outwardの世界に異世界転生   作:越波

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装備描写が面倒でステータスっぽいものを。
‥‥楽なんですがこれで文字数稼ぐのは何だかなぁ、という感じです。
※登場人物一覧を本編に混ぜたくない派でもあったりします


第8話 森の金策

 翌朝である。

 

「うぅ~ん、よく、寝れなかった‥‥」

 

 ミカは眠い目を擦りながらテントから出て来るが、絶対気のせいである。outwardの睡眠はマップ切り替えと同じ暗転ローディングだから寝つきの良さは関係ない。

 

 インベトリから画面を切り替えてステータスを表示すると、睡眠欲求は100%になっていた。むしろすこぶる快眠だった事になる。

 

 時間経過で減ってしまった[空腹]と[乾き]を水と[ガベリージャム]で癒しながら、俺は手持ちの銀貨を数えた。

 

 金塊1つに、銀貨13枚。金塊は銀貨100枚で交換出来る(売買時に利益も損失も出ない)実質的な兌換通貨なので、通算銀貨113枚となる。

 

 正直、全く足りないにも程があるが、寄り道ほぼなしで来たにしてはそこそこ稼いでいる方だろう。

 

「ミカ、取りあえず今日から[ルーン魔法]取得の為に動く訳だが‥‥」

 

 寝ぼけ眼のミカは奇怪にぎこちない動きで水飲み場から水を掬って飲んでいる。

 

「‥‥何してんだ?」

 

「顔‥‥洗えないかなって‥‥思ったんだけ、ど‥‥!」

 

 多分無理だと思う。水を掬って懐に入れる動作は存在するが、水を被るというアクションはないからだ。

 

 ――と、思っていたのだが。

 

 ザバァ!という音と共にミカは頭から水浸しになった。

 

(そう言えば“雨に濡れる=水浸し“という状態変化はあった。あれが適用されたのか)

 

 思った以上の惨事にミカはキャーキャー黄色い悲鳴を挙げているが、シャワーの代わりにはなるかもしれない。俺は記憶の片隅にこの事をしまう事にした。

 

 

 

 

 

「取りあえず、リュックを買う」

 

 ミカはまだ乾ききらない濡れ髪を傾げてこちらを見つめる。「[ルーン魔法]は?」と今にも聞こえてきそうだ。

 

「まあ聞いてくれ。どの道、今の金だと[ルーン魔法]全部は覚えられない。絶対に金策は必要になる」

 

 「で、だな」と、俺は話を区切った。

 

「俺たちはこれから[エンメルカルの森]を回って、金になりそうな素材やアイテムを集めて来ては売り捌く採集生活を始めようと思う」

 

 まあ、ゲーム的にはいつものコースだ。このoutward、レベルがない以上敵を倒す理由が余りない。アイテムを回収して売る意味はあるが、大体のドロップアイテムは売却額も非常に安く、労力の割に合わないのだ。

 

 だから高く売れるアイテムを落とす敵を除けば、ぶっちゃけ戦うだけ損とも言えてしまう。高く売れるアイテムだけを狙って集める方が、戦うよりもずっと生産的なのだ。

 

「その為にも、沢山持って帰れるようにリュックは良い奴に買い換えるんだ」

 

 先の事を考えると、移動用装備と戦闘用装備を切り替えるような事もあるだろう。騎乗動物がないoutwardならではのテクニックだが、リュックの容量が少ないとそういった選択肢も取れなくなる。

 

 という訳で[遊牧民のリュック]を2つ買う。しめて銀貨100枚。これだけでほぼ財産全て吹っ飛ぶ計算になるが、必要経費だ。その分沢山素材やアイテムを持って帰れば良いのだ。

 

 俺の[間に合わせのリュック]は質が悪い扱いなのか、店が買い取ってくれない対象だから捨てるしかない。簡単に作れるクラフトアイテムの中にはこうした“金にならない物“が結構存在する。

 

 一方、ミカのリュックは多少金になったので、今の[シンプルな弓]を売って[リカーブボウ]に買い換えた。近接ビルドがモノになるまでは弓で間に合わせる事に決めている。

 

 あっさり買い物は終わったが、そのまま俺は町中を探索して、[ゴミの山]から幾つかの装備やアイテムを回収した。ミカの目が冷たいを通り越して心配げになっているが、outwardの常套手段だから! 現実世界ではやらないから!

