今日、おれは死神の多く通う銭湯に通っていた。
無論まったく意味のない誰得なサービスシーンなどなく、普通に風呂を出てコーヒー牛乳を飲んでいたのだが。
「「ふぃ〜」」
「……お?」
「……あ?」
柄の悪い喋り方のやつと被ってしまった。チッなんだよおれの落ち着く一人時間を邪魔したやつは。
苛立ちを隠しもせずに振り向くと、頭のてっぺんから顎まで綺麗に肌色の怪奇卵人間がいた。
「誰だお前」
「その失礼な口調にハ、つるりんゲは……一角か!?」
「言い直すんなら最後まで突き通せ」
「初志貫徹だよ」
「そんな志なら捨てちまえボケ」
何か物足りないと思ったら、よく見たらこいつ目のあたりに朱を入れてたな……。ハゲという全ての特徴を打ち消す特徴の王者があるせいで全然気づかなかった。
「うんうん、やっぱりこの輝きは一角だな! トレードマークになりきれてない朱がなくてもわかりやすいぜ」
「そりゃトレードマークになってないんならこれなくてもわかるだろうよ。つかお前こそいつものアホ面はどうした」
「IQが違いすぎると物の見方まで共有できないんだな……。かわいそうに」
「悪かった、その眼鏡と前髪で隠れてるだけでアホ面は健在だったな」
眼鏡と前髪? と思ったら、そういや今はヘアピンとコンタクトしてないんだった。舐められたくなくて入隊デビューをかましてやったのに、こいつおれのことずっとアホ面だと思ってたのかよ。おれの努力、何の意味もなしてない。
「あれ、君たち何してるの?」
「ゆみち──誰だお前!?!?」
ナルシストの頂点のような声が聞こえて脊髄反射で返事しようとしたら、振り返った先にパッとしないおかっぱがいた。誰だこいつ。
いやでも声は合ってるはずで……しかし顔のぼやけ方が半端ない。
「失礼だね。合ってるよ弓親で」
「なんかパンチないな……」
「弓親って飾りないとパンチないんだよな」
「お前もなハゲ」
「あ?」
ノータイムでアイアンクローされた。そんなに怒んなくてもよくない?
「弓親、もっとパンチ効かせたほうがいいぜ? 腕にシルバー巻くとか」
「美の化身たる僕になんてことを言うんだ。無駄にパンチあってもダメなの、美しさは引き算なの」
「じゃなんで普段あんなゴテゴテしてんだよお前、パンチの化身じゃねえか」
「パンチ」
「物理ッ!!」
「俺でもなかなかしねえ綺麗な右ストレート!」
なんの誇張もなくまじでまったく見えなかった。え? 五席ってこんなに強いっけ?
……銭湯の前の廊下、長すぎるからもっと短くしてほしい。比較的正気のまま壁にぶつかる衝撃に怯えなければならないじゃないか。
は? これ悪いのは弓親では?
「やべーな……。さすが十一番隊、優雅さのカケラもねえぜ!」
「パンチ」
「エッ俺も!?!?」
アホはアホでひたすらアホなことをしていた。お前は二度とおれをアホ面と呼ぶなアホらめ。……なんかエッチな漫画みたいになってしまった。アホ角と呼ぼう。
「あ? お前らこんなとこで何やってんだ」
「ヴァッたたた隊長!! 失礼しました今場所を誰!?!?!?」
「は? お前失礼だぞ誰!?!?!?」
「あのね二人とも……誰って隊長に決まっ誰!?!?!?」
三人天丼クソつまらんとおっしゃる方もいるだろうが、これを見ればしかたないとわかってくれるはず。
更木隊長の髪が、降りているのだ。
普段はツンッツンの髪の毛が顔に一房、残りは後ろに流れている。まるで毛皮のようだ。
よく見れば毛皮の中にやちるもいる。窒息とかしないのかな?
「なんだァ? なんか変なことでもあんのか」
「や、変っつーか」
「濡れたなまはげの2Pカラーっつーか……」
「なまはげェ?」
「ア゜ごめんなさ」
凄みながら近くの鏡を確認する隊長(仮)。
いやほら、強そうなところとかね!? ほんと、まじで! だからあの、命だけは勘弁してください。可能なら暴力も勘弁してください。
そう心の中で叫び続けていたが、未だに暴力は0。どういうことだ……? いや嬉しいけど。
「たしかになァ。面白えこと言うな葉月」
「オッ……ありがとうございます」
「あはは、声ちっちゃーい! 剣ちゃんこんなことで怒るわけないじゃん、へんなのー」
「ああ、なまはげ強そうだしな。一回闘ってみてえもんだぜ」
「エッアッそ、そうですね……」
どれ好き?(参考までに。ネタ集め用:興味本位=5:5)
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いつメン(一角、弓親)との遠慮ない暴言
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いつメンとの男子高校生的やりとり
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やちるとのトムジェリ
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やちるとのほのぼの(広義)
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更木隊長との勝手に緊張する会話
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他隊長格とのほのぼの
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他隊長格との失言説教
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その他の要素
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全部または複数あり決められない
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別にどれが好きとかではない