これは、まだおれが十一番隊書記になる前の話である。
「はよっす美岬ー」
「おっす陽太」
「よっすっす〜二人とも」
「「お疲れ様です高槻将軍!」」
「やめろそれただの雑魚だろうが!!!」
既にクラスに来ていた2人は、おれがよく話すやつらである。
美岬は中性的な見た目とは真逆の性格と好みを持つ読書家な文系。
陽太は背が高くバカで力仕事が得意な典型的な体育会系だ。
そしてこのおれ、高槻葉月は暗算が得意な理系であり、テストのときは3人で力を合わせてなんとかしている。鬼道の暗記の仕方は美岬が、体術のコツは陽太が、買い物のときの金額の計算法はおれが教えることで支え合う関係なのだ。……あれ、おれテストでは役に立ってなくない?
しかし、美岬も陽太も流魂街の出身で文字も読めなかったのを教えたのはおれだ。それから美岬は知識をぐんぐん吸い上げて今ではおれの知らない言葉までたくさん知ってるけど……。
ちなみに高槻将軍とは美岬に勧められて読んだ小説に登場するキャラクターで、初登場してからこの方死亡フラグを立て続けるザ小悪党だ。なんと自称しているだけで将軍でもない。
「葉月はさー、もう決めたー?」
「何が?」
「お前大丈夫かよ。今『もう決めた?』って聞いたら進路調査表に決まってんだろ?」
そうだった。
学生最後の年、しかも昨日に説明会が開かれたばかりである。
「おれ八番隊か十三番隊かで迷ってるわ」
「へー! 四番隊だと思ってた、回道使えるし女子いっぱいいるよ?」
「葉月って回道使えたっけ」
「めちゃめちゃちっちゃい傷くらいならなんとか。紙で切っちゃったくらいの」
「ホント使えねえな! 落とされた腕をくっつけるくらいできなきゃ入れねぇぜ」
「入るつもりないし! 女子ばっかで肩身狭そうだから」
「ほんとビビりだな」
「ビビビビビビビビビビってねえし!!!」
「どっちかっていうと痺れてるねぇ」
2人は姉さんを知らないからそんなことが言えるのだろう。姉さんみたいな女性を知っていたら『女性は怖い』『人は物理的でない力にも負けることがある』と常識を改めるだろうに。
いわんや身近な女子が姉さんしかいなかったおれをや、である。
「そういう美岬はどうなんだよ〜教えろよ〜」
「あ? 俺は七番隊に行くぜ。隊長がかっけーんだ、いかにも義って感じで」
「うんうん、どっしりしてるよねー」
「物理的に?」
「ちげーわ! はい次陽太な」
「うーん……俺は、まだ迷ってる……かなあ」
「あれ? てっきり十一番隊に行くもんだと思ってたけど違うのか」
「運動は好きだけど、別に強くなりたいわけじゃないんだよねぇ。でも、ならどこがいいかとかよくわかんなくてー……」
「隊の特徴だけじゃなくて、隊長の人柄とか中の雰囲気も決め手になるんじゃねえか?」
「おれも第一志望楽そうだからだしなー、隊長のんびりしてたし。やっぱ楽で厳しくなくて楽しいとこに行きたいよな!」
「カスすぎるだろ……」
「なるほど……もうちょっと考えてみるかぁ」
陽太がそう言って会話が一段落したとき、外がやけに騒がしいのに気づく。
昔は上級生のエリートイケメンが来たとかで女子たちが黄色い声をあげていたこともあったが、最近はめっきりそういうこともなくなったなあ。久々にこんなに盛り上がってるところを見た。──いや、これは盛り上がっているというのか?
「……なんか様子おかしいぞ」
美岬がいち早く、感じ取ったものを言葉にした。
そう、一見は賑やかなように見えるが……そんな楽しそうな感じではなさそうだ。例えるなら教室でGが出たときのような騒ぎ。さっき歓声だと思ったものは、今では悲鳴に聞こえる。
3人でビビりながらそっと窓を覗く。人だかりがいくつかあり、そのほとんどは具合が悪くなった人を運ぼうとする人たちのものだった。
しかしひとつだけ、異質なものがあった。
その人だかりは厳密には人だかりとは言えない。正しくは『複数人が数メートル距離を置いて誰か一人をぐるっと囲んでいる』だろうか。
そして真ん中の人影は白い羽織を着ており、学生でも先生でもないことがわかる。
「って、十一番隊の隊長!?」
「まっさかー! なんでこんなところに十一番隊の偉い人がほんまや!?!?」
「お前モノマネやりたいだけだろ」
全くもってその通りだった。
今日のナントカ会では、直前まで一角や弓親に何度も『人を斬るな』だの『なるべく霊圧を抑えろ』だのと言われたが、そもそも斬りたくなるような強いやつはあの場所にはいなかった。
なんとつまらないことか。ただ立っているだけなら自分の部屋で昼寝でもしていたかった。
そういえばこの間は、『書類仕事はオレの仕事じゃありません』と訴えに来たやつがいた。『誰々が喧嘩しているからなんとかしてくれ』と言ってくるやつもいた。『こちらの隊に書類が回らない』なんて言うやつもいた。
面倒だったことを一つ考えると連鎖的に思い出される。こうして考えるのも面倒だ。
「ゆみちー、おつかれ?」
「副隊長! そうですね、書類が多くて……書記でもいたらいいんですけど」
「しょき?」
「書類仕事をやってくれる人ですよ」
「あたしと遊んでくれる?」
「さあ、そうなんじゃないですか? そんな人いたらですけど」
「あたし書記ほしい!! 剣ちゃん、探しに行こ!」
他愛のない会話がぽんぽんと進んでいくので耳だけでぼんやり聞いていたが、なるほど書記か。面倒なこと全部やってくれるやつはそろそろ必要だろう。
それが面白いやつなら尚更だ。
こうして更木剣八は草鹿やちると共に真央霊術院へと赴くこととなり、護廷十三隊隊長の目の前で明石家さんまのモノマネをする男が十一番隊書記として選ばれたのであった。
主人公(葉月)と美岬と陽太は同じクラスメイトで教室内でよく喋るくらいの仲だったはずのにわりと仲良いなこいつら。
今も続いてるかはわかりません。そもそも書記のお仕事にかかりきりなのに遊ぶ時間が主人公にあるのか?
どれ好き?(参考までに。ネタ集め用:興味本位=5:5)
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いつメン(一角、弓親)との遠慮ない暴言
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いつメンとの男子高校生的やりとり
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やちるとのトムジェリ
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やちるとのほのぼの(広義)
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更木隊長との勝手に緊張する会話
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他隊長格とのほのぼの
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他隊長格との失言説教
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その他の要素
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全部または複数あり決められない
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別にどれが好きとかではない