outwardの世界に異世界転生   作:越波

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第10話 ベンダベル要塞の罠

 俺(おじさん) ★→前回との差異

  近接武器:残忍な斧 大理石の盾

  間接武器:リカーブボウ

  頭:★スカベンジャーのスカーフ

  胴:ギャンベゾン

  脚:厚手のブーツ

  近接耐性:★25→27

  近接攻撃力:24

  間接攻撃力:31

 

  スキル:★ハンターの目、★スナイパーショット

 

 ミカ

  近接武器:マチェーテ、語彙目録

  間接武器:木の弓

  頭:パールバードの仮面

  胴:神秘的なローブ

  脚:学者のブーツ

  近接耐性:18

  近接攻撃力:12

  間接攻撃力:26

 

  スキル:ルーン[ファル]、ルーン[デズ]、

      ルーン[シム]、★ルーン[エゴス]、

      ★[マナの源]、★[秘儀の構文]

 

「ぶぇっくしょい!」

 

 久々に戻ってきた[ケルネソス]の平野に、俺のくしゃみが木霊する。

 

 さもありなん。温度が俺の[寒さ耐性]を超えて下がっているのだ。

 

「うわっ‥‥真っ白‥‥」

 

 そう。折悪しく[ケルネソス]には冬が訪れていた。

 

「まずいな。ミカ、茶飲んどけ」

 

 スタミナ回復用に[ビタースパイシーティー]は沢山作っている。俺とミカは揃って香ばしい茶色のお茶を飲み下した。

 

 今はまだ何とかなっているが、温度が更に下がると洒落にならない。スリップダメージで毎秒HPが削られ始めるともう最悪だ。町かダンジョンに逃げ込まない限り、惨めな野垂れ死にが待っている。

 

 さっきのお茶には[寒さ耐性]を一時的に15上げる効果があるのである。旅の必需品だよ、マジで。何処でも材料採れるのが有り難すぎる。

 

 こうなると、さっさと建物かダンジョンに入ってしまった方が良い。確かダンジョンの気温は季節の影響を受けず一定だったはずなのだ。

 

 俺たちは国境を離れると一路西へと進んだ。

 

 [エンメルカルの森]のマップ最大のランドマークが中央の湖だとすると、[ケルネソス]最大のランドマークは[交わりの山]だ。

 

 地脈(レイライン)の影響なのか、山の周辺が毒々しい紫色に染まっていて、生える植物が真っ白という異様なコントラストを誇るからである。

 

 しかも大昔の遺跡なのか、山の中腹から螺旋状のレールのようなものがグルグルと山をデコレーションしていて実にクレイジーで近寄りがたい雰囲気を放っているのである。

 

 プレイ当初、何の情報もなしに始めた俺はてっきり毒か放射能に汚染されるんじゃないかビクビクしながら足を踏み入れたのをよく覚えている。

 

 そんな奇天烈な景色も、今は全て雪で覆い尽くされてしまった。気分的にはこっちの方がずっと安心して見ていられる風景だと思う。

 

「そういやミカ、よくこの辺のサイケデリックな地面の色に驚かなかったな」

 

 雪中行軍、横を行くミカに話しかけると、ミカは鳥頭を傾げ、ヤレヤレと肩を竦めて見せる。

 

「驚いてたってば。おじさんが有無を言わさずズンズン歩いて行っちゃうからでしょ」

 

 それに、と続ける。

 

「一般人が魔法を使えるようになる場所なんだ、って聞いてしね。確かにって思うじゃん」

 

 なるほど、ミカはミカで驚いてたのか。

 

 それを口にする程の余裕がなかったんだろうな、と思う一方、今なら口に出来る余裕も出て来たんじゃないかな、とも思う。

 

「でも、音楽はこっちのが好きかなー」

 

「えぇ? 暢気で締まらないから、俺は森の方が好きなんだけどなぁ」

 

「その明るいのがいいんじゃん」

 

 そう、こんな風に。

 

 

 

 

 

 目的の[ベンダベル要塞]までは結構な距離があった。ほぼマップの東端から西端まで横断しているのだから当然かもしれない。

 

 俺たちはその中に入った廊下の所で立ち止まっていた。

 

「はぁ、やっと寒くなくなったな」

 

「‥‥何か流れで入っちゃったけど、外で準備しなくて良かったの‥‥?」

 

 ミカは廊下の右手先にいる衛兵のようなNPCが気になるようだ。まあ、あれが衛兵じゃなく野盗だとわかってるからかもしれない。

 

「だいじょーぶ。これから詰め所のボスに話し掛けない限り、絶対襲って来ないから」

 

 この[ベンダベル要塞]は、実はただの盗賊の巣窟なのである。と言うか[ケルネソス]地方に人の住む拠点は幾つかあるが、漁村[シェルツォ]以外は全部野盗の巣だ。どんだけ荒廃してんだよと笑うしかない。人口比で言うと、一般人1に対して野盗3-4でモンスター2ぐらいだ。

 

 俺はここまで遭遇した野盗を、今回は出来るだけ倒すようにしていた。メインは弓技[スナイパーショット]だ。ミカはMP回復手段が限られてるので出来るだけ温存している。

 

「ここでは[ルーントラップ]使っていいんだよね‥‥」

 

「ああ。確実にやろう」

 

 そして、野盗から手に入れた二束三文の武器や防具はクラフトメニューで手動解体して、[鉄クズ]や[亜麻布]に変えてしまっている。

 

(これをこうしてっと)

 

「‥‥おじさんは何作ってるの?」

 

「うん。俺もトラップ使おうかと」

 

 ミカにはああ言ったものの、話し掛けるまで誰一人襲って来ないというこのダンジョンはoutwardでも特殊な部類である。そして、だからこぞ使える手があるのだ。

 

「よし、出来た」

 

 俺はありったけの材料で作り上げた[仕掛け線の罠]を、詰め所で椅子に座るボスの足元にセットした。

 

「‥‥おじさん?」

 

「おう。ちょっと待ってな‥‥結構数があってさ‥‥」

 

 思った以上に野盗から鉄クズと亜麻布が取れたので、罠も大量に作れてしまった。設置に時間がかかる。

 

「いや、どんだけよ! もう床中罠でいっぱいなんだけど!」

 

 まだまだ。廊下もいっちゃうからね。どんどん敷いちゃおうね。

 

 俺はそのままバックで廊下を進むと、反対側の鉄格子の前で槍を持って仁王立ちしている連中の足元間でビッチリ罠で埋める。

 

「よし、準備完了。ミカはそこの戸口にトラップ敷いといて」

 

 ミカはドン引きしながら白い目を俺に向けていたが、やがて渋々[ルーントラップ]を指定の場所に設置した。

 

 結果?

 

 会話イベント終わった瞬間真っ直ぐ突っ込んで来たボスが次々罠に引っかかり、ミカの[ルーントラップ]で吹っ飛んだ所で終了。鉄格子前の奴は振り返ったら既に倒れていた。

 

 俺たちはひとしきり爆笑した後、我に返って不発の罠を回収するのだった。

 

 残る2箇所のボスもやる事は変わらない。赤い甲冑の男も魔女も等しく罠の前に儚く散った。

 

「おじさん‥‥重いんだけど‥‥」

 

「うーん、やっぱもうちょいリュック拡張したいなぁ」

 

 最終的に安い武器をかなり捨て置いたにも関わらず、俺もミカもリュックの重量オーバーで鈍足になってしまった。

 

 ちなみに外が寒いのを忘れて凍え死に掛けたのは後でミカに本気で怒られた。スミマセン‥‥。

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