寫眞機の少女(しゃしんきのしょうじょ) 作:butai yukkuri
〜試合を申し込みます!〜
〜試合を申し込みます!〜
家に着いた凪は、戦車道を実施している学校のリストを作っていた。難しいものだ。インターネットで戦車道実施校と調べても、有名校ばかりがヒットして無名校なんてなかなか出てこない。サンダース高校に関しては、二軍や三軍などにも公式サイトがあり、画面を圧迫してくる。それに加え、大洗女子学園の優勝から時間がたっていないからか、一ページ目は全て大洗女子学園関連のまとめサイトが占めていた。この状態は凪からすれば不幸だが、戦車道を始めるきっかけを凪にくれたのも紛れもない大洗女子学園だ。大洗女子学園の優勝がなければ、凪はそもそも戦車道に興味すら示さなかっただろう。
そのようなたわいのないことを考えながら検索結果のページを進めていくと、ある学校のサイトが凪の目に止まった。
椿原高校という名のその高校は、創始者が日本人であり、他国の干渉を一切受けることなくやってきている学校のようだった。戦車道のページは、部活欄にあった。戦車は日本戦車を使い、私立川跡学園高校と同じで課外活動扱いになっているようだ。
戦車道を授業として実施している学校からすれば練習試合対象としてリストに加えさえされない。だが凪からすればとても都合の良い相手だ。
凪は早速椿原学園に電話してみる事にした。
電話をかけると、生徒会に繋がった。どうやら椿原学園でも生徒会が実権を握っているらしい。戦車道部の責任者を尋ねると、やはりというべきか部長に繋げられた。
「はいもしもし。お電話変わりました。椿原学園戦車道部部長の桑智柑奈です。」
戦車道の隊長ということで、西住まほのような雰囲気の人が出てくるかと少し身構えていたが、とても優しい声だった。
「私立川跡学園高校戦車道同好会会長の天馬凪です。本日は突然のお電話すみません。」
戦車道の試合となれば、学園艦が動くのだ。そんな大きなことを決める電話を突然かけるというのは非常識だろう。まだ戦車道の事で電話をしたとわ言っていないが。いやそもそも突然電話をかけたことに軽く謝罪するのは当然のことだろう。
「いえいえ、大丈夫ですよ。今日はどのような御用件でしょうか。」
「今日は戦車道の練習試合を申し込めないかと思い電話させていただきました。」
「そうでしたか。失礼ですが、私立川跡学園高校という学校は聞いたことがないのですが。」
当たり前だろう。私立川跡学園高校はまだ一回も試合をしていない。なんの特色もない学校の名前を知っている人の方が珍しいだろう。
「はい。我が同好会は今年発足したばかりの同好会でして。」
「そうでしたか。試合となれば学園艦が動く事になるので少々待っていただけませんか。今部員に生徒会室へ学園艦の予定を確認させに行きますので。」
「はい。お願いします。」
ちなみに凪の方は既に牡丹へ連絡してある。夏休み中に寄港してほしい港を募集したが、特に希望がなかったので凪の好きにして良いという事だった。
しばらく待つと、電話の向こうから息を切らせた音が聞こえてきた。どうやら生徒会室まで走って行って帰ってきたらしい。別にそんなに急いでもらわなくてもよかったのだが、いちいち口を挟むことでもないだろう。
「今確認が取れました。今週末の日曜日なら大丈夫ということでしたが、そちらは大丈夫ですか。」
カレンダーを見ると、現在は夏休み三週間目の水曜日。三日も準備期間があれば問題ないだろう。
「来週末ですね。大丈夫です。で、ここからが大事なんですが、試合場所と試合形式はどうしましょう。」
試合場所。凪はどこにどんな地形の場所があるなどのことはほとんど知らない。
学園艦の学校が建設され始めてから、生徒の家族や商店など多くの人が学園艦に移り住んだ。その時に空いた土地にたくさんの戦車道用の地形が作られた。実際の市街地を使うこともなくはないが、多くの試合で廃村や廃街が使われるのはその為だ。
その為使いたいと連絡すればそれだけでいい話なのだろうが、できることなら使ったことのある人から予約しておきたい。
「そうですね。そちらはできたばかりの同好会ということでしたので、私の方から予約しておきましょう。どのような地形が良いなど何か希望はありますか。」
「いえ、特にありません。というより試合をしたことがないのでどのような地形が良いのかわからないので。」
「そうでしたね。では、できるだけ初心者にも優しそうな地形にしておきます。次に試合形式でしたか。こちらは五両の戦車を保有していますが、そちらはどうでしょうか。」
「こちらの戦車は一両です。ですが、日本戦車が相手ならば別に大きな問題はないと思います。」
日本戦車は装甲が薄いことで有名だ。日本戦車で装甲の厚い車両など、終戦直前に計画されていた自走砲であるホリ車くらいしかないが、そのホリ車は終戦によって試作車の完成直前に製作が中止された為、戦車道で使うことはできない。その為凪のカールグスタフ pvg m/42でも問題なく相手可能と判断した。
「そうですか。こちらは部員の練習の為に五両全てを出したいのですが。」
「はい、わかりました。そういうことなら、フラッグ車とその護衛はどうしても戦い辛いフラッグ戦ではなく、殲滅戦の方がいいですね。」
率直に言うと、凪は相手を舐めていた。マズルフラッシュも発砲音もほとんどない凪のカールグスタフ pvg m/42なら日本戦車を五両なら同時に来ても射程に入った瞬間から正面を撃てば問題ないと考えていた。
「いいんですか。そちらは一両でしょう。いえ、フラッグ戦だったとしてもそちらはフラッグ車を待機させておけないのでしたね。それなら全車向かって行った方がやりやすいということですか。ではお言葉に甘えて殲滅戦でお願いします。」
凪と柑奈は観戦者収容数、予算や新聞社の人をどれほど招くかなど細かいことを相談し、試合会場が決まれば凪ではなく私立川跡学園高校の生徒会の方に連絡するということで、電話を切った。
相手の情報収集と試合用弾丸など準備を三日でしなければならない。凪は牡丹に相手校とそのうち試合場所の連絡が来ることを伝え、牡丹の好意で生徒会に情報収集を任せると、準備に取り掛かった。
来週と再来週もしくはその後も少しお休みするかもしれません。テストの点数取れなくて留年はしたくないので。ただ、お休みすればその分テスト勉強の合間にちょくちょくぶらしゅアップしていきたいです。
試合の地形はある程度固まって来ました。お楽しみに!
ではまたいつか。