれば寝坊していただろう。そう牡丹に言おうと思ったが、腹が空いていたのでおにぎりを食べることを優先した。
おにぎりは明太子で非常に美味だった。明太子だけでなく、米にも出汁を染み込ませてあり、しょっぱいだけでも辛いだけでもなく、深い味わいになっていた。
「有難うございます、会長。とてもおいしかったです。」
起こしに来てくれた上、朝食まで用意してくれたのだ。お礼を言うのが当たり前だろう。
「いえいえ、大丈夫ですよ。それより凪さん。そろそろ牡丹って呼んでくださいません。これからも長い付き合いになるでしょうし。」
確かにそうだ。一人で同好会をしていく上で、生徒会と話し合うことも多いだろう。昨日や今日のように二人でどこかにいくことも増えるかもしれない。凪もずっと会長と呼び続けるのは少し辛い。行く先には局長や組合長、なんなら会長という立場の人もいるだろう。紛らわしすぎる。凪は牡丹からの申し出を受けることにした。
「は、はい。牡丹、さん。」
今まで人の名前を呼ぶことが少なかった凪には少し恥ずかしく、顔が赤くなってしまっていた。決して百合的なものではない。長期のコミュ障の結果だ。
「はい。凪さん。」
牡丹の期限が少しよくなっていた。生徒会でずっと会長と呼ばれ続けるのが少し飽きていたのかもしれない。ちょっと新鮮だったようで、顔が少し赤い。やはり側から見ると百合カップルにしか見えないような構図だた。だから大事なことなのでもう一度決して百合的なものではない。
◇ ◇ ◇
上陸船から降りると、近くの砂浜に陸上自衛隊から買い取ったのか軍事用らしいが停まっていた。武装は取り外してあったが、どうみても戦闘用のヘリコプターであるという風格は残っていた。
「ほら行きますよ、凪さん。」
そう言って牡丹が手を引いてくる。手を引かれた先はそのヘリコプターだった。
「来ましたな。離陸準備に入ってくれ。」
と七郎が操縦手に司令を出す。
ヘリコプターの中にいたのは蝶野一尉もいた。
「どうしたんですか、このヘリコプター。」
気になったので聞いてみる。
「ああ、これのことか。これはAH-1Sと言ってね、自衛隊が後継機に切り替える時にスクラップにする予定だったから買い取ったんだよ。戦闘用だけあって機動性が良くて重宝してるんだよ。」
なるほど。ヘリコプターは旧機体だったようだ。だが凪にはどうでもいいことだった。ただ、ヘリコプターに乗ったことのない凪にはいきなり旧機体のヘリコプターというのは不安だった。隣にいる牡丹は平然としている。生徒会長の余裕なのだろうか。
「あの、これ本当に飛ぶんですか。後継機に切り替える時のものって。」
日本の自衛隊事情をよく知らない凪からすれば古い機体というのは不安だった。
「大丈夫だよ。日本の機体だからね。確か八十年代に作られた試作車がまだまだ動くという話も聞いたことがあるからねえ。古さと故障は結び付かんよ。」
試作車ということは車、もしくは戦車。八十年代ということは九○式戦車の試作車両であるSTC-1のことだろうか。戦車とヘリでは少し違うような気もしたが、少し安心できた。
「では飛んでくれ。」
「はい。行きますよ。」
と操縦手から返事が返ってきたと思った瞬間、期待がふわっと浮いた。飛行機にすら乗ったことのない凪にはとても不思議な感覚だった。状況としては乗り物が変わっただけであまり変わらないかもしれないが、速度の速いエレベーターが動き出したと表現するのが一番近いかもしれない。
飛行はとても安定していた。七郎の言う通りしっかり動く機体のようだ。
そのまま順調に移動し、文科省にたどり着いたのは九時半だった。
今から文科省の話し合いだと思うと、また緊張してきた。こんなに緊張したことは今までないかもしれない。
凪達四人は丁重に通され、局長室前まで案内された。牡丹が扉をコンコンとノックした。
「川跡学園高校生徒会長の鎌田牡丹です。」
「同じく川跡学園高校二年生の天馬凪です。」
「どうぞ。入ってください。」
扉をキィっと開けた。これからついに文科省との話し合いがは時まる。
どうも、butai yukkuriです。うp主はリアルの方でテスト期間なのですが、、、こんなの書いてるんじゃねぇ!って話ですよね。あと戦闘シーンを書いていかないとと思ってるんですが、あと1ヶ月は戦闘パートに入らないと思います。現在リア友と試合会場の地形を考えている最中なので、楽しみに待ってくれるとありがたいです。ですが、地形などはもっとしっかり考えたいので、もし間に合わなかった時の為に新しい二次創作を書き始めました。原作は中二病でも恋がしたい!になります。ですがそちらは気まぐれに書いていくので、不定期になると思います。つまるところこのシリーズのストックを減らさないように合間合間に書くというイメージです。投稿はいつになるかわかりませんが、楽しみにしてくれるとありがたいです。
リクエストや苦情を感想として書いてくれれば、できるだけ対応します。ですが、文字数を多くしろという要望には多分答えられません。霧のいいパートで区切ると基本的に二千文字代になっているから投稿しているので伸ばすと倍になるんですが、そのペースで投稿してしまいますと地形の作成が間に合わなくなりますので。うp主は暇でダメな学生ではなくちゃんと忙しくしている学生なのですから。