戦場の鳥   作:コスモゼロ

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プロローグ

空に憧れたのは何時からだろうか…

 

あの広い空で、"飛んでみたい"。

 

これが俺の只一つの望みだ……………

 

 

 

 

 

 

 

 

約20年前、この国"オードル"は、隣の大国"トロント"と戦争をした。

結果は、和平と言う形で幕を閉じた。

トロントのトップと、トロント軍上層部の意向は違ったらしい。

戦争がしたい軍部と戦争をしたくない首相陣で軋轢(あつれき)が生まれ、遂には軍部が暴走を起こし、トロントが一方的に宣戦布告。

宣戦布告直後の奇襲攻撃で痛手を負ったオードルは序盤は苦戦を強いられ、押されていた。

しかし、不死鳥(フェニックス)と呼ばれた航空部隊が、徐々に戦線を押し戻し、軍部の影響で軟禁状態に有ったトロント首相を救出。

両国政府の誤解を解き、終戦へと向かったと言う。

 

 

俺の親父は、その航空部隊に居た。

 

親父は、トロント首相の脱出を手助けする為、首相を乗せ撤退する味方部隊の殿(しんがり)を務め……死んだ。

 

俺は一人に成っちまった。

 

"お袋が居るだろう"って?

 

…お袋は、俺を産んで直ぐに死んじまったよ。

 

親父が戦争に行っちまったもんだから、俺は従姉の家に寝泊まりさせてもらってた。

 

ラジオからはその日の戦局。天気予報。

 

うんざりしてたさ。

だから、いつも家の側の高台で空を見てた。

 

家にいれば、叔父からは"軍"なんて物が有るから戦争が起きると嫌と言う程聞かされる。食事中だろうと就寝前だろうと。嫌と言う程だ。

 

家の側の高台からは、近くの基地から出撃する戦闘機が良く見えた。

 

戦争が終わった日。親父の部下だという男が俺を訪ねて来た。親父の死を知らせる為に。

俺はその日、初めて泣いた。俺の実の家族は二度と帰って来ないと知ったから。俺は、一人に成っちまったから。

 

 

戦争が終わった。世間は喜びに満ちていた。もうすぐ10歳になろうという自分には、余り嬉しく感じなかった。

悲しみが深く心に満ちていた。

 

しかしある時、ふと考えた。

親父がどんな空を飛んでいたのか。

コックピットのガラスから見る空はどんな風に見えるのか。

空を飛ぶ感覚はどの様な物なのか…………

 

 

 

それから、20年という長い歳月が過ぎた。

今俺は、戦闘機のパイロットとして新任士官として、この星の裏側、シェルジ大陸にある同盟国、オストマント共和国のリザーブ空軍基地へと赴任した。

 

俺のTac nameはフェンリル。

エンブレムはグレーの狼。

所属は、《連合空軍第5航空隊第2小隊》通称"コブラ隊"。俺はその2番機、コールサインはコブラ2。

部隊章は、キングコブラだ。




次回、第一話「着任、そして開戦」
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