「つまり、別に斑目は『俺の嫁になれ』と言ったわけじゃないし、高槻も『斑目の嫁もやぶさかではない』と言ったわけじゃないと」
「そうなんですよ! 人の話適当に聞きやがって……!」
「こいつなんかにそんなこと言うわけないのにな」
「それは戦争がしたいという意味に捉えて問題ないかな?」
「問題ねえが、困るのはお前だろ?」
「ハッそれはどうかな。第一試合は髪の毛の本数で勝負と聞いて慌てて降参しても知らねえぞ」
「本当の戦争を知らないみてえだな。本当の戦争ってのは暴力って読むんだよ!」
「
「そろそろ進めていいか?」
「「はい」」
刺青や傷があっても普段は凄みを感じない檜佐木副隊長からとんでもない殺気を感じる。これはたまにガチで弓親を怒らせたときと同等──いや、さらに上だと!?
一角も流石三席といったところか、その殺気に上げかけた腰を下ろしたようだ。
「次に──」
「副隊長。そろそろお時間です」
「おっと、そんな時間か。悪い、これから別の取材が入っててな……。俺の代わりにこの
「九番隊八席、
檜佐木副隊長が殺気をしまい話し始めようと口を開いたところで、いかにも秘書然とした女性が現れた。
眼鏡に肩のあたりで切りそろえられた髪、そしてきちんと着用された死覇装。その全てが『私は真面目です』と主張している。それだけだと八番隊の伊勢さんを彷彿とさせるが、この人は厳しそうというより大人しそうな顔立ちをしており、もし八番隊副隊長になったらストレスですぐ死んでしまいそうな印象だ。
「ほんとありがとうございました。いやー檜佐木さんのおかげでなんとか誤解も解けそうっすよ! 流石はシックスティナイン先生!」
「助かりました、シックスティナイン先生!」
「鼻のところの刺青もかっこいいっす! おれも入れてみようかな、一角に」
「やってみろよ。逆にお前の顔面クロスワードにしてやらあ!」
「お前の頭がスイカ模様になるのとどっちが早いかな!」
「なあこいつらいつもこんな感じなのか?」
「そうですね、大抵は」
一角の発言の野蛮さにだろう、檜佐木副隊長が呆れた様子で弓親にぼやいていた。全く、一角には困ったもんだぜ。
「んじゃ悪いけど行ってくる!」
「行ってらっしゃいませ。私にお任せを」
「で、あとは何したらいいんすか?」
「お二人のお話を細かく聞いていきたいと思っております」
「どこから話せばいいんだ?」
「そうですね……。ではお互いの最初の印象、馴れ初めなどお教えください」
馴れ初め?
「えーと、初めて会ったときはムカつくハゲがいるなと思ってたかな? あれは入隊の挨拶のときだったっけ」
「俺は今までで一番弱そうなやつが来たもんだと思ってたぜ。どうせ1ヶ月もしないで辞めるんじゃねえかって弓親と賭けてた。ま、賭けになんなかったけどな」
「は!? そんなことしてたのかよ」
「お前が勝ったんだからいいだろ」
初耳すぎる新事実を知ってしまった。そんなファンタジーにある民度の低いカジノにいるならず者みたいなことする人、本当にいるんだ……。
緒卓八席はというと、うんうん頷いてメモに書き留めている。こんな話使うことあるのか?
「では次。お互いの好ましいところをお話しいただけますか?」
「好ましいところ……?」
「そんなんあるか?」
「ない……」
にわかに瞳をキラキラさせる緒卓八席をよそに、おれたちは困った顔で見合わせる。マジでガチに1ミリも思いつかないのだが、他の人なら思いつくのだろうか。
ハゲ、暴力、謎メイク、ならず者の発想、アホ……。いろいろ思い浮かべてみても、やはり全て余すところなく悪口だ。
「どんなことでも良いのです。この仕草がかわいいとか、守ってもらったときかっこよかったとか!」
「じゃあ、いたずらの全てに美しく引っかかってくれるところとか……?」
「どんだけ痛い目見ても懲りないいたずらにかける情熱、とか」
「なるほどなるほど! ありがとうございます。次に、相手か世界か選ばなくてはならない状況に置かれたとき、どちらを優先するかお聞かせください」
「「自分」」
「お互いを信頼なさってるんですね!」
なんか、話噛み合ってなくないか?
緒卓八席は謎に鼻息荒く前のめりになって話を聞いてくれているようだけど、どこにそんな興奮する要素があったというのか。わからないおれはまだまだ視野が狭いということだろう。
「最後に、今後二人はどうなっていきたいですか?」
「強くなりたい以外ねえ」
「おれもちょっとは強くなっときたいけど……仕事で手一杯なんで無理っすね〜。今はせめて威厳を出したいです、舐められないように」
「関係を強くしていきたい……っと。それでは最後に、写真撮影よろしいですか?」
「はーい」
「まずは二人で並んでピースなどしてください」
言われた通りに胸の横でピースを構える。一角はというと、ピースをひっくり返しカメラに向かって突き出していた。小学生か貴様は。……いや知らんけど。
「最後に二人で一つのハートマークを作ってみてください! はい笑顔でー」
「「ハイ、チーズ!」」
「最高です! 本日はありがとうございました」
次の日。
「誤解を解くんじゃなかったの?」
「いや、ほんとにそのつもりだったんだよ」
「俺たち嵌められただけなんだ」
前回と同じように号外として出された瀞霊廷通信は、前回と同じように、いや前回よりもおれと一角の関係を疑う内容だった。
なんで??
純粋な疑問を弓親にぶつけて昨日何があったかを詳細に話すと、今まで見たことがないレベルの冷たい目を向けられた。そしてなんと、『そんな質問されたら普通わかるよね。どうしてわからないかな。バカなの?』と普通に説教された。『こら!』と言われるより余程心にくるので、弓親は本当におれたちをわかっている。一角なんか『ハイ……』しか言えない機械に成り果てていた。
おれ?
おれは『ごめんなさい……』しか言えない機械に成り果てていたけどなにか?
このあと、おれたちを可哀想に思った弓親が一晩で噂を全てなんとかしてくれた。いつもありがとうな、弓親。
どれ好き?(参考までに。ネタ集め用:興味本位=5:5)
-
いつメン(一角、弓親)との遠慮ない暴言
-
いつメンとの男子高校生的やりとり
-
やちるとのトムジェリ
-
やちるとのほのぼの(広義)
-
更木隊長との勝手に緊張する会話
-
他隊長格とのほのぼの
-
他隊長格との失言説教
-
その他の要素
-
全部または複数あり決められない
-
別にどれが好きとかではない