俺と暴走妹   作:Atlantis

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金髪、つかの間の幸福/結城由愛菜のビジネス/フリーダム・カレン

 

 

 

「それで、結城さんが来てくれて……」

「ああ、やっぱり結城さんは素敵だよな。この前も……」

 

「……おいお前ら、俺の近くでしゃべってんじゃねえよ。うるせぇんだよ」

 

「あっ、すみません」

「あっち行って食べようぜ」

 

 

 全く、あいつらは空気を読めねえ奴らだな。昼休みに俺たちの近くで食事するなんて。確か、山田と山本だったっけ。正直ピンとこない奴らだ。このクラスにはイケてないやつらばかりで困る。

 

 俺の名前は若村頌平(わかむらしょうへい)。髪を金髪に染めてはいるが、まあ学校の中じゃ、ごく普通の学生だ。……けど、俺には裏の顔がある。

 

 

 

 

 

 

「東山さん、おはようございます」

「おお、若村クンか。元気があって、愛想もいい。お前は将来有望だな」

 

 学校での授業が終わり、事務所にやって来た俺。

 

 今あいさつしたお方が東山博次(ひがしやまひろつぐ)さん。今まで数多くのプロジェクトを生み出し、そのほとんどを成功に導いている。

 

「いえいえ、私なんかはまだまだで。いつかきっと、あなた様のお役に立って見せます」

「おお、良い心がけだ。……ところで、お前にちょっと話があるのだが。レッスン終了後は空いているか?」

「ええ、もちろんです! 今のうちに心の準備をしておきます」

「ほっほっほ、そうかね。レッスン、頑張るんだぞ」

「はい!」

 

 東山さんはすごい人だ。今存在する有名アイドルグループのほとんどは彼が生み出してきたものだからだ。俺の所属する『イケメンダンサー』も、もちろん東山さんによって生み出されたグループである。

 

 俺はまだ研究生だけど、東山さんから直接に将来有望だと言われたからには、もうそろそろで昇格するだろう。『イケメンダンサー』も、今はたまにテレビに出る程度だけれど、時がたてば次第に有名なグループになっていくだろう。

 

 ……つまり、俺の輝かしい将来は、約束されたも同然というわけだ。

 

 この世は、俺のために作られたのではないだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

「……この期間の間に……で逮捕された人数は47。昨年の同時期に比べて20%増加している。昨年と今年の違いでこの事件に関係のありそうな出来事は……と……で、……を防ぐためには……」

 

「釈放された人たちの就職率は……で、そのほとんどは……が困難になっている。この事実は十分……に使えそうだ」

 

「この情報をもとに……を作り、福屋さんに監修してもらってから……を東山さんに提出するのが吉か。上手くいってくれるといいのだが……」

 

 

 ピルルルルルルッル……

 

 

 目覚まし時計の音が私の部屋に響く。まさか、夜にセットしてから一度も寝ることなく止めることになるとは思わなかったな。熱中すると時間を忘れてしまう、私の悪い癖だ。

 

 私の名前は……で『……』の社長の……。そして、……の身でありながらビジネスに身を投じる者……、だめだ、頭の中ですらまともに自己紹介出来ない。

 

 だが、まともに挨拶出来ない事が商の者として致命的ではあるが、家の権力と私の努力でどうにかごまかしている。お父様ほどではないが、私もいくつかの事業を経営しているのだ。

 

 今回の件も、新しい事業立ち上げの為の行動である。今日はとりあえず、授業が終わったら福屋さんにこのディスクを見てもらい、手直ししてもらおう。

 

 

「由愛菜お嬢様、朝のお時間です。まずは、朝の景色をご覧になられてください」

 

 色々考えていると、執事がやってきて私を外に連れ出そうとする。……そうだな、いったん事業の事は忘れてゆっくりとした時間を過ごそう。

 

 

 すがすがしいほどの青い空。彼や彼の妹たちも同じ景色を見ているのだろうか。

 

 近くにはいつも執事がいて、ビジネスに身を投じる私。そして、執事が居なくてビジネスにもかかわっていないだろうけれど、素敵な妹たちに囲まれている彼。

 

 ……立場は全然違うのに、同じ景色を見ることが出来る。なんだかおもしろいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結城様は素晴らしいのです! 結城様は最高なのです! 結城様、大好きなのです!」

 

 お兄様の異変に気付いて、前に進む一歩を踏ませるきっかけを作ってくれるなんて。カレンは一生ついていくのですよ。……そうなのです!!! お兄様と結城様を結び付けてしまえばよいのですよ。そうすればカレンは結城様とずっと一緒。ああ、妄想がはかどるのですよ。

 

「カレンちゃんは、今日も元気だねぇ~……でも、カレンちゃんは今学校の中だよ。学校は素敵な人への愛情を叫ぶべき場所じゃないと思うんだ」

 

 はっ、そうでした。こんなところで口にしてしまえば、結城様が好きなことがほかの人たちにばれてしまうのです。ライバルを刺激することにつながりかねないのですよ。……ヒマリちゃん、なかなかの先見の明なのです。

 

 今はとにかく、我慢の時なのです。お兄様が頑張るのを応援するのが今のカレンの役目。だから、今は我慢の時なのです。

 

 ……いえ、やはりお兄様が心配です。今のお兄様は闇落ちしている状態。平気でうそをつく状態です。カレンが目を覚まさせるべきなのです。

 

 いじめられっ子を偽装して結城様からの寵愛を頂こうだなんて、発想がえげつなすぎるのです。まずはお兄様の闇を払う必要があるのです。……そのためにもお兄様に自分の闇を自覚してもらわなければならないのです。

 

「ディスク、ディスク、ディスクなのですよ! 私は今すぐにでも隠し撮りした映像をディスクにしてお兄様に見せつける必要があるのです! 自分のしてることのえげつなさを、自覚してもらうのです!」

 

「ヒマリちゃん、私は今からディスクを購入するのです。行ってくるのですよ」

「……カレンちゃん。いま、朝の学級の時間だよ。出ていったら不味いんじゃないかと……」

 

「善は急げなのです。思い立ったら吉日、すぐに行動に移すことが成功を掴むことにつながるのです。逆に言えば、思った時にすぐに行動しない人は成功しない人なのです。カレンは賢いので、すぐに行動して成功を掴むのですよ」

「わたしは、もう止めないよ……」

 

 待っているのです、ディスクよ! カレンが今、購入してあげるのです。

 

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