「ちょっとシャーペン貸してくれない?」
「え、あ、はい。どうぞ」
俺は近くにいた男子から話しかけられた。どうやら彼はシャーペンを忘れてきたようだ。確か、須田さんだったはず。彼からは数回だけ嫌がらせを受けたのであんまりいい思い出はないけれど。
……でも、よ~く思い出してみると、彼のそれらの行いは全て金髪の命令に従っていただけだったな。彼を嫌うのは筋違いなのかもしれない。
ドン!!
突然、拳とテーブルがぶつかり合う激しい音が発生した。音のなる方を見てみると、須田さんが机を思い切り叩いていたのだ。一体どうしてだろうか? さっき先生に注意された怒りが遅れてやって来たのだろうか。
じーっ……
彼は恥ずかしくなったのだろうか、スマホを取り出しひたすらに見続ける。…………なんとも悲しい事件だったな。
……あれ? どうしたんだろう。なんか、スマホを見続けている彼の顔が突然驚きの表情に変わったんだけど。突然机をたたいたり、急に表情を変えたり。どうやら思っていたより彼はユニークな人物なのかもしれない。
まあ、それはともかく。俺は今、結城さんに昼休み呼び出されているのだ。今はその時のことを考えよう。
何の為に呼び出されたのかは、ちょっと分からない。でも、気を付けないといけないことがある。
何が何でも結城さんをあの狂気モードに変えてはならない。学校での彼女のイメージに傷をつけることになってしまうから。
彼女の頭をなでるのはもちろん、彼女の髪の毛に触るようなことも避けたほうがいいだろう。それだけは絶対に回避しよう。
数日前
「どうして、このような物が…… これでは、肖像権の侵害ではないか」
私、結城由愛菜はかすかな怒りと共に道に張られたポスターを睨みつける。一般人の顔を紙にはりつけ、それを公共の場にさらすなんてあってはならない事だ。
ここだけではない、あちこちに、ポスターが貼ってある。これは、警察に連絡しなくては。
それにしても、この顔どこかで見たような……あっ、これは若村頌平だ。ポスターの下の方を見ると、本名が書かれている。
一体誰がこんなことを。…………少なくても、あの子じゃないな。若村頌平に嫌がらせを受けてはいるものの、彼には良識がある。むしろ、良識が強すぎて自分の中の良識と周りの空気とのギャップに苦しんでいるんだ。私に、何かできることはないだろうか。後でいろいろ考えてみよう。
……ポスターに、URLが記されている。これを検索したら一体どんなサイトに飛ばされるのだろうか。
検索してみたいのはやまやまだが、ウイルスサイトに飛ばされてしまう可能性もある。仕方ない、警察に知らせる前にまず、若村頌平で検索して情報を集めてみるか。
若村頌平で、検索っと。
一番上の検索結果は……これは、誰かのブログかな?
大人気グループ『イケメンダンサー』の研究生まとめ。~ずーるのブログ~
どうしてこんなものが、一番上の検索結果として出てくるんだ。とりあえず、次だ。ほかの検索結果も見てみよう。
だめだ、どれもこれもアイドル研究生についてしか書かれていない。それらは後で調べるとして、今は警察に連絡しよう。
『こちら警察です。ご用件は何でしょうか』
「○○県○町○○番地付近にて、個人の情報をさらすことを目的としたポスターが複数枚張られていて、そこには不審なサイトへと誘導するURLも記されている。それらについて調査してもらえないだろうか」
『その声は、結城由愛菜様! はい、分かりました。直ちに調査を行います』
「ああ、助かる」
これでひとまずは安心だ。後は、若村頌平と関係のありそうなアイドルグループの調査、そしてあの子の心のケアに関してだな。
……その前に、疲れた心を癒したい。そうだ! 彼の姉妹に癒してもらおう。彼女たちはとても可愛く、癒しのオーラを放っている。彼女たちと会えば、きっと私も元気になるだろう。
「結城様なのです! また来てくれたのですよ♪」
「……残念だけど、お兄ちゃん今いないのよね。せっかく来てくれたのに……」
私に対して満開の笑顔で迎えてくれるゆるふわ妹、そして申し訳なさそうな悲しい表情をしたふわふわ妹。……とても、癒される。
「ああ、構わない。今度は違う味のプリンを買って来たぞ。みんなで一緒に食べないか」
「結城様と一緒にプリンっ! なのですよ♪」
ああ、いい。彼の家はすごくいい。愛くるしいゆるふわ妹と、ゆったりとしたふわふわ妹。尊い二人が私を歓迎してくれる。
好きなキャラは?
-
カレン
-
結城さん
-
金髪
-
主人公