就活か魔王か!? 殺虫剤無双で愛と世界の謎を解け! ~鏡の向こうのダンジョンでドジっ子と一緒に無双してたら世界の深淵へ~   作:月城 友麻

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プロローグ. 異世界への鏡

「このままじゃ無職だ……、人生終わりだ……、冗談じゃないぞ!」

 就活が終盤になりながら、いまだに一つの内定も出ていなかった俺はまるでゾンビのように部屋でのたうち回っていた。

 

 ピロン!

 

 薄暗い部屋の中でスマホが鳴った。誰かが俺を呼んでいる。

 

 スマホを無造作に取って確認すると……サークルの飲み会のさそいだった。

「内定出てる奴と酒なんか飲めるかってーの!」

 スマホをベッドに投げつけ、頭をかきむしってベッドに倒れ込んだ。苦しい……。誰か助けてくれよ……。

 息が苦しくなり、大きく深呼吸を何度も繰り返した。

 ダメだ! この精神状態では何やってもうまくいかない……。酒飲んで気晴らしは確かにイイかもしれない。

 

「お前ら! 俺の愚痴を聞け――――!」

 そう叫びながら、俺はすっかり暗くなった東京の路地を駆けた。

 

        ◇

 

「何が『ご健勝をお祈りします』だ! お前本当に祈ってんのかっつーの!」

 居酒屋のテーブルで俺はすっかり絡み酒となっていた。

 すると、美人の先輩が声をかけてきた。

「ハーイ! ソータ! 荒れてるじゃない」

 先輩は透き通るような肌に、シャープなギリシャ鼻、そして心を捉えて離さない大きな琥珀(こはく)色の瞳で俺を見つめ、ワイングラスを差し出してきた。

 俺はちょっとドキッとしながら先輩のグラスにジョッキをチン! と合わせた。

「カンパーイ!」「カンパーイ!」

「就活うまくいってないの?」

 先輩は少し茶色のセミロングパーマの髪をかきあげながら聞いてくる。

「ダメっすね! どこか永久就職とかさせてくれる先ないっすか?」

 俺は自暴自棄ぎみに言い放った。

 先輩はそれを聞くとニヤッと笑い、

「じゃぁ、ソータにだけいい事教えちゃおっかなぁ♡」

 そう言うと俺の耳元に近づいて

「殺虫剤持って、鏡に【φ】って書いてトントンと二回叩くといいわ。就活しなくてよくなるから」

 そう言ってジョッキの水滴でテーブルに【φ】を書いた。

「なんすかそれ! そんなんで就活しなくてよくなるなら、みんなやってますよ! なんすか殺虫剤って!?」

「騙されたと思ってやってみるといいわ。永久就職もついてくるかも?」

 先輩はそう言うと、ケタケタ笑いながら別のテーブルへ歩いて行ってしまった。

 

 俺はバカにされたと思って憤慨した。しかし……、翌日、面接行くのに気が重くなった俺は何気なくこのおまじないをやってしまう。

 すると……、鏡は異世界のダンジョンへと繋がってしまったのだった――――。

 

 この物語は深淵への旅の物語。

 どうぞお付き合いください。

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