Qどうしてそんなに速く走れるの? A呼吸の仕方があるんだよ   作:競輪

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プロローグ

 俺には生まれた時から額に痣があった。まるで炎のようなその痣のせいで小学生の頃いじめられそうになったが、逃げた。

 返り討ちに合わせるのは簡単だが母はいつも言っていた、人を傷つけてはいけません、と。向こうがやってるんだからやっても良いとは思ったが、弱い者いじめはかわいそうなので、走って逃げた。誰も俺には追いつけない。

 ずっとそうだ。俺は人より力が強くて人より足が速い。人の体を透けてみて、悪い所を当てたり動きを先読みしたり出来る。

 母さんの癌をこれで見つけて早期治療を受けさせた。母さんは『美好には特別な力があるんだねぇ』と褒めてくれた。

 けど、人が透けて見えても面白くもない。生き物が透けて見えても脂が乗った旬の魚を見つけたり虫が入った野菜を見分けたり雛のオスメス分ける仕事の手伝いしたりとかにしか使えない。

 力は強いが、意味を見出したことはない。むしろ面倒事に巻き込まれるし、いじめっ子が羽交い締めしようとしてきた時、気をつけないと傷つけてしまう。

 だから、走るのが好きだ。透き通る世界なら曲がり角で人にぶつかる心配もないし、走ってる間はいじめっ子も追いつけないから一人の世界を楽しめる。

 誰も追いつけないから、その時だけは世界で自分が一人だけになる。世界が自分のものになった気がする。

 だから、走るのは楽し──

 

「……は?」

 

 真横を通り過ぎる人影。追いついて、追い抜いたその影はドンドン距離を開けていく。

 

「な、あ………っ!」

 

 慌てて走り出すも、追い抜かれるなんて初めての行為に呼吸が乱れる。差が、開く。開いていく。追いつけない!

 

 

 

 

「…………ウマ娘?」

 

 漸く追いついた彼女に話を聞けば、彼女は己をそう称した。なんでも普通の人間と違い、高い身体能力……特に走力に秀でた人種らしい。たしかに筋肉の付き方が普通の人間とは違う。

 だけど、だから仕方ないなんて思える訳がない。何度も挑んだ。何度も負けた。

 走り方が悪いのもあるだろうが、身体能力の差だ。

 自分が普通の人より身体能力が高い理由を、改めて透き通る世界で観察してみた。

 

「………肺………いや、息か」

 

 意識したことはなかったが、自分はどうやら他の人より大きく息を吸っている。そして空気を全身に巡らせている。これは、無意識にやってた。

 それを意識してやる。より効率的に、もっと効果的に。そして………

 

 

 

 

「………勝った」

 

 漸く、一勝。とても楽しかった。

 彼女もそうらしい。だから、彼女はウマ娘が集まる場所に向かうらしい。ただの人間でしかない俺は、当然その学校にはいけない。速い奴らが沢山いるらしいのに。

 

「そうだ、見習いトレーナーになろう」




中澤美好《なかざわみよし》
生まれた時から痣を持つ特異体質。身体能力が非常に高いが緑壱程ではない。無意識に行っていた呼吸を意識的に極めウマ娘クラスの身体能力を誇る。

幼馴染ヒロインは誰にしよう。名前短縮により候補増加

  • スペ(正統派)
  • ライス(妹)
  • スズカ(しっかり)
  • マルゼン(姉)
  • ゴルシ(理解不能)
  • タキオン(研究者)
  • ウララ(後輩)
  • オグリ(大食い)
  • ルナ(ライバル)
  • マック(お嬢様)
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