俺(おじさん) ★→前回との差異
近接武器:残忍な斧 ★深紅の盾
間接武器:リカーブボウ
頭:スカベンジャーのスカーフ
胴:★毛皮の鎧
脚:厚手のブーツ
近接耐性:★27→30
近接攻撃力:24
間接攻撃力:31
スキル:ハンターの目、
スナイパーショット、
★フィットネス
ミカ /は移動/戦闘で切り替え
近接武器:マチェーテ、語彙目録
間接武器:木の弓
頭:パールバードの仮面/★神秘的な頭巾
胴:神秘的なローブ
脚:学者のブーツ
近接耐性:18/★22
近接攻撃力:12
間接攻撃力:26
スキル:ルーン[ファル]、ルーン[デズ]、
ルーン[シム]、ルーン[エゴス]、
[マナの源]、[秘儀の構文]
★フィットネス
「世知辛いわぁ‥‥」
漁村[シェルツォ]である。
あれだけ2人が必死になって持って帰った装備類は、銀貨600枚程度にはなった。
[ベンダベル要塞]の攻略は別のクエストの達成条件になっている為、そっちのクエスト報酬を整理しても、そんなぐらいである。
ちなみに新しく覚えた[フィットネス]は、[シェルツォ]で覚えられる最大HPを25増加するスキルだ。ミカはまだ85だが、俺はこれでMPに振った分が戻ってきた事になる。
「[派閥]だっけ。グループ入ってしばらくしたら、あの要塞の奴らにこの町が襲われるんでしょ? 良かったじゃん」
ミカは町中という事で頭装備を外している。「可愛くないから」らしいが、毎回装備し直すの面倒じゃないんだろうか。
‥‥いや、でも俺もゲーム時代は移動装備と戦闘装備切り替えてたしな。そんなもんかもしれない。
それはともかく、俺が気にしているのは次の目的地である[風の陰謀団の塔]だ。似た名前の遺跡が[エンメルカルの森]にもあったが、あっちがエイリアン共の魔窟なのに比べるとこっちはスキル習得の[師範]が引きこもってる家なので全然違う。
どうもoutwardはこういう“一見して何の施設なんだかわかりにくい“ロケーションが多い。その上、マップ上のロケーション名とダンジョン名が違ってる事もあるので、クエストの目的地を調べる時に大混乱するのである。
話が脱線した。
つまり、次の[師範]からスキルを習得するのに、金が足りないのだ。
「次のスキルは俺も取っときたいんだよなぁ」
まず、現在進行形で苦しんでいる[寒さ]や、今後砂漠で苦しむ事になる[暑さ]の耐性を上げる[耐候性]は2人とも取っておきたい。
更にブレイクスルースキルだが、全てのバフ効果を単純に倍加する[シャーマンの共鳴]がぶっ壊れ過ぎているので是非確保したいのだ。
しかしブレイクスルースキルを2人分となると、それだけで1000枚も銀貨が必要になる。スキルツリー上、ブレイクスルーまでの間にあるスキルも取得しないと覚えられないので(その内の一つは[耐候性]だから問題ないが)合わせると合計銀貨1300枚‥‥。
(倍以上稼がないとならんのだよなぁ‥‥)
そして更に悲しいのが、宝箱からランダムドロップする品も、地方マップ毎にある程度決まっているという事実だ。初期マップである[ケルネソス]地方の宝箱からは、今俺が求めているクラスの装備は手に入らない。売値も単品で銀貨100枚を超える事は稀だ。
となると、どちらかが今回の旅ではブレイクスルースキルを諦めなければならない。
俺はチラリとミカに視線を向ける。彼女は灯台に設置した[錬金キット]で、教えたばかりの[命のポーション]を作っている。
(‥‥[ルーン魔法]教えた時も一所懸命だったし、楽しそうだったな)
楽しいってのは、良い事だ。
outwardは癖のあるゲームだが、癖を乗り越えれば結構味のあるゲームだと思う。特にミカは普段ゲームなんてしないタイプだろうに、よく着いてきているじゃないか。
――そうだよな。俺は経験者で、彼女は初心者なのだ。より楽しめた方が、今後お互いに取って精神的に良いだろう。
俺は大きく吐息をつき、頭の中をリセットする。
ブレイクスルースキルを取るのがミカだけなら、2人で[耐候性]を取っても銀貨800枚。それなら手持ちに200枚稼げれば良い計算だ。その程度なら、これから[陰謀団の塔]までの道行きで十分貯まるだろう。
(なら、確実に通り抜けられるように準備しないとな)
俺はインベントリを開くと、クラフトメニューで物資の作成に取り掛かった。
「で、おじさん灯台で何作ってたの?」
ミカは寒さを紛らわせる為に[ビタースパイシーティー]を飲みながらそう呟いた。急ぐ理由もなし、若干[寒さ耐性]があるので頭は[神秘的な頭巾]を被っている。
「ん? ああ、ちょっとこれから行くダンジョンの敵が面倒なんでな。そいつら用の対策アイテムだよ」
俺たちが向かっているのは、マップ上で[要塞]と書かれた場所だ。ただ、実際中に入るとダンジョンの名前は[幽霊の通路]となっているのだが。
そう説明すると、ミカは興味なさげに「ふーん」と鼻を鳴らした。
「ミカは幽霊信じないタイプか」
「信じてもないけど、これゲームでホンモノの幽霊とは関係ないでしょ」
正論だ。確かにoutwardの幽霊はやたら自己主張激しく紫色に発光してるし、別に怖くもない。ただ、[エンメルカルの森]で避けたように物理耐性が高くて手こずるので敬遠していただけである。
「ミカなら魔法で倒せるから問題ないんだけどな。おじさんは斧と弓しかないんで1つ工夫する」
[幽霊の通路]があるのは、[交わりの山]の更に東にある泉の北側だ。マップ上だと北東エリアになるので、マップ北西端にある漁村[シェルツォ]からはマップ横断するぐらい歩かなければならない。
「‥‥ホントに、馬とか鹿とか、乗り物ないの頭おかしいよね‥‥!」
みんな鳥頭使う気持ちわかったろ、と尋ねると、ミカは「うーん」と唸った後「正直、わかる」と苦笑いして見せた。
「さて、じゃダンジョン入ったし早速お披露目しようかね!」
俺は[幽霊の通路]に入ると、手近な鉄格子の前に立ってインベントリからアイテム――[火の布]を選択した。
途端、俺の手にした[残忍な斧]が轟々と炎に包まれて赤く輝き出す。
「ハッハッハッ、エンチャントファイヤー!!」
俺は鉄格子を開き、中で所在なさげに佇んでいた[ゴースト]に襲いかかった。
「うわぁ‥‥こういう事かぁ‥‥」
「いや、時々は援護してくれよ? これ見た目より大した事ないから」
そう。すぐ作れる代わりに効果も薄いんだよね。
俺の情けない暴露に、ミカは嘆息しながら[ルーントラップ]で援護の体勢に入ってくれた。