outwardの世界に異世界転生   作:越波

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第14話 ミリアドの骨

 スロープ前のウェンディゴの巣は氷漬けでやや神秘的な風景だったが、スロープの横穴を通った先は微グロ――ややグロテスクな光景だった。

 

 元は地下水脈に接した洞窟なのだろうが、棲みついた生き物の卵なのか粘液なのか、生々しく脈動する紫色の肉塊が所々蛍光色に発行して辺りを照らしている。

 

「うっわ、キッショ‥‥」

 

 しかし自分に向けられたのでなくても、何で若い女の子にこういう罵詈雑言吐かれるとビクッと反応しちゃうんだろうね。世の中にはこういうのを悦んでしまう方々もいるようだが、俺はそこまでの境地に達していないようだ。普通に何か心が痛い。

 

「たぶんホラーの巣なんだろうな」

 

「おじさん、魔法でこういうの焼き払えないのかなぁ!」

 

 生理的な嫌悪で鳥肌でも立っているのか、ミカがその場でジタバタと悶える。

 

「残念だけど無理だろうな。outwardで背景に干渉って出来なかったはずだし」

 

 個人的に「汚物は消毒だー!」ってやりたい気分はわかるけどね。

 

 Diabro3とかだと蜘蛛の卵とか気味の悪い肉塊とかガンガン壊せるんだけどね。ただ、グロ度も上がるからミカが耐えられるかはわからない。

 

「後でもう一回来る事になるから、掃除しとこうか」

 

 俺たちは物陰に隠れていた歩くイソギンチャク共――[イルミネーターホラー]を一掃し、一通りアイテムを回収した所で奥へと続く穴蔵へ足を踏み入れた。

 

「何か‥‥雰囲気変わったね。こういうの見た事あるかも。石とか鉄とか掘る奴だよね?」

 

「そうだな、ここらは鉱山跡って事になってるらしい」

 

 入り口は廃墟だし、今は化け物しか棲んでないが。

 

 俺が数歩足を進めると、陽気な英語音声が流れ、メッセージウィンドウが開く。

 

「ビックリしたぁ。何かのイベント?」

 

「そそ。この先に困ってる奴がいるんで、人助けだ」

 

 角を曲がると、樽の上に俺を呼び止めた元凶がいるので話しかける。

 

「‥‥え、ガイコツに見えるんだけど‥‥」

 

「ガイコツだな」

 

 ミカは少し戸惑ったようだが、前に“良いイマキュレーター“を見た事があるせいか、一応納得はしたようだった。

 

 ガイコツ――ミリアドは俺に身体を探してほしいと依頼して来たので、承諾する。

 

「敵じゃないんだよね?」

 

「ああ。戦う事も出来るけどね」

 

 ジョークセンスはないが、気のいい奴なので俺は毎回助けている。

 

 ここからは坑道中をミリアドの身体を探して探索する事になる。途中、ミリアドと袂を分かった緑色のスケルトンや坑夫ゾンビが襲ってくるので撃退するが、[イルミネーターホラー]と比べると全然楽勝だ。

 

「あー、これ結構ダルいし、しんどいね。おじさんいなかったら迷ってたかも」

 

「お互い様だろ」

 

 坑道は複雑に分岐しているし、閉塞感があって生身だと確かに辛い。俺もミカがいるから気張っていられるが、ソロだと心細かっただろう。

 

 やがて、全てのパーツが揃い、ミリアドはテレポートで消えてしまった。

 

「ガイコツの人、どこ行っちゃったの?」

 

「このダンジョンのメインの祭壇。今までは光る壁があって進めなかったのが、これで通れるようになってるんだ」

 

 俺たちは一度入り口の[ウェンディゴ]の巣まで戻ると、スロープに空いたもう一つの横穴に足を踏み入れた。

 

「やった! 豪華な方の宝箱じゃん!」

 

 途中、[華やかなチェスト]という良い物が手に入りやすい宝箱があるので回収する。

 

 ミリアドは緑色に輝く妖しい祭壇で、瞑想に耽っている。クエスト的にはここでお別れなので放置して出るだけだ。

 

「帰りはこっちの出口な」

 

 俺たちは祭壇脇にある出口から、[ケルネソス]のフィールドに出た。

 

 外に出ると砦跡のような鉄格子の門が目の前を塞いでいるので、レバーで解放する。

 

「これで近道完成! 次に隠者の爺さんトコ行く時は、こっちから行くのがいいよ」

 

 門を潜ったミカは、流れる川や山並みを見ながら物珍しそうにしている。俺は地図を広げるように言った。

 

「今いるのは、この[古代の墓]な」

 

 俺は地面に略図を描きながら、マップ北部の中央東よりのロケーションを示した。隠者のいる[風の陰謀団の塔]は東端だ。

 

「帰りはこっからまっすぐ西に行って、橋渡ればすぐだな」

 

 横軸の移動距離は変わらないが、行きしの行程は川や山沿いに南下させられてしまう為、縦軸の移動が少ない分近道になる。

 

 後は、[幽霊の通路]も[邪悪な墓]も近道を開通しているのは同じだが、[邪悪な墓]はミリアドが浄化したせいで敵が出ないというのがメリットになる。

 

「‥‥でもおじさん、これ、[モントカーム砦]って場所の前通るよね‥‥敵いたりしないの?」

 

「中を通るわけじゃないからな。外をうろついてる野盗と変わらんよ」

 

 だがまあ、と俺はリュックの残量を確認した。

 

「‥‥おじさん?」

 

「せっかくだし、行き掛けの駄賃で砦落として帰ろうか」

 

 ニッコリ笑うと、ミカは呆れたように笑い「程々にね」と頷くのだった。

 




ミリアドの骨は、結構outwardでも好きなイベントクエストですね。骨はめっちゃ探し回りましたが‥‥。
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