特におキヌちゃんのキャラに違和感があるけどこの辺りが限界
原作終了後を想定しています。
連載終了から年を取らないまま2021年、平成が終わっても未だ彼が十代なのには目をつむって下さい。
「安奈みら先生の連載が読めるなんてインターネットって面白い」
事務所のパソコンに向かっていたおキヌがポロリと溢した。
先日ファンである小説家の作品を読めるサイトがあるとクラスメイトから聞いて、一部のプロも利用するアマチュア向けの投稿サイトにユーザー登録したのだ。
「ん~、あの小説家先生だっけ? 今時は紙の本は苦戦してるらしいわね」
ホントは人気の面で「以前ほど売れてないようだし」と言いたかったのだが、家事の一切を取り仕切る少女の不興を買いたくはないのか美神にしては珍しく言葉を選んだ。
「読書はやっぱり紙の本でゴザルよ。槙島聖護先輩も「紙の本を買いなよ。電子書籍は味気ない」と言っているでゴザル」
そこへ手にしていた本を閉じ、座っていたソファーの横に置いたシロが話に加わる。
「いやアンタ先輩って何処に先輩要素有るの? あと犯罪者のセリフじゃない」
興味無さげだったきつね娘も相方のツッコミ待ちとしか思えないセリフに思わず突っ込み話に加わってしまった。
ちなみに彼の愛読書を中心にフェアを開催したところ売れ行きが十倍になったらしく、パイセン呼びもしたくもなるだろう。
「勿論ファンとして出版されたら買います!! でも連載を追いかける"らいぶ感"がいいんです!!」
フンスっとおキヌにして珍しく鼻息荒く主張するが、「そうでゴザルか」とか「ふ~ん」とか気の無い返事を返すけものフレンズ達
そんな二匹の態度もサイトの新着チェックに忙しいおキヌはさして気にしていなかった。どうやら既に彼女はどっぷりと嵌り込んで手遅れのようだ。
そんな妹分達の様子を横目に見て呆れながらも書類仕事の手を止め話の輪に加わる美神、なんだかんだで寂しがりやな彼女は身内を構いたいのだ
どれどれとおキヌの後ろからスクロールするディスプレイを覗き込んだ美神に一瞬何かが見えた。
「んっ? ちょっと戻して」
これは無視してはいけないと騒ぐ霊感、おキヌへ指示を出して画面を凝視する
「えっ、あっ、はい。何か面白そうなタイトルでもありましたか?」
「面白そうと言うよりも何か無視できないタイトルがね」
数行戻したところでおキヌも先ほどは目が滑ったそのタイトル見つけクリックする
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生活苦で給料上げて下さいと交渉したら「役立たずの荷物持ちには時給255円で充分よ」と言われたので独立したら大成功!! ~「荷物持ち兼囮兼壁役が居なくてチームが回らない、給料上げるから戻って来て」と言われれてもかわいい部下が夜も放してくれないので今更見た目だけのクソ女の元に戻る気はありません~
「ちわ~っス 皆パソコンの前に集まって何をしてるんスカ?」
「「「「………………」」」」
「…、じゃっ、お疲れ様でした~」
間が良いのか悪いのかそこへ出勤してきた横島、さっそく皆とコミュニケーションを取ろうと近づき…ディスプレイを覗き込むやいなや踵を返して立ち去ろうとするも
だが全てを察した美神の神通鞭に巻き取られて逃走に失敗した
「何を書いとるのか貴様ぁーーー!!!」
普段の横島ならば美神の剣幕に萎縮しそうなものなのだが、今回は珍しい事に食い下がる。
「だって悔しいじゃないっすかぁ!!
職場の底辺から独立して成り上がりザマーの元祖はこの俺っすよ!!
GS美神こそがこの分野のパイオニアなんですよ、世界が漸く俺達に追いついたんです!!」
「そんなパイオニアなんか欲しくはないわよっ!!」
おがーん!!と目の幅の涙を流しつつだが妙に気合が入った横島に一瞬気圧された美神だが、そのプライド高さからすぐさま持ち直して額をぶつけ合うような距離で反論する。あーだこーだと言い合う二人を余所に他のメンバーはざっとあらすじを読んで
「このテンプレなら拙者はハーレムメンバー入り確実だから構わないでゴザル」
「えっ?ひょっとして私も誘われちゃうのかしら? 今のところはフリーなんだけど、一応は彼氏候補が居るんだけど」
「私はどうなんでしょうか? 交友関係を考えるとザマーされる側になりそうですね」
「やけに冷静ね。作者にもよるけどおキヌちゃんみたいにどっちにもいい顔してると大抵ザマーされる側になると思うわ」
何だかんだでみな話について行ける辺り全員小説投稿サイトの利用者のようであった。
部屋の隅には暴力に屈して床に倒れ伏す横島
今回は特に実害とか無いしちょっと酷いんじゃないかなぁと思ったのか、おキヌ達のジト目が美神に突き刺さる。
実際内容自体は主人公の初期ポジション以外は完全なフィクションで別に誰かを悪く書いているわけではない。ただ関係者が読むとどうしても一人の女性の姿が目に浮かぶのは彼女が築き上げたイメージの問題なのでしょうがないのではなかろうか?
気まずい空気を誤魔化すように美神はいつものように憎まれ口をきいた
「フン、横島君の癖に小説家デビューを狙うなんて生意気なのよ。だいたい普段碌に本を読まないクセにまともな文章を……」
だがそこで最も活字から縁遠そうな少女から擁護の声が上がる
「そんな事はないでゴザルよ。先生はああ見えて結構な読書家でゴザル」
「はん、どうせ大人の絵本ばっかりなんでしょ」
心底くだらなさそうに美神は切って捨てるがシロは弟子として師匠の名誉の為に食い下がる。
「いやいや、それが小説も結構読んでいるでゴザル。実は面白そうな本が有ったのでこっそり借りてきたでゴザルが拙者には難しい漢字が多くてなかなか読み終わらないでゴザル」
おキヌ殿の読む本よりは漢字が多いでゴザルよとナチュラルに現役JKをディスる外見JCな中身小学生
「アンタなにしてんのよ。しかしソイツとアンタが読む小説なんて想像付かないわね」
「歴史物が数冊と剣術物が一冊だけ有ったでゴザルよ。今読んでいるこれは女剣客が主人公で結構面白いでゴザル」
これでゴザルとシロが先ほどまで座っていたソファーから持って来た新書サイズの本。本屋のブックカバーに包まれたそれをタマモは捲り目にしたタイトルは…
四次元ドリームノベルズ 69
『大江戸ヱルフ無頼帳 淫血刀の哭く夜』
横島の受難は終わらない。
落ちが弱い。
まあ書きたかったのは作中のタイトルこそが全てですが