 

 結果、今の俺とミカの装備はこんな感じである。

 

 俺(おじさん)

  近接武器:鉄の鎚鉾 丸い盾

  間接武器:リカーブボウ

  頭:麦わら帽子

  胴:略奪者の鎧

  脚:厚手のブーツ

  近接耐性:22

  近接攻撃力:18

  間接攻撃力:31

 

 ミカ

  近接武器:マチェーテ

  間接武器:木の弓

  頭:パールバードの仮面

  胴:労働者の服

  脚:労働者のブーツ

  近接耐性:7

  近接攻撃力:12

  間接攻撃力:26

 

 ミカの防御力が紙だが、どうせ買い換えるなら魔法使いとしての装備に買い換えたいので、良いものがドロップするか金が貯まるまで放置する事は彼女の了解を得ている。

 

 逆に俺も前衛を努めるには貧弱過ぎる。せめて軽装鎧の[カザイト]シリーズが揃えば多少なりとも盾になれるのだが‥‥それも金が貯まり次第、だ。

 

 町の門を出た俺たちは、昨日[アルファ・コーラルホーン]になすりつけて倒した野盗の死体からドロップアイテムを回収しつつ、地方マップの南側に下って行った。

 

 大体マップの中央に湖が鎮座し、その北岸に[ベルグ]が居を構えている訳だが、大半のランドマークは湖より南に散らばっているからだ。

 

「取りあえず、楽して稼ぐ為に今から狙うのは、①[コパル] ②[桂化木] ③鉱石 ④宝箱だ」

 

 特に宝箱は、戦闘せずに回れる奴がいい。一度取った中身はゲーム内時間で数日経過すれば再充填されるので、その間は別の地方マップに移動して、そちらでも同じように採集荒稼ぎすると時間の無駄が省ける寸法だ!

 

「‥‥植物が生えてくるのはわかるけど、宝箱の中身って誰が補充するのよ‥‥」

 

「知らん。もしかすると宝箱は貝みたいな生き物で、中の財宝は真珠のようなモノなのかもな」

 

 俺が適当なホラを吹くと、ミカは想像してしまったのか顔を青ざめさせながら慌てて二の腕をゴシゴシ擦った。鳥肌でも立ったのかもしれない。

 

 [エンメルカルの森]の厄介な所は、地図上真っ直ぐ行けそうに見えるのに険しい山肌のせいで大きく迂回しなければならない所だ。

 

 まず狙うのは湖の小島にある宝箱である。[シャコ]がいるのでコイツは隠れてやり過ごす。[ケルネソス]の海岸より起伏がある分、電撃弾は避けやすい。

 

 次に湖の南側まで橋を駆け抜けて、更に南の崖の上に立つ[風の陰謀団の遺跡]。と言っても宝箱があるのは遺跡の周りにある尖塔の中だ。遺跡はヤバい生き物が住処にしているので今はまだ厳しい。

 

 そこから崖を滑り降りて、朽ちた風車の脇にある洞窟に入る。

 

 この小さなダンジョンは[イマキュレートのキャンプ]と言うのだが、ちょっと野暮用があるのだ。

 

「‥‥え‥‥お、じさん‥‥アイツ、ヤバい奴なんじゃ‥‥」

 

 ミカが指さすのは、薄闇の中で読書に勤しむ戦闘型エイリアンみたいな生き物だ。ちなみに今のミカは鳥頭なので余り人のことは言えない。

 

「紹介しよう。彼は“良いイマキュレート“君だ」

 

 各部超トンガってるし、小脇にゲルググのビームナギナタみたいなの抱えてるけど、イイ奴なんだよ。

 

 俺は優雅に片手を挙げながら近付くと、彼に話しかけた。

 

 元々英語音声も聞き取れないが、イマキュレートの言葉は英語ですらない気がする。メッセージウィンドウで読み取れるから問題はないが。

 

 彼には敵対行動と、彼が誰なのかを訪ねる選択肢があるが、ここでは友好的な選択肢を選んでおく。

 

 続けて「何か手助けが要るか?」的な事を聞かれるので、やんわり断っておく。物資はともかく、彼の教えてくれるスキルはかなり欲しいのだが、ここで断っておく事で後々更に追加報酬がもらえるのだ。

 

 会話を終えると、やる事がなくなるので近くのテントの宝箱を開けて中身を回収する。

 

「‥‥あんな見た目なのに敵じゃないんだ‥‥」

 

「コイツが特殊なだけだからな。さっきの遺跡の奥とかに同じ見た目のヤツがいるけど、そいつは容赦なく殺しに来るから」

 

 ちなみにここはダンジョン全体が安全地帯なので、見張りを立てなくても熟睡可能である。傷ついた時には重宝する安らぎスポットだ。

 

 そう説明してやると、ミカは深々と溜め息をつきながら「おじさんが勧めてくるトコは大体頭がおかしい」と暴言を吐かれた。

 

 ぬう、解せぬ。

 

 この日はキャンプを出た後、東に回って更に二つの宝箱を開け、リュックをパンパンにして[ベルグ]へと帰り着いた。

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