女装回は今回で終わりです。
前回のあらすじ
我が隊のためにミスコンに、イクゾーデッデッデデデデッカーン!
「か……」
「かわいいよな!? 今おれのことかわいいって言おうとしたよな!?!?」
「うるせーーーーーー」
「化粧や髪が崩れないようにヘッドロックではなくボディーブローをする気遣いいらねえんだよハゲ!!!!!!」
一角がおれの可愛さのせいで自我を失った殺人マシーンと化している。美とは罪。暴力はそれ以上の罪なので捕まえるならこいつですけどね。
「その顔でチクチク言葉を使うな頭がバグるだろうが!!」
「動揺を全部拳で表現すんなこちとら美少女だぞ!?!?」
「ダメだ、一角は目を瞑ってる! 葉月の見た目に騙されず攻撃するにはこの手しかなかったのか」
「攻撃をやめるって手もあると思うんだけどなあ!!」
「審査員はわたくし、檜佐木修平と」
「僕、藍染惣右介と」
「ボク、京楽春水だよ〜」
こんらん状態になった一角を振り切ってなんとかステージ袖まで行くと、それはもうアホみたいに客が入っていた。さながらおじゃまぷよだ。
ちなみに、おれの出番は最後である。周りにバレないよう隅っこで縮こまっていたら、見知った隊長格から全然知らない一般隊士までさまざまな女の子が次々と登壇していく。
松本副隊長はその豊満なバストを惜しみなく活かした大胆な服装で主に檜佐木さんを狙い撃ちしていた。実は厳しめの評価をする藍染隊長には効かなかったみたいだが、あの人はどんなのが好みなんだろうか。
他にも雛森さんや虎徹副隊長、なんとあの伊勢さんまで出ていた。衣装もそれぞれ自分の魅力を引き出すもので、みんな優勝候補に見えるから困る。
そうこうしている内に、次はおれの番になってしまった。適当に受け答えして目立たないまま終わりたいが、ここまで辱めを受けた挙句予算ももらえないのもムカつくので上位に食い込みたいとも思う。
なんて、いくらかわいくても女装男が上位になるなんてあり得ないので、これはただのこうなりゃヤケ精神である。
「12番、高崎皐月です」
「おお、美人さんが来たねえ。黒髪ロングクール系ってところかな?」
「料理はしますか?」
「は、はい。親にそう育てられたので」
「へえ、ご令嬢そうなのにえらいねえ」
「クールな見た目に反して家庭的な一面も……ギャップ萌えってやつですね」
わかる。料理ができるというだけで好感度が3000倍くらいになっちゃうよね。
……それが女装した男だという点を除けば。
「藍染さんはどう思いますか?」
「そうだね、まあ綺麗なんじゃないかな」
「辛口ですね〜! これから藍染隊長のお眼鏡にかなう人は出てくるのでしょうか!」
「この場にはいないんじゃないかな」
穏やかな顔でなんでもないように言うから一瞬反応が遅れるけど、この人びっくりするくらい厳しいな。さっき泣いてる五番隊の子いたぞ。
その後も、京楽隊長と檜佐木さんには好感触な受け答えをし続けた。
この人たちも優しそうに見えて興味ない人はさっさとお帰りになってもらってるっぽいので、この段階で前の人の2倍くらいかかっているということはかなりの高得点を期待できよう。
「では、推薦してくれた隊長に一言! ええと……じゅ、十一番隊!?」
「あ、いや! 私は助っ人というか、親戚に頼まれてここに来ただけで」
「助っ人……。どおりで見たことない顔だと思った。君みたいな可愛い子、一度見たら二度と忘れないのに」
「ウワッ鳥肌たったありがとうございます」
「クール系に見えてその実家庭的で健気とは……。これはかなりの評価が期待できそうですね」
「ボクは君を一位に推薦するよ」
「おっと一位宣言だ! もう優勝者は決まったようなものでしょう」
京楽隊長がはちゃめちゃの色目を使っておれを口説こうとしているのが手にとるようにわかる。だってウインクしてるし、胸元チラつかせてるし。
おれが口説こうとしたクラスメイトたちも、こんな感じでうわキッモと思っていたのだろうか。ああ……(絶望)。
「あ、そうだ。藍染さんのご意見も伺ってみなければ」
「え? ごめん、聞いていなかったよ」
それは聞いとけよ。何しにそこ座ってんだよ前髪の枝毛探すためじゃないんだぞ。
「最後に、好きな男性のタイプとか聞いてもいいかな?」
えっ。
「男性のタイプですか。それはお客さんも聞きたいでしょうね!」
「い、いえ特に……どっちかというと女の子のが好きだし……」
「女の子のが好きだって!?!?!? 詳しく!!!」
「おっと急に藍染さんの食いつきが良くなりました! 俺には全く聞こえなかったのですが、もしかして藍染さんの妄言ですか?」
「いいや。彼女ははっきり言ったよ、『女の子のが好きだ』と」
