十一番隊書記の日常   作:わさび醤油

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第一話:日常が非日常

一番隊に行ってお茶を学び、

 

二番隊に行って怒られ、

 

三番隊に行って手伝いをし、

 

四番隊に行って謝り、

 

五番隊に行って鬼道を学び、

 

六番隊に行ってなぜか菓子をもらい、

 

七番隊に行って話を聞き流し、

 

八番隊に行ってお茶をし、

 

九番隊に行って被写体になり、

 

十番隊に行って遊び、

 

十二番隊に行って被験体にされかけ、

 

十三番隊に行ってなぜかお菓子をもらい(2回目)、

 

 

そして、十一番隊で書類を片付けやちるを追いかけ一角をからかい弓親にたしなめられ、隊長とご飯を食べる。

これから始まるのは、そんなおれ、高槻葉月(たかつきはづき)の日常だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こらあああああ! やちる!!」

 

おれの一日は、少女──草鹿やちるを追いかけるところから始まる。

今日の彼女の罪状は、『おれの朝食のデザートを勝手に食べた』である。今日は特に昨日から楽しみにしていたプリンを、あろうことか目の前で食べやがったのだ。信じられない。鬼! 悪魔! 死神!

 

「まあ死神だけどね」

「うわっ弓親!? いるなら助けてくれよ!」

「あれを捕まえるのは手前の仕事だろうが」

「一角まで! あああ喋ってる間に姿消しやがった!」

「頑張ってねー」

 

全く協力の姿勢を見せてくれない二人だが、構っている場合ではない。おれの今やらなければならないことは、罪人(やちる)裁く(シメる)ことだ。

 

それから15分後。結局やちるを捕まえることはできず、疲労感だけが残ったまま仕事をはじめる。

おれの仕事は書類整理と経理。一言で言うと雑用だ。もちろん隊長と副隊長はそんなことしないためにおれが雇われたとか。もっと努力してくれ、仕事をする努力とかさせる努力とか……。

 

「あ?」

「にゃ、なんでもないです……」

 

じと、と睨んでみると、数百倍の威力になって返ってきた。いや、多分あれで素なんだろうけど、普通に顔が怖い。慣れてるはずなのにうっかり噛んじゃったじゃないか。

ちなみに、今おれは隊首室にいる。本来は隊長の仕事用にある部屋だが、この十一番隊に限っては隊長・副隊長の休憩部屋かつおれの仕事部屋だ。なぜかおれが隊長がしなければならない仕事までやっているため、『隊長(に割り当てられた分)の仕事』用にある部屋であると言って間違いはないのだが。

なんでおれがそんな重要な仕事をしているんだろう。もう20年になるが、どうしてこうなったか全くわからない。

 

真央霊術院を卒業したおれは八番隊か十三番隊を志望していたが、それをまるっきり無視されて十一番隊に配属されてしまったのだ。

斬拳走鬼のどれもが平均より少し下、いや、鬼だけは平均程度だったか、とにかくその程度だったおれがあの戦闘集団と名高い十一番隊に? 嘘だろうと何度も目を擦って配属通知を見直した。

すると、隅の方に小さく何か書いてあるのを発見した。『十一番隊書記』と、どうやらそう書かれているらしい。入隊即肩書き持ち、しかも書記なんて聞いたことのない肩書きである。きっとおれの隠れた優秀さが見つかってしまい、専用の肩書きを作るしかなかったに違いない!

そんなわけあるか。

一瞬で我に帰った。おれがもし隠れた優秀な人材であったとして、普通目に見える優秀な人材のほうを使うだろう。おれだってそう思う。

そしておれは、何か騙されて面倒ごとを押し付けられかけていることに気づいた。分不相応なうまい話には大抵裏があるのだ。だから、ちゃんと総隊長に質問しに行った。

 

アポを取らずに行ったら取り次いでくれた人から『やれやれ暇じゃないんだがな』みたいな顔で対応されて心が折れかけたが、進路の話は重要である。頭を下げて頼むと総隊長に会わせてくれた。

 

「書記ってどんな仕事なんですか……?」

「やってみればわかる。給料も一般隊士より割り増しじゃから、

「やります」

 

全然騙されたわけではなかった。なんだ、ただのうまい話じゃん。こんな良い人を疑うなんてありえないだろ誰がそんなこと言ったんだよ。

 

 

「騙されたー!」

 

現世で流行りの即オチ2コマもびっくりな速度でオチた。

仕事自体はできないことではなかった。

無理やり虚と戦わされるわけでもなく、難解な問題を解けと言われるわけでもなく。書類を他の隊まで届けたり、領収書の計算をしたり、書類にサインして提出したり、おれにもできる程度のものばかりだったのだ。

だがしかし、いかんせん仕事の量が明らかに多すぎた。こんなの、事前に提示された給料に見合ってなさすぎないか!? 一般隊士より割り増しだと聞いたが、収入の差よりも仕事量の差のほうがでかい。

護廷十三隊、そんなに人手足りてない?

おれの仕事が多いのは、隊長も副隊長も、なんと三席すらちゃんと決められた仕事をしない皺寄せがこちらに来たからなのはわかっているが。わかってはいるが……。

まあいいさ。おれは痛いことが嫌いなんだ。今の仕事はほとんど痛いことが起きないし、考えようによっては天職とも言えよう。

 

「ねえねえはずちー、今朝のプリンおいしかったねえ」

 

前言撤回。やっぱりおれは一般隊士になりたい。




コマンドをはちゃめちゃに間違えていたので直しました。手入力でルビや傍点を振っていたのがバレちまったぜ……。

どれ好き?(参考までに。ネタ集め用:興味本位=5:5)

  • いつメン(一角、弓親)との遠慮ない暴言
  • いつメンとの男子高校生的やりとり
  • やちるとのトムジェリ
  • やちるとのほのぼの(広義)
  • 更木隊長との勝手に緊張する会話
  • 他隊長格とのほのぼの
  • 他隊長格との失言説教
  • その他の要素
  • 全部または複数あり決められない
  • 別にどれが好きとかではない
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