Qどうしてそんなに速く走れるの? A呼吸の仕方があるんだよ 作:競輪
その少女にとって、思い出深い少年が居る。
出会いはまだ幼い、小学生の頃。走りの練習をしていた頃、偶然見つけた相手。
その少年が、トレセン学園に来る。というか、来た。
「…………来ないな」
「あの、会長。わざわざお呼びにならずとも良かったのでは?」
その少年、幼馴染を呼び出したのだが来ない。昼頃は何でも病院に行っていたらしい。怪我でもしたのかと思いきや病人を見つけた側らしい。相変わらず、目ざとい。
「年が近いと言っても、理事長がお認めになったのなら問題はないかと」
「ん? ああ、そういう訳ではないんだ………彼は、私の古い友人でね」
生徒会室に残ったエアグルーヴの言葉にそう返すと、意外そうな顔をした。まあ、人間とウマ娘は同年代で交友関係を持つ者は稀だ。何せ身体能力がまるで違う。だからこそ、彼とは仲良くなれたのだろうが。
「まあ、だから個人的な繋がりなんだ。君は先に帰ってくれても構わない」
「いえ、会長を残して先に帰るわけには……」
気持ちはありがたいが……今は少し、迷惑に思えてしまう。どうせなら二人きりで会いたい。それに、エアグルーヴは足が確かに速いし……。
「すいませーん。色々あって遅れました」
「な、おい貴様! 入室前にきちんとノックしないか!」
と、不意にノックもなく扉が開かれる。エアグルーヴの叱責にすいません、と謝罪が返って来た。
「相変わらずだな、君は………」
「相変わらず? って、あれ………ルナ?」
「久し振りだな、三好」
「生徒会長ってルナだったのか……」
懐かしい、幼い頃のあだ名を呼ばれ頬をほころばせるトレセン学園生徒会長シンボリルドルフ。中澤三好の幼馴染だ。
「トレセン学園に就職希望しておきながら、知らなかったのか?」
「ルナとまた走りたかっただけだし」
一応は教職員だが年の近い事もあり敬語ではなく普段どうりに話すことにしたらしいエアグルーヴ。そんな彼女に対する返答に、シンボリルドルフは思わず身が震えた。
「ん、んん! まあそれは兎も角、ようこそトレセン学園へ。歓迎するよ、三好」
「おう、これからよろしくなルナ」
「時に、よければ明日学園内を案内しようか?」
「あ、それはたづなさんがやってくれたから」
「…………そうか」
ションボリルドルフ。
「まあ、それでも解らないことがあったら頼るよ」
「そうか」
耳がピンと立ち尻尾が揺れ嬉しさを全身でアピールしてくるシンボリルドルフ。人間の嘘なんかを表情筋や視線の動き、脈拍で読み取れるくせに鈍感な三好は学園を自慢に思ってるんだな、と微笑む。
「そういえば、喘鳴症のウマ娘を見つけたと聞いていたが彼女は大丈夫だったのか?」
ふと、エアグルーヴが気になったことを尋ねる。三好は初期も初期の段階だったから大丈夫だったと教えてやった。
「しかし、よくわかったな」
「俺は目が特別で。モノを透かして見れるんだ」
「透かして? 何をバ鹿な……いや、だが実際発見し………っ!?」
と、反射的に体を隠すエアグルーヴ。まあ物を透かしてみると言われたらそれをイメージしてしまうだろう。
「安心しろ。裸にゃ興味ない……筋肉の付き方なんかは興味あるけど」
「………触ったりするのか?」
「しなくても解る」
「そうか………」
「と、ところで三好……次の休日は、暇だろうか?」
「まあ、まだ若いからって理事長には土日休むように言われてるけど」
「良かったら、私が街を案内しようか?」
「マジで、頼む!」
嬉しそうな顔。まあ今はエアグルーヴがいるし、積もる話はその時で良いだろう。
勝つ事は当然だった。
幼い頃からそう鍛えられてきた。だから公式には記録に残らない幼いウマ娘達のレースで勝っても、特に何も思わなかった。いや、嘘だ。最初は嬉しかった。でも何も思えなくなった。何時しか勝つことを凄いことではなく当たり前とされ、一緒に走るウマ娘達は1位ではなく2位を狙うようになったのに気付いた時から。
走るのがつまらなくなって来た。何か少しでも歯車が狂えば周りの期待など無視してやめていたかもしれない。やめなかった結果、切磋琢磨しあえるウマ娘達に出会えたのだから、狂わなくて良かった。
狂うには色々理由があるだろう。逆に言えば、今回狂わなかったのも、きっと色んな可能性の1つ。でもとびっきり変り種に違いない。
知っているかい? 私の君への第一印象は、嫌な奴、何だ
楽しそうに走ってるのが見えた。
彼は自分の事なんて知らぬだろうに、たまたま見えたその景色があてつけのように見えて、抜き去った。
まあ彼は、自分どころかウマ娘すら知らなかったが。
ウマ娘にも匹敵しかねない彼は間違いなく人間の間では負けなかっただったろう。そこがまた、癇に障った。だが、ウマ娘という存在から見ればまだまだの速さ。それを見せつけた。きっと、彼も走るのが嫌になって……そう思っていたのに、明日もこの道を通るのか、そう聞かれた。その目に宿る熱に、闘志に、思わずはい、と応えた。
まあ、その日の夜にどうせ長くは続かないと思っていたけどね
だけど足は自然とその場所に向かった。待っていた貴方と、走る。
走る。走る。走る。
私が勝った。貴方が負けた。
私が勝って。貴方が負ける。
それでも走る。貴方は走る。
私に勝つ為に走る。私に勝つ為に、日に日に速くなる。
嗚呼。何て愛おしい。なんて満たされる。
貴方が私の背にいると思うだけで、無限に走れる気がする。
なのに貴方は私を置いて先に行った。
たった一度の敗北。だけど確かな敗北。
怖かったのは、それを知られることではない。怖かったのは、貴方が私から離れる事。
だから、もう負けてやるつもりはない。
貴方の前を走り続ける。だから、貴方は私を追い続けてほしい。
もっと速く為るために、己を鍛える為に、トレセン学園に入った。家からの命令以上に、貴方の前にい続ける為にという理由の方が大きかった。
だけど、貴方と離れて、思ってしまう。自覚してしまう。
貴方が私を越えようと追い続けてくれるのが嬉しいくせに、それが寂しい。
女としてみて欲しいのに、貴方は私を女としてみていない。
これでも結構容姿には自信があったのだが………。ああそれと、追加でいうと本当は学園には来てほしくなかった
だって、トレセン学園には速いウマ娘が大勢いる。容姿の整った女の子達が沢山いる。
貴方がその中の誰かを選んでしまわないか不安で不安で仕方ない。
「まずは次のデートで意識させるところから…………遠いなぁ、ゴール。まったく朴念仁め……」
そんな風に愚痴をこぼすも、やはり休日が楽しみで仕方ない。
楽しみにしてたんだ。だから………
「所でルナ、サイレンススズカって知ってるか?」
だから一発ぐらい蹴っても問題ない気がするんだ。君はどう思う?
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幼馴染ヒロインは誰にしよう。名前短縮により候補増加
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スペ(正統派)
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ライス(妹)
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スズカ(しっかり)
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マルゼン(姉)
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ゴルシ(理解不能)
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タキオン(研究者)
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ウララ(後輩)
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オグリ(大食い)
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ルナ(ライバル)
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マック(お嬢様)