「へえ、キミ女の子好きなの? ボクも聞いてみたいな」
さっきの京楽隊長への罵倒は聞こえなかったのに、あれは聞こえたのかよ、勘弁してくれよ。
会場ではなぜか興奮した客がウェーブを作って発狂してるし、もう帰ったほうがいい気がしてきた。
「え、と……普通に、かわいくて小動物みたいな子ですかね」
「具体的に誰、というのはあるかな? あるいは、誰みたいな女性、でもいいんだが」
「なんだこいつ……そうですね、強いて言えば雛森副隊長のような方ですが……」
「全て理解した」
「うわ声デッカ!」
「藍染隊長が、あの京楽隊長もびっくりするレベルで声を張っています! 元々低くて渋い声であるため、声を張ると鼓膜にダイレクトアタックしますね。今ので鼓膜をぶち破られた方もいらっしゃるのではないでしょうか」
「ハア……ハア……」
「息が荒くてシンプルに気持ち悪いですね! 藍染さん、女性同士の恋愛が好きなんですか」
「愚問だね。逆に聞くが百合が嫌いな人間なんているのかい? 女性同士の美しく儚い恋模様、じれったい関係性。ああなんて素敵なんだ!」
「泣きながら力説しスタンディングオベーションまでしています! マルチタスクをこなす有能さが仇となって、今はただ拍手と声と鼻を啜る音がうるさい厄介オタクと化してしまっています。どうでしょうか京楽さん」
「この人より気持ち悪いと思われた日には趣味のセクハラを一生やめるよ」
「有力な隊長二人の株が暴落し続けて止まるところを知りませんね。明日には隊首室が退職させてくれと泣いて頼み込む隊士で溢れそうです」
「ちなみに私はハッピープリンさとこ先生が好きだ」
「誰も聞いていません」
「ありがとう、藍染隊長! 実は俺がハッピープリンさとこなんだ」
「浮竹!?」
「貴方様がハッピープリンさとこ先生!?!?!? こんなところで会えるなんて……ハッピープリンさとこ先生の書かれるほのぼの百合が大好きです! 応援してます、先生は私の憧れです!!」
「いやあ嬉しいな。まさか趣味で書いていた小説にファンがいたとは」
「ボク、浮竹とは結構仲がいいつもりでいたけど何も知らなかったんだね……」
もう帰っていいだろうか。うん、とてもいいと思う。このままいてもいろんな人がいろんな傷を負うのを見るだけだ。帰ろう。そして寝よう。
そしておれはそのまま藍染隊長が急遽作った『大変素敵な百合で賞』をとった。賞金は優勝者より多かった。
「ハッ夢か。やー変な夢だったなー」
「夢オチにしようと思っても無駄だよ。ほら」
「見知った天井だ、よかった夢か」と言うのを妨げるように弓親が差し出したのは瀞霊廷通信。一位の子について大きく特集されているページの隅で、特別賞として『高崎皐月』の文字が小さく書かれている。きっと運営にとって大きい声では言えない出来事だったのだろう。
そんなに嫌なら書かなければいいのに。ここまで頑張ったんだからせめて夢オチにさせてほしかった。
百合豚にふさわしい方を探したら藍染様しかいなかった。今は後悔している。
どれ好き?(参考までに。ネタ集め用:興味本位=5:5)
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いつメン(一角、弓親)との遠慮ない暴言
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いつメンとの男子高校生的やりとり
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やちるとのトムジェリ
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やちるとのほのぼの(広義)
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更木隊長との勝手に緊張する会話
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他隊長格とのほのぼの
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他隊長格との失言説教
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その他の要素
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全部または複数あり決められない
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別にどれが好きとかではない