outwardの世界に異世界転生   作:越波

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念のため。本作品はPS4/steamなどで発売されている「outward」の二次創作です。
著者が久々に友人とドハマリしすぎてその語りたい熱と異世界転生好きが高じて作成した内容になっています。


第1章 はじまりの[ケルネソス]編
第1話 目覚めればそこは


 目が覚めると、そこは海岸だった。

 

「む‥‥ここは‥‥」

 

 ぼんやりと頭が覚醒していく。キョロキョロと辺りを見渡し、自分がパンイチな事に気付く。

 

「‥‥全く心当たりはないが‥‥この展開に見覚えがありすぎる」

 

 嫌な予感だ。

 

 ただの異世界転生なら、まだ理解出来る。だが異世界転生の中には、やり込んだり直前までやっていたゲームの世界に(或いは酷似した世界に)転生するパターンもあった。

 

 だとするなら、この序盤のシチュエーションは、俺の知るあるゲームの導入部にバッチリ該当するのだ。

 

 ――outward。日本ではそこまでメジャーでもないが、発売後一時期はサバイバル要素のあるリアルなDARK SOULS、みたいなノリで紹介された事もあった。

 

 まあ、ふたを開けてみれば洋ゲーによくある説明不足、調整不足が目に付くマゾゲーで、比較されたDARK SOULS程は知名度も上がらず、結局DLCもPC版でしか展開されなかったのだが。

 

 ただ、ソフト一本あれば友人と画面分割で同時プレイ出来るRPGとして、俺は何だかんだ楽しんでいた。悪いところは愚痴を言い合いながら、それでも楽しめる部分を目一杯に。

 

 だが、これが本当にoutwardなのだとすると、確認しておかなければならない事がある。

 

 俺は心の中でコントローラーのタッチパッドを押し込んだ。

 

 ――何も起きない。

 

 いや、現実なら当たり前なんだが、outwardだからな‥‥念には念を入れて今度はタッチパッド左のキーを押し込むイメージを思い浮かべる。

 

 その瞬間、脳裏にぶわっと見慣れた画面が浮かび上がった。

 

 ――インベトリだ。

 

 そしてそこに表示された情報に、俺はがっくりとうなだれた。

 

 ポケット(0/10)

 

「くそっ、重量制限解除modは反映されてないのか‥‥」

 

 元々、俺はこのoutwardをPS4で遊んでいたが、マップ切替時に度々挟まるローディングの長さとDLCが発売されない事実に、ついPC版に浮気してしまったのだった。

 

 いざPC版を触ってみると、ローディングは元より有志各位が作ったmodが余りに便利すぎ、PS4版に戻れなくなってしまう程だった。

 

 その中でも俺たちが最後に解禁したのが、重量制限解除modだった。

 

 outwardはサバイバルゲームである。空腹、渇きゲージがあり、寒暖の気候差によって風邪も引けば熱中症で倒れる事もある。

 

 それらを回避するには食料・水と気候差に耐えうる衣類、また敵に対応する薬品や装備の類までリュックに詰めて持ち歩かなければならない。

 

 そこで立ちはだかるのが重量制限だ。

 

 リュックやポケットには決められた重量までしか物が詰め込めず、過剰に詰め込めば一歩もその場から歩けなくなる。

 

 かの有名なオープンワールドRPGの雄、SKYRIMでも似たような問題は多々起こったが、あれは戦利品の持ち帰りが主な問題でサバイバルに関わる物ではなかった。(向こうもmodでサバイバル要素を追加する猛者はいたが)

 

 その不自由を楽しむのがoutwardのゲームデザイン――ではあるのだが、何周も遊び込んでアイテムやスキル収集に励む頃にはただただ面倒な制約にしか感じられなくなってくる。

 

 そういう訳で、メインシナリオを終えたキャラクターで漫遊する段になって俺たちは重量制限を解除したのだった。

 

(とは言え、久々にやると全然物が拾えんな‥‥)

 

 序盤の展開は既に嫌と言うほど知っている。落ちていた[松明]を拾い、夕闇を照らしながら歩くと小川に行き当たる。そこで上流まで遡った所で、俺は妙な物を見つけた。いや、見つからなかった、というべきか。 

 

(む‥‥[銛]がない)

 

 本来ならここには採取アイテムであるはずの[銛]が立てかけられているはずだった。

 

 ゲームと異世界の差なのか?と疑いたくもなるが、[松明]はあったし、打ち上げられた水死体の様子もゲームと変わらなかった。

 

「‥‥なるほど。マルチプレイ中なのか」

 

 outwardは複数人プレイに対応している。だが、リソースはソロだろうがマルチだろうが同量しか用意されないのだ。つまり“取った者勝ち“なのである。友人同士ならまだしも、見知らぬ他人とプレイしづらいとされる所以だ。

 

「クロさんならいいんだが‥‥」

 

 思わず相方の名を呟きながら、元来た道を引き返す。

 

 と言うか、マルチプレイだとこのゲームは協力しなければ前に進めないのだ。

 

 何せ、マップ切替で町やダンジョンに入ろうとしても、全員揃わないと移動出来ないのである。移動希望者は他のメンバーが揃うまで、その場で「他のプレイヤーを待っています」の画面のまま待たされる。敵に襲われようが毒にかかって死にかけていようが一切斟酌されない。息を合わせて同じ場所に集合するより他ない。

 

「それをゲームならともかく異世界でやるってのは‥‥」

 

 お互い気心の知れた相手ならともかく、見知らぬ相手とやるのはかなりの心労だ。現実より酷い。現実なら意に添わない相手なら、解散して別の相手を探すなり出来るだけマシなのではないだろうか。

 

(いや、待てよ? もしかすると解散自体は出来るのかもしれないな)

 

 ゲームでもホスト側・ゲスト側を問わず[分割終了]コマンドがあったのだ。それに類する事が出来てもおかしくはない。

 

 でないと、強敵を相手に片方だけ死亡した場合など詰んでしまう。そんな状態でもマップ切替は全員揃わないと認められないのだから。

 

 やがて、小さな丘の上に灯りが見えてくる。俺は小走りに丘を駆け上がり、そこに横たわる人影を見て大きな嘆息をついた。

 

「いや、誰だよ‥‥」

 

 そこには見るからに女子高生といった年代の女の子が、粗末な寝袋にくるまって眠っていたのである。

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